経営者の悩みです... ~事業承継について~
こんにちは!税理士の山猫です。
国税庁ホームページの最新情報を中心に解説する
このコラムの第85回目です。
今回は「事業承継」について解説したいと思います。
株式会社東京商工リサーチの調査によりますと、2017年の全国社長の平均年齢は、61.45歳となり、調査開始以来過去最高年齢を更新しました。
このような状況から、平成30年度税制改正において、事業承継税制についても大きな変更がありました。
今回は事業承継税制を中心にご紹介いたします。
まず、簡単に事業承継とは、会社の経営(事業)を後継者に引き継ぐ(承継)ことを言います。
また、事業承継税制とは、後継者である受贈者・相続人等が、非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得し、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定条件のもと、
その納税を猶予し、後継者の死亡等により、贈与税・相続税の納付が免除される制度をいいます。
そして、平成30年度の事業承継税制改正では、
「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除」が主な改正内容となっています。
国税庁ホームページの新着情報に「事業承継税制改正」についてのリンクがあります。
・「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし」を掲載しました
(PDF/655KB)(平成30年4月11日)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201804/01.pdf
こちらは、あらましのタイトルにもありますように、非上場株式の相続や贈与の改正となっています。
そのため、上場会社株等の相続・贈与については改正(事業承継税制)の対象外となりますので、ご注意ください。
改正内容の概要をお伝えします。
平成30年度の税制改正では、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置が創設されました。
なお、上記の特例措置を利用するには、
①5年以内(2018年4月1日~2023年3月31日まで)の特例承認計画の提出が必要で
②10年以内(2018年1月1日~2027年12月31日まで)の贈与・相続等の発生という
条件付きになりますので、ご注意ください。
国税庁ホームページには、「事業承継税制特集」という特集ページも創設されています。
・事業承継税制特集
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm
こちらのページは事業承継税制に関する情報が集約されています。
Q&A・質疑応答事例や事業承継税制の適用に当たってのチェックシート、継続届出関係についても記載されています。
〇Q&A・質疑応答事例
・非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例等に関する質疑応答事例について
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/100216/index.htm
・非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/091124/index.htm
〇事業承継税制の適用に当たってのチェックシート
・非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例のチェックシート(平成29年1月1日以降用)(PDF/280KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/yoshiki2017/pdf/e.pdf
・非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例のチェックシート(平成29年分用)(PDF/276KB)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h29pdf/checksheet1.pdf
〇継続届出手続等
・非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予の継続届出手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/8510-09.htm
これらのQ&A等は一般措置に関するもののため、上記の特例措置(平成30年度の税制改正)は該当しませんので、ご注意ください。
そして、事業承継税制を適用するには、
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定等が必要となります。
具体的には、申請書・報告書の提出が必要になります。
事業承継税制に関する情報は、中小企業庁のホームページにも記載されています。
・中小企業庁ホームページ(財務サポート 「事業承継」)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html
中小企業庁では事業承継に関する相談も可能となっています。
また、事業承継に関するマニュアルやガイドライン等がPDFにて公開されています。
・事業承継マニュアル
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf
・事業承継ガイドライン
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf
・事業引継ぎハンドブック
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2015/150407hikitugi2.pdf
事業承継については、様々な引継ぎの方法があります。
ここでは、株式を引き継いだ場合の税のメリットに焦点を当ててますが、他にも、グループ会社間でに再編による統合やM&Aによる売却などの手法も存在します。
その会社にあった承継の仕方、オーナーさんの考えに沿った経営承継など、税のメリットも考慮しながら正しい情報をもとに判断したいものです。
上記、国税庁ホームページの情報をご活用頂けましたら幸いです。
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いかがでしたでしょうか。
少子高齢化によって人口が減少する為、「後継者がいないこと」や「後継者不足」で悩む経営者が非常に多いようです。
現代は「長男だから後継ぎになる」というようなことは、昔ほど多くはありません。
会社を残すために、このような制度を有効に活用しましょう。
次回もお楽しみに。
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