消費税を学ぼう!(4)~海外からの輸入にも消費税がかかっている?~
お疲れ様です。ヨシオです。
令和元年度(第69回)税理士試験を受験された皆さま、本当にお疲れ様でした!
1カ月前に当コラムでも触れた通り、ヨシオの住んでいる東京では梅雨明けまで気温が低かったので「今年は試験の日も涼しいのかな~」という淡い期待もありましたが、例年通り猛暑の中での試験となりました。
九州の会場では台風の影響も大きかったようで、神様はなぜこんなに税理士試験受験生に試練を与えるのでしょうか...
それはさて置き、すでに専門学校の解答速報会も概ね終わり、今回の試験の出来もある程度お分かりになっているかと思います。
ですがまずはしばらく心身を休めて、今後のことを前向きに考えるためしっかり鋭気を養いましょう!
さて先日より消費税をテーマとしたシリーズをお送りしております。
今回も以下の「消費税のあらまし」を使ってお話ししてまいりたいと思います。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/01.htm
前回、消費税は「租税負担者」と「納税義務者」の異なる「間接税」であり、「租税負担者」が消費者で「納税義務者」は事業者であるということをお話ししました。
では「納税義務者」とはより具体的にどのような事業者を指すのでしょうか?
その点について、2ページの「[4]申告・納付は、だれが、どこに、いつするの?」には以下のように書かれています。
「納税義務者は、製造、卸、小売、サービスなどの各段階の事業者と、保税地域からの外国貨物の引取者です。」
前半部分にあげられている「製造、卸、小売、サービスなどの各段階の事業者」は、いわゆるメーカー・問屋・商店といったもののことでありイメージし易いかと思います。
しかし後半の「保税地域からの外国貨物の引取者」というのは、多くの方にとってはあまり馴染みがないかもしれません。
海外から商品などを輸入した際には関税が課せられるということは皆様ご存知かと思いますが、実は同様に消費税も申告・納付することになっているのです。
「ポイント」欄に「◎ 外国貨物の引取者 = 所轄税関長に」と書かれているように、港や空港にある税関において関税と一緒に消費税の申告・納付が行われています。
さてこの税関における消費税の申告・納付に関連して、数年前から以下のような報道が度々ありました。
(下記リンクは「日経電子版」会員限定記事となっています)
金密輸が急増、前年の22倍 消費税分「もうけ」狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO94553060Z21C15A1CR8000/
金(ゴールド)の売買については日本では消費税が課税されますが、海外では消費税が課税されない国も存在します。
外国で金を購入して日本に持ち込んだ場合、金の輸入ということになりますので、もちろん前述の通り税関で消費税の申告・納付を行わなければなりません。
しかし税関を通さずに日本国内に持ち込む、すなわち密輸することで消費税の納付を免れる行為が2015年当時急増していた、というのがこちらの記事の内容です。
日本国内における金取引には消費税が課されるため、金を貴金属店などに販売する際の価格は消費税を上乗せした金額になります。
税関で消費税を納付していたのであれば、販売した際に受け取った消費税が納付していた税額と相殺されるため、消費税については最終的にプラスマイナスゼロです。
しかしその販売した金が密輸したものであれば消費税を納付していませんので、その消費税分がまるまる儲かってしまうのです。
そして消費税率が5%から8%にアップしたことでこのように不当に得ることのできる金額が大きくなったため、消費増税の実行された2014年4月以降金の密輸が急増しました。
なお今年(2019年)10月の10%への消費税率の引き上げによってさらなる金密輸の増加が想定されることもあって、税関では以下のように取り締まりを強化しています。
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/20171107_gold02.pdf
ちなみに海外からの輸入や金密輸など何となく私たち一般の消費者には直接関係のない話のようですが、昨今ネットショップを通じて海外の通販を利用されるという方も少なくないかと思います。
その場合いわゆる個人輸入に当たりますので、実は私たちも税関に納付する消費税を負担していたりします。
通常配送業者などが代理で納付し私たちへの請求額に転嫁しているため気付いていませんが、輸入の際に課せられる消費税もこんな感じで意外に身近であるといえるかもしれません。
次回も引き続き「消費税のあらまし」の「第1 消費税はどんな仕組み?」の内容についてお話ししてまいりたいと思います。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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