消費税を学ぼう!(11)~消費税還付に関わる最近の報道~
お疲れ様です。ヨシオです。
令和元年度(第69回)税理士試験の合格発表まで、いよいよ残り10日を切りましたね。
毎年この時期になると落ち着かないものですが、今さら結果が変わる訳でもありません。
当コラムの読者である税理士試験受験生の皆様、合格していることを信じて心穏やかに来週末を迎えましょう!
さて現在連載している「消費税を学ぼう!」シリーズでは、ここ最近消費税の還付についてお話ししておりました。
前回「自販機スキーム」と呼ばれる消費税の還付方法をご紹介いたしましたが、その際触れたように現在では税制改正によってこの「自販機スキーム」を行うことはできません。
しかし「自販機スキーム」が封じられた後、実は別の消費税還付スキームが流行していました。
そしてつい先日この方法に関する報道がありましたので、今回は前回の予告を変更してその内容についてご紹介いたしたいと思います。
賃貸住宅オーナーの税逃れ防止 金取引利用し、消費税の控除悪用―20年度税制改正
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112500897&g=eco
詳しくは上の記事をお読みいただきたいのですが、「自販機スキーム」と同じく本来控除することができない賃貸経営用にマンションを購入した際支払った消費税を、本業とは全く関係のない金(ゴールド)の売買を大量に行うことで控除を可能にするという方法です。
ちなみに金取引を用いて消費税分を儲ける、という方法については以前のコラムでもお話ししていました。
消費税を学ぼう!(4)~海外からの輸入にも消費税がかかっている?~
https://www.jusnet.co.jp/kusuri/018/1837.php
もちろん上記コラムの中でご紹介していた金密輸による方法は違法ですが、賃貸マンションを経営する事業者が金取引を用いて消費税の控除を受けるというスキームは2019年現在においては法的に全く問題のない方法です。
しかし先ほどの記事の中にもある通り、明らかに本来あるべき消費税の納付を回避することだけを目的とする行為であるため、かつての「自販機スキーム」と同様に来年(2020年)の税制改正で規制される見通しです。
また税の還付に関わる法改正について、以下のような報道も先日ありました。
税還付金の利息下げへ 超低金利で7年ぶり圧縮―20年度改正
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112701203&g=eco
会計事務所や企業の経理部門にお勤めの方であればきっとご存じであろう「還付加算金」に関する改正です。
税金を払い過ぎてしまい後で還付を受ける場合、実際にその還付金が振り込まれるまでの期間分の利息がプラスされるのですが、この利息分のことを「還付加算金」といいます。
しかし税金の還付にも利息が付くということ自体、一般的にはあまり知られていないかもしれません。
しかもこの低金利の時代に「年利1.6%」というかなり高い利率がこれまで設定されていました。
今回の改正で0.5%引き下げられて「年利1.1%」となるようですが、2019年現在メガバンクの定期預金の利率が「0.01%」であることと比較するとそれでも破格の利息であると言えるでしょう。
そしてこの記事で消費税については一見触れられていないようですが、実は最後の「今回の上乗せ幅圧縮により加算金が大幅に減るといった影響が及ぶのは主に輸出企業となる見込み。」という部分がまさに消費税の還付に直接関わる箇所となっています。
ちなみに2019年11月28日付日本経済新聞朝刊にもこの「還付加算金」の利率引き下げについての記事が掲載されており、そこには消費税還付との関係についてよりはっきりと書かれています。
その記事によると「還付加算金」すなわち利息分だけで100億円を超えていた年もあったということで、決して無視できるようなレベルでないことはご理解頂けるかと思います。
今回ご紹介した報道ですが、いずれもあまり大きく取り上げられることはありませんでした。
消費税というと昨今どうしても増税や軽減税率に関することだけが注目されてしまいますが、このような小さな記事にも結構重要な内容が含まれていたります。
そしてそういった記事の内容をきちんと理解するためには、消費税の基本的な仕組みを知ることが必要となります。
次回は前回の予告に戻って「消費税のあらまし」「第8 控除税額等の計算は?」を用いてお話ししてまいりたいと思います。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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