朗報 医療費控除より使えるSM税制って何でしょう?
こんにちは!税理士のヤマネコです。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説するこのコラムの第69回目です!
今回は、医療費控除・セルフメディケーション税制について解説致します。
まず、医療費控除を簡単に解説しますと、
その年の1月1日から12月31日までの間に医療費(10万円超)を支払った場合、確定申告をすることによって、一定の金額の所得控除を受けることができるという制度です。
医療費控除の対象となる金額の算出方法は、
「実際に支払った医療費の合計額-保険金等で補填される金額-10万円※」
となります。
※ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
このような算出方法の為、1年間で支払った医療費が10万円以下の人でも所得に応じて医療費控除を受けることができる可能性があります。
医療費控除について、国税庁ホームページでも説明のページがあります。
・医療費を支払ったとき(医療費控除)
(リンク先)https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm
また、医療費控除の対象となる医療費についても詳細について記載しているページがあります。
・医療費控除の対象となる医療費
(リンク先)https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122.htm
また、28年分の確定申告までは医療費の領収書の提出が必要でしたが、29年分の確定申告からは領収書に代わって医療費控除明細書の添付が必要になりました。なお、医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
※ただし、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付又は提示によることもできます。
下記にわかりやすく説明したパンフレットがあります。
平成29年分確定申告の医療費の明細書添付義務化のお知らせ(平成29年9月)
(リンク先)https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf
次に平成29年の1月より導入された、セルフメディケーション税制についてです。
下記のタックスアンサーにも概要の記載がされました。
・特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
(リンク先)https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1129.htm
その中で、セルフメディケーション税制とは、
「健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費(※)を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除)を受けることができます。
※特定一般用医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費をいいます。」
と説明されております。
厚生労働省のサイトに概要を図解説明しているページがあります。
(リンク先)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000124845.pdf
なお、計算方法は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く。)から1万2千円を差し引いた金額(最高8万8千円)です。
例としては、
年収500万円の方で、年間20,000円の対象薬品の購入をすると20,000円-12,000円=8,000円となり、仮に所得税率が20%が適用されているとすれば約1,600円の税金が戻ってくるイメージです。
医療費控除は10万円以上の医療費を支出した場合に対象となる制度ですので、それに比べると、1万2千円以上の医療費を支出した場合に対象となるセルフメディケーション税制を選択できることは使い勝手がよくなったと思います。
セルフメディケーション税制について、注意点は
・従来の医療費控除とは選択適用になる
・健康保持増進などへの取組が求められており、インフルエンザの予防接種や会社の健康診断、人間ドックなどを受けていることが前提となる
の2点となります。
なお、簡潔にまとめましたQ&Aは、下記のURL(PDFファイル)を参考にしてください。
「セルフメディケーション税制に関する Q&A」(厚生労働省)
(リンク先)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000176205.pdf
下記に一部抜粋してご紹介します。
Q1 セルフメディケーション税制とはどんな制度ですか。
適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成 29 年 1月 1 日~平成 33 年 12 月 31 日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定成分を含んだ OTC 医薬品(いわゆるスイッチ OTC 医薬品)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払った対価額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(上限:8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する新税制です。
Q3 従来の医療費控除との関係はどのようになっていますか。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)による所得控除と、従来の医療費控除を同時に利用することはできません。購入した対象医薬品の代金に係る医療費控除制度については、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制のどちらの適用とするか、対象者ご自身で選択することになります。
Q5 同一世帯の中に、従来の医療費控除により申告する人と、この税制により申告する人がいて構いませんか。
それぞれが所得控除を申告することができます。
と説明されてまして、基本的な部分を理解するには使いやすい資料となっております。
ご参考にして頂ければ幸いです。
昨年までは、医療費控除の10万円の壁があったのでレシートをとっておくかどうか悩ましかったのですが、セルフメディケーション税制ができて、選択の可能性が残りますので、念のため取っておくことをお勧めします。
もし、今年の1月から今までに購入された薬のレシートがあれば、確認してみてください。★印は、セルフメディケーション税制対象商品ですといった記載があると思います。
また、一部の商品については「セルフメディケーション税制 共通識別マーク」が表示されていますので、購入する前に確認してみてください。
以上、医療費控除・セルフメディケーション税制についてでした。
是非、国税庁ホームページをうまく使いこなし、業務効率アップにお役立てください。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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いかがでしたでしょうか。
ここ最近一気に寒くなりました。秋が一瞬で終わったような気がします(笑)これから益々寒くなりますので、体調を崩さないように気をつけましょう。
また次回をお楽しみに。
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