国税庁ホームページ新着情報ななめ読み
税務調査 相手の動きを知る
こんにちは!税理士のヤマネコです。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説するこのコラムの第46回目ですが、前回は、税務調査は、事前通知という手続で始まることをお伝えいたしました。
今回は、その後の手続きがどのようになるかにつき、見ていきたいと思います。
調査の流れは大まかにみると次にような流れになります。
1.日程などの問い合わせ
↓
2.事前通知
↓
3.調査の実施
↓
4.指摘事項に対する更正、修正
↓
5.更正決定等すべきと認められない旨の通知
↓
6.調査終了
実際に調査が始まりますと、
様々な対応を迫られることになります。
ここでは、調査実施からの手続の流れにつき、見ていきたいと思います。
こちらについては、下記のリンク先の説明が詳しいためそちらの内容をみていきます。
(リンク先)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
こちらは、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」というもので、国税庁内で発せられるいわば業務マニュアルのようなものです。
第1章 基本的な考え方、第2章 基本的な事務手続及び留意事項で構成されており、調査官が具体的にどのように対応すべきかが記載されております。
調査実施の考え方としては、次のように定義づけられております。
「調査の実施に当たっては、今般の法改正の趣旨を踏まえ、『納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する』との国税庁の使命を適切に実施する観点から、調査がその公益的必要性と納税者の私的利益との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識した上で、法令に定められた調査手続を遵守し、適正かつ公平な課税の実現を図るよう努める。」
とされております。
つまり、税務当局が、質問検査権という権利を振りかざすのではなく、納税者の理解と協力を得ながら進めるのが調査であって、そのためには、対応マニュアルを設けるから、それに従っていきましょうよという趣旨なんですね。
以下、具体的な手続を見ていきます。
第2章に、基本的な事務手続及び留意事項の記載があり、下記のように構成されております。
1 調査と行政指導の区分の明示
→ここに記載されているもので重要な点は、
「調査とは、国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的
その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいうこと」として、「特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しない。」
と定義しております。
つまり、調査対応時に、この行為が明確でないのでしたら、調査官に対して行為の是正を求めることも可能であろうかと思います。
2 事前通知に関する手続
→(1)事前通知の実施において、下記の通り記載があります。
「納税義務者に対し実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税義務者及び税務代理人の双方に対し、調査開始日前までに相当の時間的余裕をおいて、電話等により、法第74条の9第1項に基づき、実地の調査において質問検査等を行う旨、並びに同項各号及び国税通則法施行令第30条の4に規定する事項を事前通知する。この場合、事前通知に先立って、納税義務者及び税務代理人の都合を聴取し、必要に応じて調査日程を調整の上、事前通知すべき調査開始日時を決定することに留意する。なお、事前通知の実施に当たっては、納税義務者及び税務代理人に対し、通知事項が正確に伝わるよう分かりやすく丁寧な通知を行うよう努める。」
とされており、前回お話しました事前通知の手続きにつき、具体的な対応内容が決められております。
3 調査時における手続
→こちらでは、下記の通り、手続上の注意点が紹介されております。
(1)身分証明書等の携帯等
(2)通知事項以外の事項についての調査
(3)質問検査等の相手方となる者の代理人等への質問検査等
(4)帳簿書類その他の物件の提示・提出の求め
(5)提出を受けた帳簿書類等の留置き
(6)反面調査の実施
(7)証拠の収集・保全と的確な事実認定
ここで重要な点は、(4)から(7)までの部分です。
(4)は、資料の提示について、守秘義務などを踏まえて慎重に提示・提出を求める旨の記載があります。
知らず知らずになし崩し的に資料を見せてしまうことの内容に心がけます。
(5)は、提示された資料につき、必要に応じて、当局が資料を持ち出せるという点につき記載があります。
ただし、上記守秘義務も含むような重要書類のため、慎重なやりとりを行うことにつき詳細を記載してます。
(6)は、反面調査の際は、事前連絡などにつき、こちらも慎重な対応を心がけるようにという記載があります。
たしかに、取引先への照会は、イメージの悪化を招き、最悪は取引停止のようなこともありますので、会社側も当局と折り合いをつけて、なるべくであれば避けておきたいところです。
(7)は、調査において、最重要局面の対応です。
「申告内容等に関して非違が疑われる事項を把握した場合には、納税義務者及び税務代理人にその事項について十分な説明を求め、その意見又は主張を十分聴取した上で、納税義務者及び税務代理人の説明内容等を整理し、必要な証拠の収集・保全を行った上で的確な事実認定を行い」
と記載があります。
よく見解の相違というコメントが見られますが、まさにこの部分をしっかり対応するかしないかで、決まってしまいます。
取引も良くわかっていないのに、資料のみで非違事項を決めてしまったり、資料が不足しているにもかかわらず、非違事項があるという主張をうのみにしてしまったりと、最後の最後の詰めで、調査の結論が変わってしまったりするものです。この部分をきちんと手続き通り、確認して、当局より納得のいく提示を受けたいものですね。
今回は、税務調査手続に関する情報でした。
調査終了の手続きは、また次回にしたいと思います。
今回は、少し難し目の内容にしてみました。
実際の調査では、対応する方にある程度の法律知識があった方がよいと思います。
今回の事務運営指針は、法律ではありませんが、相手が使うマニュアルです。
それを知っておくことで円滑に進められるのであれば、お互いにとってプラスになると思います。
国税庁のホームページを活用して、効率的なお仕事ができるように役立てて頂けましたら幸いです。
☆☆☆
いかがでしたでしょうか。
調査は、対応も準備もヘビーですね。
でも必要な手続きです。
知識をつけて乗り切っていきましょう。
さて、税理士サッカー日韓戦ですが、今年は敵地韓国で行われ、5-2で勝利してきました!!
ヤマネコも、逆転の2ゴールでした。
また次回をお楽しみに。
国税庁ホームページの「最新情報」を中心に解説するこのコラムの第46回目ですが、前回は、税務調査は、事前通知という手続で始まることをお伝えいたしました。
今回は、その後の手続きがどのようになるかにつき、見ていきたいと思います。
調査の流れは大まかにみると次にような流れになります。
1.日程などの問い合わせ
↓
2.事前通知
↓
3.調査の実施
↓
4.指摘事項に対する更正、修正
↓
5.更正決定等すべきと認められない旨の通知
↓
6.調査終了
実際に調査が始まりますと、
様々な対応を迫られることになります。
ここでは、調査実施からの手続の流れにつき、見ていきたいと思います。
こちらについては、下記のリンク先の説明が詳しいためそちらの内容をみていきます。
(リンク先)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
こちらは、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」というもので、国税庁内で発せられるいわば業務マニュアルのようなものです。
第1章 基本的な考え方、第2章 基本的な事務手続及び留意事項で構成されており、調査官が具体的にどのように対応すべきかが記載されております。
調査実施の考え方としては、次のように定義づけられております。
「調査の実施に当たっては、今般の法改正の趣旨を踏まえ、『納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する』との国税庁の使命を適切に実施する観点から、調査がその公益的必要性と納税者の私的利益との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識した上で、法令に定められた調査手続を遵守し、適正かつ公平な課税の実現を図るよう努める。」
とされております。
つまり、税務当局が、質問検査権という権利を振りかざすのではなく、納税者の理解と協力を得ながら進めるのが調査であって、そのためには、対応マニュアルを設けるから、それに従っていきましょうよという趣旨なんですね。
以下、具体的な手続を見ていきます。
第2章に、基本的な事務手続及び留意事項の記載があり、下記のように構成されております。
1 調査と行政指導の区分の明示
→ここに記載されているもので重要な点は、
「調査とは、国税に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的
その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいうこと」として、「特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しない。」
と定義しております。
つまり、調査対応時に、この行為が明確でないのでしたら、調査官に対して行為の是正を求めることも可能であろうかと思います。
2 事前通知に関する手続
→(1)事前通知の実施において、下記の通り記載があります。
「納税義務者に対し実地の調査を行う場合には、原則として、調査の対象となる納税義務者及び税務代理人の双方に対し、調査開始日前までに相当の時間的余裕をおいて、電話等により、法第74条の9第1項に基づき、実地の調査において質問検査等を行う旨、並びに同項各号及び国税通則法施行令第30条の4に規定する事項を事前通知する。この場合、事前通知に先立って、納税義務者及び税務代理人の都合を聴取し、必要に応じて調査日程を調整の上、事前通知すべき調査開始日時を決定することに留意する。なお、事前通知の実施に当たっては、納税義務者及び税務代理人に対し、通知事項が正確に伝わるよう分かりやすく丁寧な通知を行うよう努める。」
とされており、前回お話しました事前通知の手続きにつき、具体的な対応内容が決められております。
3 調査時における手続
→こちらでは、下記の通り、手続上の注意点が紹介されております。
(1)身分証明書等の携帯等
(2)通知事項以外の事項についての調査
(3)質問検査等の相手方となる者の代理人等への質問検査等
(4)帳簿書類その他の物件の提示・提出の求め
(5)提出を受けた帳簿書類等の留置き
(6)反面調査の実施
(7)証拠の収集・保全と的確な事実認定
ここで重要な点は、(4)から(7)までの部分です。
(4)は、資料の提示について、守秘義務などを踏まえて慎重に提示・提出を求める旨の記載があります。
知らず知らずになし崩し的に資料を見せてしまうことの内容に心がけます。
(5)は、提示された資料につき、必要に応じて、当局が資料を持ち出せるという点につき記載があります。
ただし、上記守秘義務も含むような重要書類のため、慎重なやりとりを行うことにつき詳細を記載してます。
(6)は、反面調査の際は、事前連絡などにつき、こちらも慎重な対応を心がけるようにという記載があります。
たしかに、取引先への照会は、イメージの悪化を招き、最悪は取引停止のようなこともありますので、会社側も当局と折り合いをつけて、なるべくであれば避けておきたいところです。
(7)は、調査において、最重要局面の対応です。
「申告内容等に関して非違が疑われる事項を把握した場合には、納税義務者及び税務代理人にその事項について十分な説明を求め、その意見又は主張を十分聴取した上で、納税義務者及び税務代理人の説明内容等を整理し、必要な証拠の収集・保全を行った上で的確な事実認定を行い」
と記載があります。
よく見解の相違というコメントが見られますが、まさにこの部分をしっかり対応するかしないかで、決まってしまいます。
取引も良くわかっていないのに、資料のみで非違事項を決めてしまったり、資料が不足しているにもかかわらず、非違事項があるという主張をうのみにしてしまったりと、最後の最後の詰めで、調査の結論が変わってしまったりするものです。この部分をきちんと手続き通り、確認して、当局より納得のいく提示を受けたいものですね。
今回は、税務調査手続に関する情報でした。
調査終了の手続きは、また次回にしたいと思います。
今回は、少し難し目の内容にしてみました。
実際の調査では、対応する方にある程度の法律知識があった方がよいと思います。
今回の事務運営指針は、法律ではありませんが、相手が使うマニュアルです。
それを知っておくことで円滑に進められるのであれば、お互いにとってプラスになると思います。
国税庁のホームページを活用して、効率的なお仕事ができるように役立てて頂けましたら幸いです。
☆☆☆
いかがでしたでしょうか。
調査は、対応も準備もヘビーですね。
でも必要な手続きです。
知識をつけて乗り切っていきましょう。
さて、税理士サッカー日韓戦ですが、今年は敵地韓国で行われ、5-2で勝利してきました!!
ヤマネコも、逆転の2ゴールでした。
また次回をお楽しみに。
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弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
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