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IPO支援

株式上場は、資金調達力の強化、社会的信用の増大、優秀な人材の確保、従業員のモラル向上、経営管理体制の強化等多くのメリットがあり、企業経営者にとって重要な戦略の一つとなっています。

IPO支援サービスは、株式上場に向けた問題点の把握と改善、株式上場までのスケジュールの立案、上場のための資本政策、関係会社等の整備、経営管理体制の改善から株式上場後の情報開示体制というさまざまな課題に対し、会計、税務、監査、内部統制、IT等多種多様な知識、実務経験を持った会計士が総合的にアドバイスいたします。

内部統制構築支援では、業務記述書・業務フローチャート・RCM等の作成の際に独自の内部統制支援ツールを利用して、将来のJ-SOX・US-SOX対応に備える書類の作成を支援します。

決算ワークシートを活用することにより、早期に上場企業として適切な決算報告体制を構築し、決算の早期化、効率化を実現し、誤謬を減らし、業務の引継ぎを容易にします。

また、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準(USGAAP)を導入することにより、海外展開する日系企業や国内で上場が認められない業種の企業が、海外の証券取引所へ上場を目指すことも選択肢としてあり、香港、シンガポール、韓国、米国、カナダ等のIPO支援も行っております。

具体的には下記のようなサービスを提供しております。

♦ ショートレビュー(IPO(株式上場)に向けた企業診断調査)の実施
♦ IPO(株式上場)スケジュールの立案のアドバイス
♦ 資本政策立案・実践のアドバイス
♦ 経営管理体制構築のアドバイス
♦ 内部統制構築支援
♦ 原価計算制度構築のアドバイス
♦ IT経営管理システムの構築・実践のアドバイス
♦ 決算早期化支援
♦ 上場に必要な書類(Iの部、IIの部や英文書類等)の作成及び指導
♦ 上場後の情報開示体制に関するアドバイス

30分でつかむ IPOの基本

1. 株式上場(IPO)とは?

1. はじめに

IPOという言葉を聞いたことはあるけれども、その仕組みを正確に把握している方は、それほどいらっしゃらないのではないでしょうか。これからIPOを目指す経営者、経理の実務担当者を対象に、全12回にわたって、IPOの基礎的な概念とそのプロセスを解説していきます。

2. 株式上場(IPO)とは?

株式上場、つまりIPOとは、“initial public offering”の略で、未上場企業が新規に自社の株式を、取引所で自由に売買を可能にすることをいいます。
上場企業とは、自社の株式を発行し、証券市場に登録している会社のことをいいます。株式を上場することにより創業者の手を離れ、誰でも自由に売買できるようになることで、会社は公的なものとなります。

3. 株式上場(IPO)の基準

会社が上場するためには、各取引所に異なる基準があり、下記のような一定の形式要件があります。
1. 株主数
2. 流通株式
3. 時価総額
4. 事業継続年数
5. 純資産の額
6. 利益の額等
これらを満たした上で、下記の上場審査を受け、それを通過する必要があります。
1. 企業内容
2. リスク情報等の開示の適切性
3. 企業経営の健全性
4. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
5. 事業計画の合理性

4. 証券取引所の種類

日本には、複数の証券取引所があります。日本取引所グループの東京証券取引所、名古屋、札幌、福岡の4カ所の証券取引所で株式の上場ができます。
その中でも、東京証券取引所には多くの企業が上場しています。
その中でも「JASDAQ」と「マザーズ」は新興企業やベンチャー企業向けの市場であり、東証一部および東証二部より上場基準が緩和されていることから、大多数の企業はまずは、JASDAQかマザーズに上場を目指すことになります。

5. 上場のメリット・デメリット

(1)上場のメリットとして
上場するメリットとしては、資金調達が容易になる、知名度や信頼性の向上、社内管理体制の強化、従業員のモチベーションの向上、創業者利潤の実現などがあげられます。
(2)上場のデメリット
デメリットとしては、上場維持コストの増加、買収リスクの増加、会社情報の開示義務等があります。

これらのメリットとデメリットを総合的に判断して上場を目指すかどうかを決める必要があります。

2. 株式上場の種類と特徴

1. 取引所の種類(本則市場と新興市場)

上場市場には、東京、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所の本則市場に加えて、各証券取引所が開設する成長企業向けの新興市場(マザーズ、JASDAQ、セントレックス、Q-Board、アンビシャス)があります。
また、東京、名古屋証券取引所の本則市場は、第一部と第二部に区分され、札幌と名古屋は1つとなっています。なお、2013年1月に東京、大阪の各証券取引所が経営統合され、日本取引所グループが発足しています。
ここでは、皆さまが近い将来、関わるであろう新興市場を中心にご説明します。

(1)マザーズ

マザーズは、東京証券取引所が1999年11月新興企業に資金調達の場を提供する目的で創設されました。近い将来、市場第一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。

特徴
申請会社が高い成長可能性を有しているか否かについては、主幹事証券会社がビジネスモデルや事業環境などを基に評価・判断します。多くの成長企業に資金調達の場を提供するという観点から、その上場対象とする企業について、規模や業種などによる制限を設けていません。マザーズ上場後、多くの企業が市場第一部にステップアップしています。
上場10年経過後の選択
2011年3月にマザーズ上場10年経過後の適応基準が制定され、上場後10年を経過したマザーズ上場会社は、マザーズにおける「①上場の継続」または「②本則市場(市場第二部)への上場市場の変更」のいずれかを選択することになります。また、マザーズにおける上場の継続を選択した場合、5年経過するごとに再度、市場選択を行う必要があります。

(2)JASDAQ

JASDAQは、2010年10月に(旧)JASDAQ(技術ベンチャー向けの市場区分であるNEOを含む)と、大阪証券取引所の新興企業向け市場であったヘラクレスが市場統合し「新JASDAQ市場」として誕生しました。

2つの新興市場の誕生の経緯
2013年7月に大阪証券取引所の現物市場が、東京証券取引所の現物市場に統合され、日本取引所グループとなりました。JASDAQも東京証券取引所の管理下に置かれ東証JASDAQとして東京証券取引所で運営されるようになり、これにより東京証券取引所はマザーズとJASDAQの2つの新興企業向け市場を運営することとなりました。
特徴
JASAQは、(1)信頼性(2)革新性(3)地域・国際性という3つのコンセプトを掲げる市場です。また、一定の事業規模と実績を有する成長企業を対象とした「スタンダード」、特色ある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性に富んだ企業群を対象とした「グロース」という2つの異なる内訳区分を設けています。

(3)TOKYO PRO Market

TOKYO PRO Marketは、2008年の金融商品取引法改正により導入された「プロ向け市場制度」に基づき設立された市場です。TOKYO PRO Marketでは、取引所から認定を受けたJ-Adviserが、取引所に代わって企業の上場審査や上場後のサポートを実施しています。

特徴
TOKYO PRO Marketは、ロンドン証券取引所が運営する成長企業向け市場(AIM)を手本としているため、規制を重視した日本の他の取引所では困難であった柔軟な対応を特徴としています。
例えば、会計面では、日本基準、米国会計基準、IFRSの適用、内部統制報告制度及び四半期報告制度は任意であり、開示言語も日本語以外に英語も選択可能です。日本企業以外に海外の魅力的な企業を誘致し、日本の金融市場の活性化、国際化を目指しています。

3. 株式上場のメリットとデメリット

株式上場には、多くのメリットがありますが、また一方でデメリットもあります。

ここでは、一般的な株式上場のメリットとデメリットについて紹介します。株式上場を目指す企業は、これらのメリットとデメリットを把握した上で、上場準備を始めるかをご検討下さい。

株式上場のメリット

1. 資金調達面でのメリット

非上場会社では、株式の保有も売買も身内などに限定されます。企業は上場することで、証券会社を通じて多数の株式を発行します。投資家が証券会社を通してこの株式を購入することで、多額の資金調達ができるようになります。

また、非上場企業では銀行からの借入が主な資金調達手段となりますが、上場することによって、公募による時価発行増資、新株予約権・新株予約権付社債の発行、転換社債の発行等、資金調達手段が多様化するのも特徴です。

2. 知名度の上昇

非上場会社の段階での知名度は、身内・取引先等の他は、ある程度その業界に興味のある人に限定されるでしょう。上場することによって、新聞やニュース、株式市況欄に取り上げられる機会が増え、多くの人が目に触れる機会が多くなることで、知名度も上昇します。

企業の知名度の上昇は、取引先、債権者、株主、従業員等にもよい影響を与え、取引先の増加、資金調達手段の増加、優秀な人材の確保が可能になる、などに繋がります。

3. 創業者は利益を得ることができる

未公開株式が上場により上場会社株式に変わることで、取得したときの価額の数倍の価値となります。未公開株を保有していた創業者は、株式の売却等により多額の利益を得ることが可能になります。
これは従業員にとっても同様で、株式を保有していたり、ストックオプションといったインセンティブが与えられていたりする場合は、利益が得られることとなります。

4. 社内管理体制の強化

株式上場準備の過程を経ることで、内部統制、コーポレートガバナンスが整備され、社内管理体制の強化ができます。

株式上場のデメリット

1. 情報開示義務

金融商品取引法及び会社法に基づく有価証券報告書、事業報告書の開示義務、取引所の要請により四半期単位の決算短信、適時開示情報の公表等の開示義務があり、また財務報告に係わる内部統制の有効性を経営者が自ら評価し、結果を報告する義務もあります。

2. 買収リスクが増加

株式が取引所で自由に売買されることにより買収され経営権を奪われるリスクが増加します。

3. 上場維持費用の発生

上場後は、上場を維持するためのコストが発生します。具体的には、下記のものとなります。
1. 証券取引所への上場費用や監査法人への監査報酬
2. 株主名簿管理料
3. 財務報告に係わる内部統制制度により内部管理体制強化コスト
4. 株主総会運営コスト

4. 上場審査の形式基準

上場審査の形式基準とは、上場までに一定の基準を充足しなければならない条件であり、各証券取引所の市場ごとに内容は異なります。

形式基準は、主に以下の項目から構成されます。
1. 上場時見込みの株主数
2. 上場時見込みの流通株式数
3. 上場時見込みの時価総額
4. 事業継続年数
5. 上場時見込みの純資産の額
6. 利益の額
7. 虚偽記載又は不適正意見等のないこと
8. 上場会社監査事務所による監査
9. 株式事務代行機関の設置
10. 単元株式数及び株券の種類
11. 株式の譲渡制限がないこと
12. 指定保管振替機関の取扱同意

なお、上記形式基準に適合する場合であっても、申請会社等が下記のいずれかに該当する場合には、その上場申請の不受理又は受理の取消しの措置をとられる不受理事項があります。

上場申請の不受理となる事項

(1)合併、会社分割、子会社化若しくは非子会社化、事業の譲受け若しくは譲渡
上場申請日以後、同日の直前事業年度の末日から2年以内(JASDAQは3年以内)に、 以下のいずれかを行う予定があり、かつ、申請会社が当該行為により実質的な存続会社でなくなっている若しくはなくなるとき。
(2)合併、株式交換又は株式移転
申請会社が解散会社となる合併、他の会社の完全子会社となる株式交換又は株式移転を行う予定(上場申請日の直前事業年度の末日から起算して2年以内に行う予定のある場合(上場日以前に行う予定のある場合を除く。)に限る。)のある場合。
(3)上場前の第三者割当増資等による募集株式等の割当等
申請会社が、上場前の一定期間における第三者割当等による募集株式の割当等に係る確約書を提出しないとき。また、割当を受けた者が確約に基づく所有を現に行っていないとき。

5. 上場審査の実質審査基準

1. 実質審査基準とは?

証券取引所は、上場申請会社の上場適格性を審査するため、上場申請書類に基づいて質問及び実地調査が行われます。実質審査基準とは上場申請会社が上場会社としてふさわしいかどうかを実質的に判断するための審査基準です。

この実質審査基準は形式要件と異なり、形式的な数値ではなく、下記事項について実質的な観点から検討される基準となります。
1. 企業の継続性及び収益性
2. 企業経営の健全性
3. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
4. 企業内容等の開示の適正性
5. その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項について実質的に審査される基準

2. 実質審査基準の内容

上場審査等に関するガイドラインによると、上記(1)~(5)の主な内容は下記通りです。

(1)企業の継続性及び収益性
1. 企業グループの事業計画が、そのビジネスモデル、事業環境、リスク要因等を踏まえて、適切に策定されていると認められること。
2. 企業グループが今後において安定的に利益を計上することができる合理的な見込みがあること。
3. 企業グループの経営活動(事業活動並びに投資活動及び財務活動をいう。)が、安定かつ継続的に遂行することができる状況にあると認められること。
(2)企業経営の健全性
1. 企業グループが、その関連当事者その他の特定の者との間で、取引行為(間接的な取引行為及び無償の役務の提供及び享受を含む。)その他の経営活動を通じて不当に利益を供与又は享受していないと認められること。
2. 役員(取締役、会計参与(会計参与が法人であるときはその職務を行うべき社員を含む。)、監査役又は執行役(理事及び監事その他これらに準ずるものを含む。)の相互の親族関係、その構成、勤務実態又は他の会社等の役職員等との兼職の状況が、当該新規上場申請者の役員としての公正、忠実かつ十分な職務の執行又は有効な監査の実施を損なう状況でないと認められること。
3. 親会社等を有している場合(上場後最初に終了する事業年度の末日までに親会社等を有しないこととなる見込みがある場合を除く。)には、新規上場申請者の企業グループの経営活動が当該親会社等からの独立性を有する状況にあると認められること。
(3)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
1. 企業グループの役員の適正な職務の執行を確保するための体制が、適切に整備、運用されている状況にあると認められること。
2. 企業グループが経営活動を有効に行うため、その内部管理体制が、適切に整備、運用されている状況にあると認められること。
3. 企業グループの経営活動の安定かつ継続的な遂行及び適切な内部管理体制の維持のために必要な人員が確保されている状況にあると認められること。
4. 企業グループがその実態に即した会計処理基準を採用し、かつ、必要な会計組織が、適切に整備、運用されている状況にあると認められること。
5. 企業グループにおいて、その経営活動その他の事項に関する法令等を遵守するための有効な体制が、適切に整備、運用され、また、最近において重大な法令違反を犯しておらず、今後においても重大な法令違反となるおそれのある行為を行っていない状況にあると認められること。
(4)企業内容等の開示の適正性
1. 企業グループが、経営に重大な影響を与える事実等の会社情報を適正に管理し、投資者に対して適時、適切に開示することができる状況にあると認められること。また、内部者取引等の未然防止に向けた体制が、適切に整備、運用されている状況にあると認められること。
2. 新規上場申請書類のうち企業内容の開示に係るものについて、法令等に準じて作成されており、かつ、適切に記載されていると認められること。
3. 企業グループが、その関連当事者その他の特定の者との間の取引行為又は株式の所有割合の調整等により、新規上場申請者の企業グループの実態の開示を歪めていないこと。
4. 新規上場申請者が親会社等を有している場合(上場後最初に終了する事業年度の末日までに親会社等を有しないこととなる見込みがある場合を除く。)には、当該親会社等の開示が有効であるものとして、投資者に対して適時、適切に開示できる状況にあること。
(5)その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項について実質的に審査される基準
1. 株主の権利内容及びその行使の状況が、公益又は投資者保護の観点で適当と認められること。
2. 新規上場申請者の企業グループが、経営活動や業績に重大な影響を与える係争又は紛争等を抱えていないこと。
3. 新規上場申請者の企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、当該関与の防止に努めていること及びその実態が公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。
4. 新規上場申請に係る内国株券等が、無議決権株式(当該内国株券等以外に新規上場申請を行う銘柄がない場合に限る。)又は議決権の少ない株式(規程第205条第9号の2bに掲げるものをいう。)である場合は、上場審査ガイドラインⅡ 6.(4)に掲げる項目のいずれにも適合すること。
5. 新規上場申請に係る内国株券等が、無議決権株式である場合(当該内国株券等以外に新規上場申請を行う銘柄がある場合に限る。)は、上場審査ガイドラインⅡ 6.(5)に掲げる項目のいずれにも適合すること。
6. その他公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。

6. 内部統制監査適用時期

金融商品取引法により、上場会社を対象に財務報告に係る内部統制の経営者の評価と当該評価の監査法人の監査が義務づけられています。

1. 内部統制監査の適用時期について

上場会社は、事業年度ごとに財務報告に係る内部統制について評価した報告書を有価証券報告書と一緒に提出することが求められています。
内部統制報告制度は、上場後最初に到来する事業年度末(通常は上場申請期)から適用されます。
ただし、申請期間を超えて翌年度の申請期に係わる定時株主総会の前日までに上場するいわゆる期越え上場の場合は、上場申請期は内部統制報告制度の適用対象とならず、その翌年度である上場年度から適用対象になります。

2. 監査証明が免除となる条件

新規上場会社については、上場に伴う負担を軽減するため、金融商品取引法、金融商品取引法施行令、内部統制布令によると下記の通り一定規模以上の会社を除き、上場後3年間の監査証明が免除されています。

なお、内部統制報告書に係る監査証明の免除規定の適用は任意であり、免除期間に会社が任意で監査証明を受けることは可能です。ただし、いったん監査証明を受けた以後に再度免除規定の適用を受けることはできません。また、免除されるのは監査証明についてのみであり、内部統制報告書自体の提出は必要となります。

(1)免除期間及び起算日
監査証明の免除は、金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者に初めて該当することになった上場日以後3年を経過する日までの間に内部統制報告書を提出する場合に適用されます。
また、上場日が当該発行者の事業年度開始後3月以内の日となる期越え上場の場合には、その事業年度開始後3月を経過した日が起算日となり、上場後3年間の免除期間が確保されています。
(2)適用除外
上場日の属する事業年度の直前事業年度に係る連結貸借対照表もしくは貸借対照表に資本金として計上した額が100億円以上、又は当該連結貸借対照表もしくは貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が1,000億円以上の会社は適用除外とされています。

7. 上場審査の流れ

申請から承認までの流れと期間

上場審査は、上場会社として一定の品質基準を満たしていることを、証券取引所が上場審査基準に基づいて、判断する審査です。
上場審査手続きの流れは「上場申請→上場審査→上場承認(対外公表)→上場」となります。

上場申請から上場承認日までの審査は、本則市場で3カ月、マザーズ等新興市場で2カ月の標準期間をもって実施されます。また、上場承認から上場までは、1カ月程度の標準期間を要します。
詳しくは、日本取引所グループのwebページ「上場準備~上場申請(取引所による審査)」のフロー図を参照ください。
http://www.jpx.co.jp/regulation/listing/eligibility/

上記によると、日本取引所自主規制法人は上場審査の形式基準及び実質基準への適合状況を、申請会社が作成した申請書類や申請会社へのヒアリング・面談を数回(3~4回程度)実施した上で、確認します。また、実際に申請会社の本社や重要な事業拠点に審査担当者が赴いて、実地調査も行います。上記確認、実地調査で3カ月程度を要します。

審査の最終段階では、申請会社の社長と面談を行い、現状の事業環境や今後の展開、コーポレート・ガバナンスについての見解などのヒアリングを行います。また、監査を行った公認会計士や監査役と面談を行います。

上場承認(対外公表)後、ファイナンス(IPO)を実施し、上場まで1カ月程度を要します。

8. 上場準備プロジェクトチームの編成

1. 上場準備プロジェクトチームとは

上場準備プロジェクトチームは、株式上場までの一時的な機関として各部署から人材を集めて編成し、上場準備作業に対応するチームのことをいいます。下記 4. であげたような多くの事前準備、審査書類の作成、社内管理体制の整備が必要となってくるため、全社が一丸となって取り組むことが肝要です。

2. 編成時期

プロジェクトチーム編成の時期は、会社の規模や会社の社内管理体制の整備状況によって異なりますが、一般的には大規模な会社の場合は上場申請直前期末から3年以上前に、ベンチャー企業の場合は、上場申請直前期末から2年以上前には発足させることが望ましいです。

3. 組織編成

プロジェクトチームは、社長または管理部門を担当する役員等が株式上場準備の最高責任者として直轄する組織とすることが効果的です。
プロジェクトリーダーは、主幹事証券会社や監査法人との対応窓口や、プロジェクトチームのスタッフを指揮し、上場準備の進捗管理を行う実務上の責任者となりますので、会社全体を把握している管理部門の部長クラスが適任です。
スタッフは実際に上場申請書類等の作成を担当しますので、担当業務の作業内容等に精通している課長や係長クラスが適任です。

4. 業務内容

プロジェクトチームの主な業務内容は以下の通りです。
1. 証券会社、監査法人の対応窓口
2. 上場スケジュールの作成
3. 社内部門との連絡、調整
4. 経営計画及び予算制度の整備
5. 経営管理体制の整備
6. 社内規程の整備
7. 会計制度の整備
8. 関係会社の整備
9. 上場申請書類の作成
10. 上場基準の検討
11. 上場審査への対応
12. 会社と特別利害関係者等との取引の整理
13. 内部統制報告制度への対応

9. 証券会社及び証券代行機関の決定時期

1. 主幹事証券会社とは

主幹事証券会社は、株式上場準備作業全般にわたり会社の立場に立ったアドバイスを行ったり、取引所の行う上場審査の前には第三者的立場で会社を審査する役割を担ったりします。このため、できるだけ早期に決定することが望ましいと言えます。

上場準備の早期の段階では、①上場スケジュール、②上場申請書類、③事業計画の策定、④資本政策の策定、⑤内部管理体制の整備等に関するアドバイスを受けることになります。

特に事業計画は、上場時の公募株価の形成や株式上場の可否に影響しますので、上場準備の比較的早期の段階からアドバイスを受けることが望ましいです。

2. 主幹事証券会社各部門(営業部門、公開引受部門、引受審査部門)の役割

営業部門、公開引受部門、引受審査部門の順で、会社よりの立場から第三者的な立場に移行していきます。

(1)営業部門
上場準備の早期の段階では、営業部門より、助言を受けます。
(2)公開引受部門
公開引受部門では、①上場スケジュール、②上場申請書類、③事業計画の策定、④資本政策の策定、⑤内部管理体制の整備等に関するアドバイスを受けることになります。
内部管理体制が整備され、上場申請書類の草案ができる頃になると、事前チェックやアドバイスを受けます。
(3)引受審査部門
公開引受部門の指導が終わり証券取引所の上場審査前に、主幹事証券会社の審査部門が第三者的立場で会社を審査します。

3. 証券代行機関の役割

(1)証券代行機関とは
証券取引所では、株券の不正発行防止、株券の流通の円滑化、名義書換事務の適切な運営のため証券代行機関に株式事務を委託することとしています。証券代行機関は、株主名簿管理人として、株主名簿の作成や配当処理等の株式に関する事務を円滑に行うための機関です。
(2)証券代行機関の役割
証券代行機関は、信託銀行といくつかの株式事務代行の専門会社が取り扱っています。
信託銀行等には、資本政策に関して法律面のアドバイスを期待するため、資本政策に着手する段階から、この証券代行機関を決定しておくことが望ましいです。

10. 監査法人の決定時期

1. 監査法人の役割

IPOにおいて監査法人の役割は、財務諸表監査および上場準備に関する助言指導になります。

上場準備会社が用意する必要のある申請書類に含まれる財務諸表及び連結財務諸表については、金融商品取引法に準ずる監査を受けていることが必要です。

また監査法人は、売上、仕入、費用の計上基準、棚卸資産の評価方法等の会計処理についてや、監査の対象となる財務諸表等(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表等)の作成において、助言指導を行います。

ただし、監査の独立性の観点から、財務諸表の作成業務を監査法人が直接行うことはできません。

2. 監査法人の決定時期

原則として上場申請直前期以前の2年間の財務諸表及び連結財務諸表について、監査法人による金融商品取引法に準ずる監査を受ける必要があります。監査対象期間の期首以前に監査法人と監査契約を締結する必要があります。

11. IPOにおける監査法人のショートレビュー

1. ショートレビューとは

ショートレビューとは、監査法人が1週間程度で株式上場を検討している会社に対して、株式上場の課題を集中的に調査し、課題を報告し、上場までの具体的なスケジュールを提案することを言います。

2. ショートレビューでの調査項目

株式上場を決めたら、株式上場準備作業前までに監査法人のショートレビューを受けることが望ましいです。

監査法人が実施するショートレビューは、下記事項を中心に調査します。
1. 上場に際して重要とされる組織管理体制や内部管理体制の整備
2. 中期経営計画や予算
3. 月次決算制度等の利益管理制度
4. 会計制度や原価計算の整備状況
5. 過年度の損益の分析
6. 関係会社や特別利害関係者との取引関係や状況等

会社は、監査法人のショートレビューを受けることで会社の課題を事前に把握し、作業の優先順位を明確にすることが大切です。

12. 株式上場スケジュール

上場スケジュールは、詳しくは、日本取引所グループのHP「上場スケジュール」のフロー図を参照ください。
http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/basic/02.html

上場に向けて、証券会社や監査法人等のアドバイスをもとに、社内体制の整備を進めていきます。また上場審査基準との関係で、上場申請までに、申請直前2期間分の監査証明が必要となります。

上場審査に要する期間

上場審査には形式基準と実質基準があります。

実質基準は実質的に審査される基準の観点から上場会社にふさわしいか、下記の項目が審査されます。形式的な数値基準はなく、これをクリアする内部管理体制の整備には相当な準備期間がかかります。一般的に、2~3年を要します。

1. 企業の継続性及び収益性
2. 企業経営の健全性
3. 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
4. 企業内容等の開示の適正性
5. その他公益又は投資者保護の観点から証券取引所が必要と認める事項について

申請直前々事業年度までに、内部管理体制の整備が完了しているのが望ましいです。
また、上場後の内部統制報告制度の適用開始に備えて、上場準備段階から上場会社と同水準の内部管理体制を構築しておくことが望ましいです。

参考書籍:
『Q&A 株式上場の実務ガイド』あずさ監査法人(中央経済社)
『IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブック(第2版)』新日本有限責任監査法人(同文舘出版)
参考サイト:
東証への上場/日本取引所グループ
http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/index.html
公認会計士・税理士 福留 聡

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