資産除去債務の会計処理
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
プロ野球のペナントレースも佳境となってきましたが、これからしばらくは何と言っても高校野球・夏の甲子園大会ですよね!
今年は第100回という記念すべき大会であり、全国から史上最多となる計56校が甲子園に集結して熱戦が繰り広げられます。
明日(8月2日)には組み合わせ抽選会が行われますが、1回戦からどのようなカードがそろうのか今からとても楽しみです。
さらに今大会では毎日第1試合の前に、かつて甲子園を沸かした元球児たちによる「レジェンド始球式」が行われます。
第1日目に登場するのはいまだ語り草になっている「5打席連続敬遠」の松井秀喜さん、そして決勝戦の日は伝説の「決勝戦延長18回引き分け再試合」という死闘を演じた両エース・太田幸司さんと井上明さんのダブル登板となります。
その他合計18人もの元球児たちが登板するということですので、試合だけでなく始球式にも大注目ですね!
さて、前回は「築地市場移転問題」と絡めまして「資産除去債務」の概要をお話しました。
今回はその「資産除去債務」を計上する際の会計処理についてご紹介したいと思います。
では早速例題をあげて具体的な会計処理を見てみましょう。
【例題】
第10期の期首に製品製造用の機械を購入し、代金は現金で支払った。(取得価額:300万円、使用期間:3年)
使用期間経過後の廃棄費用は、30万円と見込まれている。
なお資産除去債務の計上にあたっては、割引率を2%として計算する。
【仕訳】
(取得時)機械 3,282,698 / 現金 3,000,000
/ 資産除去債務 282,698
(第10期期末)利息費用 5,653 / 資産除去債務 5,653
減価償却費 1,094,233 / 減価償却累計額 1,094,233
(第11期期末)利息費用 5,767 / 資産除去債務 5,767
減価償却費 1,094,233 / 減価償却累計額 1,094,233
(第12期期末)利息費用 5,882 / 資産除去債務 5,882
減価償却費 1,094,232 / 減価償却累計額 1,094,232
上記(取得時)の仕訳で計上されている「資産除去債務」の金額は、以下の計算式によって求められます。
300,000円(廃棄費用見込み額)÷1.02÷1.02÷1.02=282,698円
実際に廃棄するのは3年後なので、その3年後の30万円を割引率2%で現在価値に割り戻した金額を「資産除去債務」に計上する、という考え方です。
この割引計算については、以前お話しした「退職給付費用」の計上における「勤務費用」の求め方と同じような計算方法となっています。
https://www.jusnet.co.jp/kusuri/022/1737.php
そして上記例題で言えば「機械」となる有形固定資産に計上する金額は、取得価額に「資産除去債務」の取得時の計上金額を加えた金額となり、その合計金額を元に毎期の減価償却の計算を行っていきます。
また上記リンク先のコラムでご説明した「退職給付債務」と同様、「282,698円×2%=5,653円」のように計算して毎期「利息費用」を計上すると共に「資産除去債務」を積み上げていき、3年後には30万円の「資産除去債務」が貸借対照表に計上される、ということになります。
では次に廃棄する際の会計処理を見てみましょう。
取得時には廃棄費用を30万円と見込んでいましたが、実際には35万円かかってしまったケースです(現金で支払い)。
【仕訳】
減価償却累計額 3,282,698 / 機械 3,282,698
資産除去債務 300,000 / 現金 350,000
履行差額 50,000 /
まず「機械」と「減価償却累計額」を相殺するという仕訳は、通常の有形固定資産の廃棄の時と同じです。
その上で廃棄にかかった支払いについては「負債」に計上されていた「資産除去債務」と相殺するのですが、支払金額が「資産除去債務」の計上額を上回ってしまった場合その差額については費用計上します(「履行差額」などの科目を使用します)。
以上が「資産除去債務」の基本的な会計処理となります。
私が日商簿記1級を学んでいた当時はまだ「資産除去債務」の会計基準ができたばかりでしたので、試験で出題される問題も今回の例題とそこまで違わないレベルでした。
そのため割引計算さえ理解できていれば試験では得点源となる問題でしたが、実務においては将来の廃棄費用の見積りや適切な割引率の設定など複雑な要素も少なからず存在します。
会計基準が導入されてまだ10年と比較的新しい「資産除去債務」、しっかり勉強することで資格試験だけでなく実務でも周りの経理パーソンと差をつけましょう!
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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