年末調整の各種控除についての復習です。
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説するこのコラムの第94回目です。
今回は、前回に引き続き年末調整関連の情報をお伝えしたいと思います。
前回は、年末調整の概要や今年(平成30年)からの変更点等につきまして、ご紹介させていただきました。
今回は、年末調整で受けることができる主な控除の内容を中心にご紹介いたします。
最初に配偶者控除及び配偶者特別控除についてです。
前回も少しご説明させていただきましたが、配偶者控除及び配偶者特別控除は平成30年分以後より改正がありますので、詳細をご説明させて頂きます。
配偶者控除の要件は、
①民法の規定による配偶者であること。(内縁関係の人を除く)
②納税者と生計を一にしていること
③年間の合計所得が38万円以下であること。
(給与収入のみの場合は103万円以下)
なお、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。
配偶者特別控除は、配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があり、今年から適用できる幅が広がりました。
配偶者特別控除の要件は、
①控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
②民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人を除く)。
③控除を受ける人と生計を一にしていること。
④他の人の扶養親族となっていないこと。
⑤年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること。
配偶者特別控除を受けるためには「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出します。
前回ご説明した新しい書式の書類ですね。
配偶者控除、配偶者特別控除の控除額につきましては、配偶者の合計所得や納税者の合計所得により変わってきます。
下記の新制度が説明されているタックスアンサーにてその金額幅をご確認頂けましたら幸いです。
・No.1191 配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
・No.1195 配偶者特別控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
年末調整の特集ページにも下記の見出しでまとめられております。
「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」
http://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm
そして、FAQまでが準備されています。
http://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/pdf/koujo_faq.pdf
社員の方に新しい制度と書式がどのくらい理解してもらえるのかは心配が残りますね。
将来的には、マイナンバーでマッチングして自動処理をして頂きたいなとも思います。
次に扶養控除についてです。
年の中途で入社された方がいる会社につきましては、「扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要になります。
また、扶養対象者などの異動があった場合も申告書を修正する必要があります。
住民税の情報も記載が必要ですので年少者も漏れなく記入がいります。
記入用紙は、下記の通りです。
・平成30年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h30_01.pdf
所得税で控除対象とされる扶養者は、16歳以上の学生、生活資金の面倒を見ている別居の両親などです。
細かい規定は、扶養控除の対象となるのは、生計を一にする年齢16歳以上の親族のうち、合計所得金額が38万円以下(給与所得だけの人は給与収入金額が103万円以下)の人ですが、所得の金額の計算についてはきちんと確認をしておきたい点です。
最後に、各種の保険料控除についてです。
保険料控除には、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の4種類があります。
社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除については、支払った保険料(掛金)の全額が控除されます。
生命保険料控除につきましては、生命保険の加入状況に応じて、最高12万円までの控除を受けることができます。
地震保険料控除につきましては、
地震保険料のみの場合、最高5万円
旧長期損害保険料のみの場合、最高1万5千円
両方がある場合、最高5万円の控除を受けることができます。
なお、生命保険料控除と地震保険料控除を受ける場合は、
保険料控除申告書に加えて、保険会社から送付されてくる「保険料控除証明書」の提出が必要になります。
こちらも今年から新たに書式が変わった書類ですね。
また、この他にも障害者控除や寡婦(夫)控除、勤労学生控除、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除があります。
障害者控除や寡婦(夫)控除は、プライバシーにかかわることですが、きちんとヒアリングしておきたい点です。
なお、毎年、摘要の漏れが多い部分でもあります。
国税庁ホームページでは、先日「年末調整がよくわかるページ」が公開されました。
http://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
こちらのページに年末調整に関する情報が集約されています。
担当者様は目を通しておくとよいでしょう。
毎年行っている年末調整ですが、1年に1回のため、忘れていることもあるかと思います。
復習の意味もこめて、各種控除の内容をご確認いただけると幸いです。
☆☆☆
いかがでしたでしょうか。
年末調整の業務をすると、今年も終わるんだなぁーと感じます(笑)
11月になり、一段と寒くなりました。
また空気も乾燥していますので、体調管理にお気をつけください。
また次回をお楽しみに。
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