国税は迅速な対応をしてくれます~災害時の対応について~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説する
このコラムの第87回目です。
今回は、国税庁ホームページの災害時の対応について、解説いたします。
先日発生した西日本豪雨では、200人を超える犠牲者、また多数の建物等が浸水の被害を受けました。
被害にあわれた方には、心よりお見舞い申し上げます。
この度の西日本豪雨では、国税庁ホームページのトップ画面に「緊急なお知らせ」というリンクがあります。
・7月5日からの大雨により被害を受けられた皆様方へ(平成30年7月9日)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0709.htm
こちらには、災害被害によって通常の申告や納付等ができない場合の手続き等が記載されています。
簡単に説明しますと、所得税や法人税、消費税等について所轄税務署長に申請をし、承認を受けることにより納期の延長等を受けることができます。
下記に一部抜粋させていただきます。
1.災害により申告・納税等をその期限までにできないときは、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限の延長を受けられる場合があります。
2.災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、納税の猶予を受けられる場合があります。
3.災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法、災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、「所得税及び復興特別所得税の全部または一部を軽減」できる場合があります。
4.災害により被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができる場合があります。
また、給与等、公的年金等、報酬等から徴収される(又は徴収された)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けられる場合があります。
法人が災害で被害を受けた場合の対応についてご紹介させていただきます。
まず、災害時の法人税の取扱いについてですが、タックスアンサーに記載されています。
・No.8009 災害を受けたときの法人税の取扱い
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8009.htm
いくつか紹介させていただきます。
1.災害により滅失・損壊した資産等
法人の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、その被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。
・商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失
・損壊した資産の取壊し又は除去のための費用
・土砂その他の障害物の除去のための費用
2.資産の評価損
法人の有する棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産につき災害による著しい損傷が生じたことにより、その時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、帳簿価額と時価との差額につき、損金経理をすることにより、評価損を計上して損金の額に算入することができます。
3.復旧のために支出する費用
法人が災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)について支出する
次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。
・被災資産についてその原状を回復するための費用は、修繕費となります。
・被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
・被災資産について支出する費用(上記1又は2に該当する費用を除きます。)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
そして、災害損失の繰戻しによる法人税の還付についてパンフレットで公開されています。
・平成29年度税制改正(法人税関係)について《災害に関する措置の常設化》(PDF/352KB)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2017/pdf/01.pdf
また、災害損失の繰戻しによる法人税の還付についての記載例も公開されていますので、参考にしてください。
・災害損失の繰戻しによる法人税額の還付(法人税法第80条第5項)の適用を受ける場合の申告書等の記載例(平成29年6月)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2017/pdf/02.pdf
災害損失の繰戻しによる還付請求書の様式等について、各法人ごとにPDFで公開されています。
・単体法人用
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm
・連結法人用
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/renketsu/annai/1554_50.htm
次に災害時の消費税についてです。
消費税ですが、届出に関する特例がありますので、紹介させていただきます。
1.やむを得ない事情により課税事業者選択届出書等の提出が間に合わなかった場合
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6630.htm
こちらは、届出書の提出ができなかった場合には、所轄税務署長の承認を受けることにより、その課税期間前にこれらの届出書を提出したものとみなされます。
2.災害等により簡易課税制度の適用を受ける(受けることをやめる)必要が生じた場合
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6632.htm
こちらについては、上記の「4」の内容となります。
災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた事業者が、その被害を受けたことによって災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、若しくは適用を受ける必要がなくなった場合には、所轄税務署長の承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間等から簡易課税制度の適用を受けること若しくは適用をやめることができます。
今回は、国税庁ホームページの災害時の対応について解説しました。
なお、災害に遭われて申告・納税ができない場合等は、国税庁ホームページにもあるように、まずは税務署へ相談に行くことをお勧めします。
また、今回の災害の特例等については、今後更新される可能性があります。
国税庁ホームページをチェックしておきましょう。
即効性という意味では、国税庁オフィシャルツイッターも便利です。
https://twitter.com/NTA_Japan
ご参考になりましたら幸いです。
今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
まだ、正確な被害状況は分かっていません。
一刻も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
がんばれ西日本!
次回もお楽しみに。
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