「中小企業」の定義とは?
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
プロ野球では各チーム80試合程度を消化し、ペナントレースも折り返し地点を過ぎてまさに佳境に入ってきました。
ここ最近は、毎年のように見られる現象ですが、セ・リーグは先日まで行われていた交流戦の成績によって明暗がはっきりと分かれてしまっている状況です。
5月絶好調で今年もこのままリーグ制覇かと思われた広島は、交流戦で大失速、最大14個もあった貯金も7月5日にはついにゼロとなってしまいました。
それに対して交流戦優勝こそ逃したものの、6割を超える勝率で乗り切った巨人は、いつの間にやらセ・リーグで独走態勢に入りつつあります。
そして、広島の貯金が無くなった7月5日には、セ・リーグで貯金を持っているチームが巨人だけという異常事態にもなっています。
後半戦は悲願の日本一を目指す広島を中心にセ・リーグ5球団が巨人包囲網を敷いて、セ・リーグの灯を消すことなく手に汗握る熱戦を繰り広げることを期待しています!
さて、前回は経理パーソンから見た「下町ロケット」に対する私の熱い想いを語りましたが、今回からは「下町ロケット」の主役とも言える佃製作所という会社について見てまいりたいと思います。
テーマは前回もお話ししたように「佃製作所は本当に『吹けば飛ぶような中小企業』なのか?」というものです。
ではまず作中に書かれている佃製作所の基本データを見てみましょう。
小説のシリーズ第1作には次のような記述があります。
「資本金三千万円。従業員二百名。エンジン部品の製造開発を手掛ける中小企業」
普段から何気なく使っているこの「中小企業」という言葉ですが、実は中小企業庁が我が国における「中小企業・小規模企業者の定義」についてはっきりと示しています。
それは以下の中小企業庁のウェブページにも掲載されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
佃製作所が属する製造業の場合、上記ページには以下の場合「中小企業者」となることが書かれています。
「資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人」
佃製作所の場合、資本金と従業員数のいずれもこの範囲内となっていますので、中小企業庁の定義する「中小企業者」であることは間違いないようです。
また、同じ上記ページの中にも書かれていますが、法人税法上の中小企業(正しくは「中小法人」とされています)は「資本金1億円以下」と定義されており、この条件も佃製作所は満たしています。
「なんだ、結局佃製作所は中小企業かよ」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、中小企業庁のページには以下のようなデータも掲載されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2018/181130chukigyocnt.html
少し前のデータとはなりますが、2016年時点で全国に「358.9万」の会社・事業者がある中で、いわゆる大企業はわずか1万社余りで割合としては0.3%しかありません。
残りの99.7%は中小企業庁が定義する「中小企業・小規模事業者」であり、さらに84.9%は「中小企業者」にも届かない「小規模事業者」です。
まとめると以下のようになります。
0.3% → 大企業
14.8% → 中小企業者(佃製作所はココ)
84.9% → 小規模事業者
よって「中小企業者」である時点で日本の上位15%に入る事業者であるといえそうです。
ただ「小規模事業者」には法人化していない個人事業者の方も含まれています。
そこでいわゆる「会社」だけのデータはないかなと探してみたところ、同じ中小企業庁のページですぐに見つかりました。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/181130kigyou3.xlsx
上記のエクセルの「うち会社数」というシートが該当するデータになります。
しかも産業別になっているという大サービスです(笑)
こちらの製造業で直近となる2016年のデータを見てみると、以下のようになっています。
1,960社( 0.8%)→ 大企業
52,680社(21.1%)→ 中小企業者(佃製作所はココ)
195,112社(78.1%)→ 小規模事業者
製造業の会社の中で「中小企業者」以上の規模であるのは、わずか5社に1社ほどしかない、ということがここから分かります。
「日本の会社のほとんどは中小企業だ」と言われることも多いですが、そもそも「中小企業者」にも満たない「小規模事業者」が大部分を占めているというのが我が国の現状です。
ちなみに製造業における「小規模事業者」の定義は従業員数が「20人以下」ですので、従業員が200人もいる佃製作所は「中小企業者」の中でもそれなりの規模であるといえると思います。
このように、佃製作所は「中小企業」には違いありませんが、統計上日本の中ではかなりの上位に属する規模の会社であるということができます。
次回はさらに統計データを用いた分析をしたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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