経理界のホームラン王?! ノボルの経理スコアブック

佃製作所と帝国重工(?)を徹底比較!

どうも、野球大好き経理マンのノボルです!

令和初の甲子園大会となった第101回全国高等学校野球選手権大会もついに最終局面を迎えています。
今年はベスト4に残った高校が全て春・夏ともに甲子園大会の優勝経験がない、というちょっと珍しい大会となりました。
星稜高校などは甲子園の常連校ですので、まだ優勝していなかったというのは意外でしたが、どの高校が優勝してもまさに悲願の初優勝ということになるでしょう。
今週は全国的に雨模様で甲子園の天気も気になりますが、高校球児たちの激闘を最後まで応援していきましょう!

さて「『下町ロケット』の佃製作所は本当に『吹けば飛ぶような中小企業』なのか?」をテーマにお話しております。
前々回そして前回と中小企業庁が毎年行っている「中小企業実態基本調査」の統計データを用いて、佃製作所の売上高・利益について分析してみました。

結論としては、売上高においても利益面においても佃製作所は中小企業である製造業の中では我が国でもトップレベルといえる優良企業でした。

ただ、これはあくまで中小企業に限っての話です。
「下町ロケット」の作中で佃製作所を「吹けば飛ぶような中小企業」と最初に揶揄していたのは、日本でも有数の大企業である「帝国重工」でした。
いくら優良企業とはいっても所詮は中小企業、天下の帝国重工から見れば佃製作所など取るに足らないほどちっぽけな存在なのかもしれません。
では本当にそこまで帝国重工と佃製作所には差があるのか、実際に比較してみましょう。
...といきたいところなのですが、作中で帝国重工の業績については佃製作所のように具体的な数字が描かれていません。
数字が無ければ比較のしようがないのですが、実は帝国重工にはモデルとなった企業があるといわれています。
それは「三菱重工業株式会社」です。

https://www.mhi.com/jp/

三菱重工といえば産業機械からインフラ設備、航空・船舶・自動車といった輸送機械、さらには戦車などの防衛産業まで手掛ける日本を代表する一大企業グループです。
そして「下町ロケット」第1作のメインともいえるロケット打ち上げなどの宇宙事業にも力を入れています。
日本初の純国産ロケットである「H-IIAロケット」は、宇宙開発事業団(NASDA)(現・宇宙航空研究開発機構(JAXA))が三菱重工と共に開発したロケットです。

そして現在では「H-IIAロケット」の打ち上げ事業そのものがJAXAから民間企業である三菱重工に移管されています。
まさに日本の宇宙開発の最前線にいるのがこの三菱重工ですから、「下町ロケット」で帝国重工という企業を描くにおいて著者が全く意識していないということはないと思います。
著者である池井戸潤さんは明言していませんので、確実に帝国重工のモデルが三菱重工であるとは言い切れませんが、少なくとも「あたらずといえども遠からず」であるといえるでしょう。

さてそんな三菱重工ですが、当然ながら上場企業ということで、そのウェブページのIR情報から業績について詳しく知ることができます。

https://www.mhi.com/jp/finance/

上記のIR情報のページですが、かなり充実していて膨大な量の資料やデータがあるため目移りしてしまう程です。
そんな中で今回は、直近の決算データが網羅されている「2018年度有価証券報告書」を見てみたいと思います。

https://www.mhi.com/jp/finance/library/financial/pdf/2018/2018_04_all.pdf

全部で200ページ弱もありますが、例えば12ページを見てみますと、従業員数が載っています。
連結で約8万人、単体でも14,500人余りということで、従業員数が200人(後に300人)の佃製作所とは数十~数百倍もの差があります。
グループ全体の連結でのデータではあまりにも差がありすぎますので、ここからは「三菱重工業株式会社」単体のデータと比較してまいりたいと思います。

三菱重工単体の業績についての概況は、4ページに掲載されています。
それによると2018年度の売上高はおよそ9,000億円弱、経常利益は約550億円ほどです。
佃製作所は売上高100億円・経常利益10億円ですので、三菱重工は売上が90倍・利益が55倍といったところです。
帝国重工が三菱重工レベルの会社だとするならば、確かに帝国重工からすると、佃製作所など「吹けば飛ぶような中小企業」に見えてしまうかもしれません。

しかし佃製作所にも優れている点があります。
それは利益率です。
前回も見ましたが、経常利益を売上高で除した「経常利益率」については、佃製作所は10億円÷100億円=「10%」です。
参考までに、2018年度の三菱重工の経常利益率は、54,585百万円÷886,498百万円=約「6.2%」となっています。
ちなみにこのページにデータが掲載されている過去5年間の平均経常利益率を計算してみても約「8.7%」です。つまり、佃製作所は三菱重工の利益率より高いことが分かります。
このように、規模では帝国重工に圧倒されている佃製作所ですが、収益性の観点からは決して三菱重工にも負けていない、ということができそうです。

もちろん、同じ製造業とはいっても、幅広い産業を網羅している帝国重工のような巨大企業と、自らの強みに注力できる規模の佃製作所とでは、そもそもビジネスモデルが異なります。
例えば前述したロケット打ち上げ事業などは「下町ロケット」の作中においても、帝国重工の内部でその収益性が問題視されていたりもしました。
ですので単純に全体の利益率を比較しても一概にその優劣を語ることはできないのですが、そうであっても佃製作所の経常利益率10%という数字は馬鹿にされるようなレベルではありません。
実際「下町ロケット」シリーズ第1作の中で行われた帝国重工による佃製作所の財務評価の点数は「71点」、「60点」以上が優良とされている基準において滅多にない程であると描かれています。
作中では佃製作所の収益面よりも資金が潤沢にあるという点が特に評価されていましたが、その資金の源泉はもちろん利益です。
永年の成果の結晶である利益の積み重ねの結果が潤沢な資金であり、それが佃製作所の企業としての安定性に直結して高い評価となった、という訳です。
そしてこの「永年の利益の積み重ね」について「下町ロケット」の作中にはさらっと結構すごいことも書かれています。
次回はその点からお話してまいりたいと思います。

今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!

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