「適正在庫」のために管理するのは在庫の数と...?
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
4年ぶりに開催された世界野球WBSCプレミア12の第2回大会は、我らが日本代表・侍ジャパンが見事優勝を果たしました!
WBCや五輪といった世界大会では毎回のように苦しい試合が続きますが、今大会でも序盤リードを許しながら終盤に逆転という展開が多かったように感じます。
そんな中、今回の侍ジャパンで特に素晴らしかったのはリリーフ陣の安定感でしたね。
これまでの世界大会では先発を主としている投手をリリーフにするケースもありましたが、今大会はシーズン中からリリーフ専門であった投手が多く選抜され、緊迫した場面でも危なげない投球を見せてくれました。
来年の東京五輪は夏ということで投手陣の疲れもピークの時期かと思いますが、今大会のように盤石な継投が見られることを期待しています!
さて「『下町ロケット』の佃製作所の経理部は、普段どんな仕事をしているのか?」についてお話ししております。
今回も前回に引き続き「在庫管理」について取り上げます。
「経理・財務サービス・スキルスタンダード」における「在庫管理」の具体的な業務内容は、以下の「業務マップ」にまとめられています。
前回は「在庫管理」の3つの大きな業務分類のうち「残高管理」と「受払管理」の解説をいたしました。
今回は最後の「適正在庫管理」についてお話しいたしたいと思います。
書籍「『経理・財務』実務マニュアル上 三訂版」の58ページには「適正在庫管理」の概要として以下のような記述があります。
「適正在庫とは、保有することによるコストを最小限に抑え、品切れを起こさず、かつ過剰な在庫を持たない状態をいいます。
適正在庫を保つために、数量面、年齢(在庫期間)面から在庫管理を行っていく必要があります。」
「在庫管理」の業務の中でもこの「適正在庫管理」が最も重要なものとなります。
前回お話しした「残高管理」「受払管理」という2つの業務も最終的に「適正在庫管理」を行うことが目的である、と言っても良いかもしれません。
「残高管理」と「受払管理」によってストック・フローの両面から在庫の現状を正確に把握した上で、今後どのように在庫を調整していくことがベストなのか、その管理を行うのが「適正在庫管理」という業務です。
そして上記の記述にある通り、その内容は数量面を管理する「適正在庫検証」と在庫期間の管理を行う「在庫年齢管理」の2種類の業務に分けられます。
まず数量面からの管理である「適正在庫検証」ですが、こちらはイメージし易いかと思います。
上記の記述にもあるように「品切れを起こさず、かつ過剰な在庫を持たない状態」を保つように在庫数を管理する業務です。
この業務において特に重要となるのが、会社にとって最も望ましい在庫数の水準を設定することです。
その点について、書籍「『経理・財務』実務マニュアル上 三訂版」の先ほどと同じ58ページには以下のように書かれています。
「品切れや在庫切れで営業部門や製造部門の活動に支障をきたさない水準の在庫の確保をベースに目標値を決定する方法をいいます。
(中略)在庫回転率など社内の指標を基に、納入期間や販売計画を考慮して設定することが重要です」
以前私がメーカーの原料調達部門で働いていたことを前回お話ししましたが、その当時営業部門や製造部門(工場)との間の調整で苦労した経験があります。
原料を仕入れる際、いつでも必要な量を予算内の価格で購入できるという訳ではないので、急に大量の受注があった場合などはいくつもの仕入先に問い合わせなければなりませんでした。
ある程度余裕のある数の在庫を常に準備していれば良いのでしょうが、実際には保管コストや原料の品質劣化などの理由から工場では可能な限りギリギリの量だけを持つようにしていました。
そしてもう一つの業務が「在庫年齢管理」、まさに今触れました品質劣化などはこちらに関連してきます。
原材料に限らず商品・製品もほとんどのものが時間の経過と共に品質が低下していきます。
また仮に劣化が無かったとしても、新しい製品の開発などによってその性能が陳腐化してしまうこともあります。
(例外として減価償却を行わない土地や書画骨董などについては基本的に劣化や陳腐化は考慮されません)
このケースにおける会計処理ですが、前回登場した「棚卸減耗損」と同じように簿記検定でもお馴染みの「商品評価損」を計上します。
ただ「商品評価損」ですとあくまで商品の在庫に限定されてしまいますので、「棚卸資産評価損」という勘定科目を使用することもあります。
【棚卸資産評価損】
期末在庫の評価において、時価が取得価額を下回った場合に計上される損失のこと。
<仕訳例>
商品の取得価額は2,400円であったが、期末時点の時価は2,000円であった。
棚卸資産評価損 400 / 商品 400
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/contents_index.php?cid=3#anc_3_24
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
またこのような劣化や陳腐化によって販売や製造に使用できる見込みがなくなってしまった在庫に関しては、それ以上の保管コストを避けるため廃棄などの処分を検討することにもなります。
さて3回に渡って「在庫管理」という業務についてお話ししてまいりましたが、佃製作所のように技術力が強みのメーカーの場合、特に最後に取り上げた「在庫年齢管理」が重要になると考えられます。
例えば「下町ロケット」シリーズの最初のメインストーリーであるロケット開発の分野では世界規模のし烈な競争が繰り広げられており、その技術も日進月歩で発展しています。
作中にもあったように得意先から突然納入計画の見直しが言い渡された場合、その時点では最先端の性能を持つ製品であったとしても、新しい販売先を開拓している間にライバル企業に対する競争力を失いかねません。
経理業務は必ずしも会社の本業に直結しないことも少なくありませんが、この「在庫管理」に関しては利益だけでなく売上にも大きく影響する業務であると言えます。
次回は佃製作所の経理で重要と考えられる業務の2つ目となる「固定資産管理」についてお話ししてまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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