何かと話題!!~仮想通貨・ビットコインについて(2)~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの最新情報を中心に解説するこのコラムの第84回目です。
前回に引き続き、仮想通貨・ビットコインについて、解説したいと思います。
前回は、仮想通貨・ビットコインについて、個人のことを中心にお伝えしたので、今回は、法人の仮想通貨・ビットコインに関する税務を中心にご紹介いたします。
なお、前回(Vol.83)につきましては下記リンクをご覧ください。
・何かと話題!!~仮想通貨・ビットコインについて(1)~
https://www.jusnet.co.jp/kusuri/023/1762.php
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、個人だけでなく法人でも利用・保有することができます。
法人で保有した場合についても、
ビットコイン等が購入時より値上がりしてたとしても(いわゆる含み益)、
売却していない限りは税金はかかりません。
仮想通貨の会計処理についてですが、企業会計基準委員会が、平成30年3月14日に実務対応報告38号「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」を公表しており、具体的な処理方法が定められております。
内容に軽く触れますと、保有する仮想通貨は、会計上の資産とすることが定められました。
同時に、保有する仮想通貨の期末の評価方法についても、取扱いが定められました。
(1)活発な市場が存在する仮想通貨の場合
市場価格に基づく価格をもって貸借対照表価格とし、帳簿価格との差額は当期の損益として処理する。
(2)活発な市場が存在しない仮想通貨の場合
取得価格をもって貸借対照表価格とする。
次に、税務の取り扱いをみておきます。
仮想通貨の取得価格における取扱いについてです。
同一の仮想通貨を過去において1度だけ取得したのであれば、その取得に要した費用が取得価格となります。
同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の所得金額を計算する際については、「移動平均法」によることが原則とされています。
ただし、継続適用を条件として「総平均法」を用いることも認められています。
次に、仮想通貨の消費税の取扱いについてです。
仮想通貨の譲渡の際の消費税の取扱いですが、消費税法上非課税取引として扱われ、消費税が課されることはありません。
次に、法人のビットコイン(=仮想通貨)に関する会計や税務の取扱いについて、事例に基づいてご紹介します。
(1)法人が売上の対価としてビットコインを受け取った際の会計処理
消費者が購入・決済した時のBTC交換レートでビットコインが送金されるので、受け取った時の交換レートでビットコイン建ての金額を認識します。
そして、上記で述べたように、取得したビットコインを期末時点で保有している場合には、時価評価をすることとなります。
(2)法人が仕入の対価をビットコインで支払った際の会計処理
ビットコインで支払った時には、支払った時の交換レートでビットコイン建ての金額を認識します。
そして、(1)の時と同じく、期末時にビットコインを保有している場合には、時価評価をすることになります。
(3)法人が海外送金の手段として、国内でビットコインを購入して海外送金した際の会計処理
海外にビットコインで送金するために、ビットコインを購入した時点では、「仮想通貨勘定」等の勘定科目で表示することとなります。
実際に海外へ送金した時点で、BTC交換レートで円貨換算し、仕入や外注費等として計上します。
なお、ビットコイン等で送金することで、送金の手数料を抑えられる効果があります。
(4)ビットコイン払いの領収書に印紙は必要か。
ビットコインによる支払いであることを領収書に記載すれば、記載金額にかかわらず、印紙の貼付は必要ありません。
最後に、仮想通貨での商品を購入の場合の、実際の計算方法について解説致します。
(例) 1月1日に5,000,000円で5ビットコインを購入
6月30日に450,000円の商品購入に0.4ビットコインを支払った。
計算式:450,000(商品価格)-[5,000,000÷5BTC] ×0.4BTC=50,000円(所得金額)
上記の例の場合、50,000円の所得(利益)が出ていますので、50,000円に対して税金がかかることになります。
前回もご紹介しましたが、国税庁が仮想通貨に関する計算方法を公開しています。
計算式を含めて、具体的に分かりやすく記載されていますので、参考にしてください。
・仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf
<参考文献>
税務弘報 2018年7月号(中央経済社)
「事例で学ぶビットコインの会計・税務Q&A」 (清文社 2018年2月)
今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
仮想通貨・ビットコインの会計や税務に関して2部構成でご紹介いたしました。
ここ最近一気に注目されている仮想通貨・ビットコインですが、急速に広まったこともあり、まだ細かい取扱い等が決まっていないことがあります。
今後、国税庁ホームページ等で仮想通貨に関する様々な情報が公開されることと思いますので、時々チェックをして、アンテナを張っておきましょう。
次回もお楽しみに。
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