「『長期』買掛金」ってあるの?
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
マイナビオールスターゲーム2018の開催まで残り一ヶ月ほど、先日ファン投票の中間発表がありましたね。
今回の中間発表で注目を集めたのは、セ・リーグの先発投手部門一位が中日・松坂投手、中継投手部門の一位が巨人・上原投手だったことではないでしょうか。
両投手は1998年のドラフトで一位入団、プロデビューした1999年には新人王、と年齢は少し離れていますが実は共通点が多かったりします。
さらには両投手ともプロ野球では沢村賞をはじめ数多くのタイトルを獲得、メジャーリーグ移籍後はワールドシリーズ優勝を経験するなど、間違いなく21世紀初頭の野球界を代表する選手の一人であると言えるでしょう。
オールスターに選出されれば松坂投手は12年ぶり、上原投手は11年ぶりの出場となりますが、パ・リーグの強力打線から三振を奪う雄姿を期待して応援したいと思います!
前回は「買掛金」と「未払金」との違いをテーマにお話しいたしました。
今回は前回の最後に予告したように、「未払金」の定義で気になった2つのポイントについて触れていきたいと思います。
まず一つ目のポイントは「短期金銭債務」という箇所です。
「未払金」とはすなわち「通常の営業取引以外により生じる『短期』金銭債務」ということでしたが、「短期」があるのなら「長期」もあるの?という疑問が浮かんできます。
ズバリその答えは「YES」です。
「通常の営業取引以外により生じる『長期』金銭債務」も当然ながら存在し、その場合の勘定科目は「長期未払金」となります。
なんだそのままか、と感じられた方もいらっしゃるかと思いますが、では同じように「長期買掛金」という勘定科目もあるのでしょうか。
その問いに対する解答は「NO」です。
なぜ「長期未払金」はあるのに「長期買掛金」はないのか、それには会計においてとても重要な二つの基準が関わってきます。
一つ目の基準は「一年基準」あるいは「ワンイヤー・ルール」と呼ばれているものです。
その定義は以下の通りです。
「資産・負債を貸借対照表上の流動区分又は固定区分のいずれに表示するかの基準の一つ。(中略)
一年基準は、決算日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは短期(流動資産又は流動負債)に分類し、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは長期(投資その他の資産又は固定資産)に属するものとする基準である。」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/search.php?kana=い#anc_9_2
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
「未払金」と「長期未払金」の分類は、この「一年基準」に基づいて行われます。
すなわち、決算の時点で翌期中に支払うものを「未払金」、翌々期以降に支払の期限があるものを「長期未払金」とします(決算期間が一年の場合)。
では同様の考え方で一年以内の支払であれば「買掛金」、一年超なら「長期買掛金」となりそうな所ですが、残念ながらそう単純ではありません。
ここでもう一つの基準である「正常営業循環基準」が登場します。
「資産・負債を貸借対照表上の流動区分又は固定区分のいずれに表示するかの基準の一つ。(中略)
正常営業循環基準は、正常な営業循環(営業サイクル)の中で現金化あるいは収益・費用化される資産・負債を短期(流動資産又は流動負債)と分類する基準である。
営業活動で発生する棚卸資産や売掛金・買掛金は営業循環にある資産・負債であるから、たとえ1年超の精算であっても流動資産(負債)に分類される。」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/search.php?kana=せ#anc_9_56
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
お気付きかと思いますが、上記の「正常営業循環基準」の定義の最初の文と前述の「一年基準」の最初の文は全く同じです。
いずれの基準も貸借対照表上で「短期」(流動)とするのか「長期」(固定)に表示するのかを定めるルールとなっています。
そしてまず基本的には「一年基準」によって分類されることとなりますが、いわゆる「通常の営業取引」に係る資産・負債のみ「正常営業循環基準」によって一年を超える入金・支払であっても例外的に全て「短期」とする、という感じです。
ですので「通常の営業取引」により生じる債務である「買掛金」は仮に支払期限が一年を超えていたとしても「長期買掛金」とはならず、全額「流動負債」に表示されます。
本当は前回予告した二つ目のポイント「未払費用とは異なる」も今回お話ししたかったのですが、思いの外長くなってしまいましたので次回にしたいと思います。
繰り返しになってしまい恐縮ですが、是非次回までに「未払費用」をテーマとしていた当連載の初回をご一読いただければ幸いです。
ノボル登場!実務上の「未払費用」のギモン
https://www.jusnet.co.jp/kusuri/022/1216.php
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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