もう一度おさらいです。~本当は怖い福利厚生費と源泉徴収~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの最新情報を中心に解説する
このコラムの第86回目です。
今回は源泉徴収と福利厚生費の関係について解説したいと思います。
4月のコラムでも源泉徴収についてはお伝えしましたが、
その際にお伝えできなかったことを含めて解説します。
まず、源泉徴収制度について、繰り返しになりますが、
原則として、
①法人や個人事業者などが(源泉徴収義務者)
②給与や利子、配当、税理士報酬など特定の所得を(源泉徴収対象所得)
③支払うときに
④定められた税率で所得税を計算し、支払うべき金額から控除して(源泉徴収税額)
⑤その控除した所得税を、原則として支払った翌月10日までに
⑥国に納付する
という制度とされています。
源泉徴収の対象となる所得については、主としたものは以下の通りです。
①利子等(公社債、預貯金の利子等)
②配当等(法人が支払う剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託の収益の分配等)
③給与等(給料、賃金、賞与等)
④退職手当等(退職手当、一時恩給等)
⑤公的年金等(国民年金、厚生年金等)
⑥報酬・料金等(原稿料、デザイン料、弁護士・税理士等の報酬など)
源泉徴収について国税庁ホームページにリンクがあります。
・平成30年版 源泉徴収のしかた(平成29年12月)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata2018/01.htm
・平成30年版 源泉徴収のあらまし(平成29年12月)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2017/index.htm
こちらには、給与所得等の源泉徴収事務や平成30年分の税額の求め方等がPDF形式で公開されています。
年度で改正点がございますので、新しい内容をチェックされておくのは、源泉徴収の事務担当者としては必須となります。
また、年の途中で新たに社員が入社した際等に必要となる、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載例もありますので参考にしてください。
・平成 30 年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h30_01.pdf
基本的な源泉徴収の処理は、このような点に気を付ければよいのですが、下記のような特殊な源泉処理もありますのでご注意ください。
これらは、「特殊な給与」としてタックスアンサーに公開されているものですが、実務担当者としては、落としやすい点もございます。
リンク先とともにピックアップしておきます。
2582 電車・バス通勤者の通勤手当
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm
2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
2588 学資に充てるための費用を支出したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2588.htm
2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm
2594 食事を支給したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm
2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
2600 役員に社宅などを貸したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2601.htm
2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm
2606 金銭を低い利息で貸し付けたとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2606.htm
2592 使用人等の発明に対して報償金などを支給したとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2592.htm
実務上、よく問題としてあげられるのは、
食事の支給、社宅家賃、社員旅行の3つです。
社内での規定の整備などの対策も必要ですが、福利厚生制度の活用も組み合わせて、税務調査の際に無用な指摘を受けないようにしたいものです。
社員旅行では、募集と参加の実態、行程、国内海外、泊数まで気にしなくてはいけません。
税金をかけることなく社員旅行を遂行するためには、知っておきたい点です。
実務担当者向けにステップアップの内容としては、下記の給与等に係る経済的利益に関する通達というものがあります。https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm
細かいことですが、取り違えたまま処理をするのも怖いことです。
気づいたときに修正しておきましょう。
なんとなくOKと思っていることがダメなことは多いです。
こちらをご一読されて参考にしてください。
特に、福利厚生費と関係では、社員のためを思っての会社の制度であり、会社としては良かれと思う部分もあるので非課税にしたいと思うところもありますよね。
もちろん給与に乗せて、課税処理という会社も多くあります。
しかし、社内規定を作り、税法ルールに従った制度設計をしておけば、多くの場合、課税されることはありません。
うまく活用し源泉徴収を避けるような事務運営も攻めの税務と言えます。
きちんと知り、漏れなく対応したいですね。
今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
給与と源泉、微妙なエリアです。
まずはルールを知っておくべきですね。
先日、こんな税法を知りました。
力士等に対する課税について
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/590311/01.htm
様々な取り扱いがあるものと感心するのと同時に税の歴史も感じます。
落語家さんなどが税で叩かれることは多く見ますが、力士さんが叩かれることはそう見ないです(笑)。
国税には寄り切られていないのでしょうか・・・
次回もお楽しみに。
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