税務行政にもデジタル化の波~スマホで確定申告と納税?!~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説するこのコラムの第88回目です。
今回は「税務行政のデジタル化」について、解説いたします。
国税庁ホームページの新着情報に、「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況を掲載しました。(平成30年6月20日)というリンクがあります。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/syouraizou/index.htm
近年、ICT(情報技術)・AI(人工知能)の進展やマイナンバー制度の導入、経済取引のグローバル化等の環境の変化により、調査・徴収が複雑・困難しているようです。
また、消費税軽減税率制度やインボイス制度等の新たに実施される制度への対応のために、国税職員の業務量の増加が見込まれています。
このようなことから、ICTやマイナンバーなどを積極的に活用していくことにより、納税者の利便性を一層向上させ、納税者が自ら正しい申告と納税が行える環境を引き続き整備していくとともに、課税・徴収の効率化・高度化を進めるとしています。
上記のことが、昨年公表され、PDFにて公開されています。
税務行政の将来像~スマート化を目指して~(平成29年6月)(PDF/543KB)
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/syouraizou/pdf/smart.pdf
そして、今年の6月20日に最近の取組状況が掲載されました。
一部の内容をご紹介いたします。
「申告手続のデジタル化の推進」というのがテーマになっています。
まず、法人向けから、取組例ごとに、ご紹介いたします。
取組例① 法人の電子申告に必要な電子署名の簡便化
(平成30年4月より)
法人税法の改正により、法人の電子申告について代表者の電子署名のみで提出可能になりました。
取組例② イメージデータで送信された添付書類の紙原本の保存不要化
(平成30年4月より)
送信するイメージデータについて、紙原本の保存が不要になりました。
取組例③ 法人税申告書別表のデータ形式の柔軟化
(平成31年4月より)
別表のうち明細記載を要する部分(別表6(1))について、CSV形式による提出を可能となります。
(現状のXML形式はそのまま利用できるようです。)
取組例④ 国・地方を通じた財務諸表の提出先の一元化
(平成32年4月より)
法人税の電子申告により財務諸表が提出された場合には、
法人事業税の申告における財務諸表の提出が不要になります。
また、納付手続のデジタル化の推進についても記載されています。
1つ目はダイレクト納付について、複数の金融機関の口座登録が可能になりました。
(平成30年4月より導入済み)
これにより、税金の種類別に異なる口座を利用してダイレクト納付ができるようになりました。
2つ目はQRコードを利用したコンビニ納付が可能になる予定です。
(平成31年1月導入予定)
QRコード(PDF)をスマホに表示させて納付も可能になる予定です。
次に個人向けについてご紹介いたします。
取組例① スマートフォン等による電子申告を可能に
(平成31年1月導入予定)
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にスマートフォン・タブレット専用画面を提供予定
取組例② e-Taxの利用手続を簡便化
(平成31年1月導入予定)
マイナンバーカード方式やID・パスワード方式が導入される予定です。
取組例③ 年末調整手続の簡便化
(平成32年10月導入予定)
保険会社から電子的に交付された控除証明書を活用して、簡便・正確に控除申告書を作成できる仕組みを提供予定
なお、この他にも税務相談の自動化(メールやチャット対応やAIの活用)や調査・徴収でのAIの活用等が検討されているようです。
余談ですが、東京都主税局では、AIの実験を行っていたことがあります。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/oshirase/2018/20180426.html
また、上記のご紹介したことが他にも掲載されています。
ご確認ください。
・e-Taxの利用手続を簡便化します(個人の皆様向け)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/kojin_e-tax_riyou2.pdf
・大法人の電子申告の義務化の概要について
http://www.e-tax.nta.go.jp/hojin/gimuka/index.htm
・法人の皆様向けの利便性向上施策
http://www.e-tax.nta.go.jp/hojin/gimuka/sesaku.htm
・ ダイレクト納付口座の複数利用の開始について
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/fukusu_kaisi.htm
・国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/strategy/index.htm
今後さらに、私たち納税者の利便性の向上すると予想されます。
便利な制度・システムを逃さないためにも、定期的に国税庁ホームページをチェックしましょう。
今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
税務を含め、時代の流れはデジタル化になっています。
流れに乗り遅れないためにも、このような制度を積極的に活用しましょう。
次回もお楽しみに。
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