築地市場移転問題はどうなった?
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
先週末はマイナビオールスターゲーム2018が開催されましたね。
第1戦は序盤からホームランの飛び交う点の取り合いとなりましたが、パ・リーグが辛くも接戦を制しました。
そして第2戦も中盤以降着実に得点を重ねたパ・リーグが快勝、昨年に引き続きパ・リーグの連勝という結果になりました。
また、試合前に行われたホームランダービーもかなり見応えがありましたね。
3分間ひたすらホームランを打ち続けるという形式でしたので、各選手の豪快なスイングと鋭い打球をたくさん見ることが出来てとても爽快な気分になりました。
そんな楽しかった球宴も終わり、すでに今週からペナントレースが再開しています。
今シーズンもついに後半戦となりましたが、最後まで贔屓のチームの勝利を信じて応援していきましょう!
日々多くのニュースが報道される中、少し前まで大きく取り上げられていたのに最近ちょっと影が薄いトピックの一つに「築地市場移転問題」があると思います。
皆さんお忘れかもしれませんが、実は今年(2018年)の10月11日に豊洲市場へ移転することが決定しています。
2016年に小池百合子都知事が就任して以来、二転三転しましたがようやく落ち着くところに落ち着きそうです。
(まだ「千客万来」施設の問題などは残っているようですが)
ところで、そもそもなぜ「築地市場移転問題」はこんなにこじれてしまったのでしょうか。
築地市場の仲買業者や付近で長年商売されている方々などの反対もありましたが、最も問題視されていたのは豊洲市場を建設することになった土地の土壌汚染についてでした。
豊洲市場が建てられた土地には、元々東京ガスの工場がありました(1988年まで稼働)。
東京都は1970年代から築地市場の再整備や移転を検討していましたが、2001年に当時の石原慎太郎都知事がその豊洲の東京ガス工場跡地への移転を決定しました。
この工場ではガスの製造や貯蔵が行われており、当初から土壌汚染のあることが分かっている中での移転決定でした。
当然都議会でも野党が猛反発しましたが、東京都は汚染された土を掘り出して浄化処理をした後埋め戻したので問題ないとして計画を進めました。
そして小池都知事が就任後に地下水の再調査を行った結果、やはり基準値以上の汚染物質が検出されて移転延期、といった辺りの経緯は皆さんご記憶に新しいところかと思います。
さて、長々「築地市場移転問題」のご説明をいたしましたが、この問題が経理と何か関係あるのかという疑問を持たれた方もいらっしゃるでしょう。
実は現在のテーマである「負債」の中の勘定科目の一つである「資産除去債務」にこの問題が関係しているのです。
実際に私が日商簿記一級の勉強をしていた時、資格学校の講師が「資産除去債務」を説明する際に例として真っ先にあげたのがこの「築地市場移転問題」でした。
では「資産除去債務」と「築地市場移転問題」にはどのような関わりがあるのでしょうか。
ということで、まずは「資産除去債務」の定義を見てみましょう。
「資産除去債務とは、有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。
有形固定資産の取得時に資産除去債務を合理的に見積もることができる場合は、その見積額を資産除去債務として負債に計上し、毎期の負担に属する金額を費用計上する。」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/search.php?kana=し#anc_4_26
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
ちょっと難しい説明ですが、イメージとして近しいのはマンションやアパートの「原状回復費用」です。
引っ越しでマンションなどから退去する際、壁紙貼り替えの代金などを「原状回復費用」として大家さんや管理会社から求められたりしますよね。
それと同様、会社においても賃借していた事務所から退去する際には「原状回復費用」を支払うことになります。
また東京ガスの工場はまさに当てはまるのですが、所有あるいは借りていた土地において土壌汚染などを起こしていた場合、それを取り除いてから退去することが法令によって定められていたりします。
そしてその除去にかかる費用についても、やはりその土地を使用していた会社が負担することになります。
そのような場合においてその見積金額が工場を建設した当初から分かっているのであれば、あらかじめその金額を「資産除去債務」として計上します。
これは退去時には必ず負担することになる費用であると考えられるため、いわゆる支払義務として「負債」に計上するといった感じです。
「資産除去債務」に関する会計基準は日本では2008年に設定されていますので、実際には「築地市場移転問題」の東京ガスの工場については適用されていません。
しかし「有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務」の例としては、この土壌汚染問題が会計基準ができた頃ちょうどタイムリーだったので、よくとりあげられていたのだと思います。
そんな「資産除去債務」ですが、その会計処理は上記の定義以上にややこしいものとなっています。
次回はそちらについてお話してまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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