今さらですが、「買掛金」と「未払金」
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
プロ野球は各チーム40試合ほどを消化し、来週からはいよいよセ・パ交流戦が始まりますね。
個人的に注目しているのは、西武の超強力打線をセ・リーグのエースたちがどこまで抑えられるかです。
最近は若干調子を落としつつあるようですが、一番・秋山選手以降OPSが.800から1.000を超えるような強打者がずらっと並ぶ上位打線はまさに脅威的と言えます。
今のローテーションから予想しますと、シーズン初めの不振が嘘のように今年も快投を続ける巨人・菅野投手やルーキーながら素晴らしい投球を見せてくれているDeNA・東投手などが西武戦に先発しそうです。
毎年セ・リーグの苦戦が目立つ交流戦ですが、これらエースたちの活躍で今年こそ2009年以来のセ・リーグの勝ち越しを期待しています!
さて、前回まで「負債」を大きなテーマに、15回以上に渡って「引当金」についてお話してまいりました。
今回からは「負債」に属する他の勘定科目をとりあげていきたいと思います。
ところで皆さん、最初に知った「負債」の科目が何だったか覚えていらっしゃいますか。
実務から経理や会計の世界に触れられた方であれば、それは様々かもしれませんが、簿記の勉強から始められた方であればほぼ同じだと思います。
そう、皆さんが思い浮かべたその科目は「買掛金」ですよね。
これがメンタリズムです(笑)
冗談はさておき、試しに手元にありました日商簿記3級の参考書を見てみますと、第1章は「簿記とは何か」というような序章で、第2章から本編が始まっています。
その第2章は「商品売買」がテーマで、現金仕入・現金売上に続いて早い段階で掛け仕入の説明もあり、そこに「買掛金」が登場します。
全部で250ページ以上ある参考書なのですが、冒頭の20ページよりも前に「買掛金」は出てきています。
そしてその時点までに登場している勘定科目は「現金」「商品」「売上」「仕入」「売掛金」くらいですので、「負債」としては「買掛金」が初の科目となっています。
これはあくまで一例ではありますが、恐らく多くの日商簿記3級の参考書やテキストでもほぼ同じようなページ構成だと思います。
そんな訳で、会計・経理のキャリアを簿記の学習から始められた皆さんの多くが初めて出合った「負債」は「買掛金」であったと考えられます。
それでは「買掛金」とはどのような科目だったでしょうか?
あらためてその定義を見てみましょう。
「仕入先との通常の取引(商品・原料の買入れ)によって生じたものの買入代金のうち、まだ支払われていないもの(カケ・ツケの未払額)をいう。つまり、買入先(仕入先)との間の通常の商取引に基づいて発生した営業上の未払いのこと。」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/contents_index.php?cid=2#anc_2_2
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
この中でポイントは「通常の取引」「営業上の未払い」「商品・原料」の3つです。
言い換えますと、その会社の本業(の1つ)が商品や製品といった「モノ」の販売であり、その販売用の商品や製品、あるいはそれを作るための材料という「モノ」を掛けで仕入れた際の代金でまだ支払っていない分が「買掛金」です。
ところで、同じ「代金の未払分」をあらわす勘定科目に「未払金」という科目がありますが、この「未払金」と「買掛金」との違いについてはっきりと認識されていますでしょうか。
では「未払金」の定義も見てみましょう。
「通常の営業取引以外により生じる短期金銭債務。
固定資産購入の未払代金や未払税金、未払配当金等がある。
法的な確定債務であり、法的債務として確定していない一定の役務契約に基づく未払費用とは異なる。」
(『会計用語辞典』(日経文庫))
ここでのポイントは「通常の営業取引以外」という箇所です。
「買掛金」は上記の通り「通常の取引に基づき発生した営業上の債務」でしたから、この点ですでに明確に異なっていることがお分かりになるかと思います。
ざっくり言ってしまいますと、「買掛金」以外の「代金の未払分」については「未払金」となることが多くなっています。
定義の中の例示にもありますように、固定資産などの販売用以外の「モノ」の購入代金のみならず、税金や配当金の未払い分まで「未払金」に含まれます。
ただ少し厄介なのは、全く同じ「モノ」の代金未払い分であっても、それが販売するために購入されたものであるかどうかによって「買掛金」と「未払金」を使い分けなければいけないという点です。
以下に具体例をあげてご説明いたします。
【例】土地を1億円で購入し、代金は翌月末に支払うこととした。
(ケース1)当社は不動産会社であり、この土地は販売するために購入した。
(ケース2)当社はメーカーであり、この土地は工場用地として購入した。
【仕訳】
(ケース1)仕入 100,000,000 / 買掛金 100,000,000
(ケース2)土地 100,000,000 / 未払金 100,000,000
上記例のように、同じ土地の購入であっても不動産会社にとってそれは商品の仕入れであり、その他の会社においては通常固定資産の購入となります。
そして定義の通り、商品仕入の未払いであれば「買掛金」、そうでない未払いならば「未払金」ということで上記のように仕訳をします。
絶対ではありませんが、借方に「仕入」が入る場合は「買掛金」、借方が「仕入」以外の科目だったら「未払金」というイメージが近いかと思います。
以上、「買掛金」と「未払金」の相違点についてはご理解いただけましたでしょうか。
実務においては、小売業や製造業以外の業種ですとそれ程「買掛金」は使われません。
私自身もサービス業での経理経験が中心であるため、これまで「買掛金」より「未払金」の方が仕訳する機会は圧倒的に多かったです。
そんな感じで実は「買掛金」以上に使用頻度の高い「未払金」ですが、今回ご紹介した定義の中にちょっと気になる記述がありました。
それは「短期金銭債務」という所と最後の「未払費用とは異なる」という箇所です。
次回はこちらに関してお話しようと考えておりますが、その前に是非「経理の薬」のバックナンバーにございます当連載の第1回目をお読みいただけると嬉しいです。
なんともう5年半以上も前、記念すべき連載初回に私は「未払金」と「未払費用」についてとりあげていたのです...
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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