海外に子会社や支社のある法人必見!!~非居住者の税金(源泉所得税)について~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの最新情報を中心に解説するこのコラムの第90回目です。
今回は「非居住者の税金(源泉所得税)」について解説したいと思います。
「非居住者の税金」については、国税庁ホームページのタックスアンサー内の源泉所得税にリンクがあります。
・非居住者に対する課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/gensen36.htm
居住者の定義については、「国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人」
と所得税法において定められています。
なお、居住者以外が「非居住者」と呼ばれています。
・No.2875 居住者と非居住者の区分
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
一般的には、海外赴任が1年以内の方は「居住者」となり、海外赴任が1年以上(する予定の方)は「非居住者」ということになります。
この「居住者」と「非居住者」ですが、源泉所得税の課税対象の範囲が少し異なります。
「居住者」については原則として、日本国内はもちろん、国外において獲得した所得についても課税対象とされます。
一方で「非居住者」及び外国法人については、日本国内で獲得した「国内源泉所得」のみが源泉所得税の課税対象となります。
「国内源泉所得」の具体的な取引の説明につきましては、下記リンクをご確認ください。
・No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm
海外赴任が1年以上の「非居住者」が国外での勤務での給与については、原則として、日本の所得税は課税されません。
よって、非居住者となるまでに日本国内で得た給与について、源泉徴収された所得税を精算する必要があります。
その精算は例年の年末調整と同様の方法で行うこととされています。
・No.1920 海外出向と所得税額の精算
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1920.htm
なお、必要書類は通常の年末調整の書類と同様です。
・平成30年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(PDF/470KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h30_01.pdf
・平成30年分給与所得者の保険料控除申告書(PDF/343KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h30_05.pdf
・平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書(PDF/383KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/h30_71.pdf
また、海外赴任が1年以上の役員に対する給与については、上記の通常の給与とは異なりますので、ご注意ください。
簡単に説明しますと、海外で勤務している場合でも、日本の法人の役員の給与は日本国内で生じたものとして支払いをする際に20.42%の源泉徴収が必要になります。
なお、租税条約に異なる取扱いがあるときは、その取扱いが優先することになっています。
・No.1929 海外で勤務する法人の役員などに対する給与の支払と税務
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1929.htm
また、タックスアンサーに非居住者の不動産所得や株式譲渡等のことも記載されています。
・No.1926 海外転勤中の不動産所得などの納税手続
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm
・No.1932 海外勤務者の不動産の売却と税務
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1932.htm
・No.1936 海外転勤中に株式を譲渡した場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1936.htm
非居住者で日本国内において不動産所得がある場合には、日本で確定申告をすることが必要となります。
その場合「納税管理人」を定め、納税管理人が非居住者に代わり納税しなければなりません。
なお、不動産の売却においても、同様に「納税管理人」を定め、納税管理人が納税することとなります。
長期の駐在をされる予定の方は、ご親族や税理士法人に納税管理人をお願いしておきますと、税務手続きが漏れることがなく安心です。
さらに、非居住者からの土地の購入や非居住者に不動産の賃借料を支払ったときのことについても記載があります。
・No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2879.htm
・No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2880.htm
こちらにつきましては、土地を購入したときには、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、不動産の賃借料を支払ったときには、非居住者等に対して賃借料を支払う際に、20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならないこととされています。
今回は非居住者についての源泉所得税の原則をご説明しましたが、日本は多くの国々と租税条約を結んでおり、原則通りにならない場合もございます。
ご注意ください。
今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
非居住者についての税金(源泉所得税)についてご紹介いたしました。
近年、海外進出は、アジアを中心に拡大しております。
中小企業でも投資や事業活動を軸に活発です。
非居住者についての税金を理解しておくと事業展開も早まるでしょう。
次回もお楽しみに。
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