「負ののれん」の次は「債権取立益」?
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
2019年3月21日、イチロー選手が現役引退を発表しました。
野球ファンの誰もが覚悟はしていたでしょうし、私もそのつもりでしたが、実際にこの日を迎えることがこんなにもショックなのかと感じています。
仮にメジャーリーガーではなくなったとしても、アメリカの独立リーグなどで現役を続けてくれる、そんな風に個人的には心のどこかで信じていました。
今はただただ悲しいだけですが、引退発表の会見でのイチロー選手の晴れやかな表情と言葉の一つひとつはいつまでも忘れられないと思います。
イチロー選手、25年以上にも及んだプロ生活お疲れ様でした、そして本当にありがとうございました!!
さて、前回までRIZAPが行っていたとされる「負ののれん」に係る会計処理についてお話ししてまいりました。
しかしRIZAPは「負ののれん」だけでなく、子会社の借金を活用して利益を計上するという処理を行おうとしていたとも報道されました。
この件については、昨年12月8日付の日本経済新聞朝刊に記事が掲載されています。
(下記リンクは「日経電子版」会員限定記事となっています)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38672900X01C18A2DTA000/
上記記事によると、子会社の借金を活用した会計処理を実際に行おうとしていたのは、「RIZAPグループ株式会社」の子会社である「夢展望株式会社」です。
そしてその「夢展望株式会社」のさらに子会社である「株式会社トレセンテ」の借金がこの処理に使われていたそうです。
ちなみに「夢展望株式会社」も「東京証券取引所マザーズ市場」に上場しているため、その業績は「有価証券報告書」などで公表されています。
「有価証券報告書」をはじめとする「夢展望株式会社」の「IR情報」については、以下のページから見ることができます。
http://www.dreamv.co.jp/ja/index.html
では「夢展望株式会社」が計上しようとしていた子会社の借金を活用した利益とはどのようなものだったのでしょうか。
実は、この点についても「夢展望株式会社」の「IR情報」にある資料から読み取ることができます。
それは「2018年」の「IRニュース」にある「2018/03/30 特別利益の発生に関するお知らせ」の中にはっきりと書かれています。
http://www.dreamv.co.jp/ja/pdf/irnews/2018/20180330_06.pdf
上記お知らせの冒頭には以下のように書かれています。
「当社は連結子会社である株式会社トレセンテ(以下「トレセンテ」といいます)への貸付債権につき、本日返済がなされましたので、債権取立益として特別利益を計上することとなりましたので、お知らせいたします。」
個人的には「~ので、~ので、」と「ので」が重なってしまっている文章がどうしても気になりますが(笑)、今回取り上げるのはもちろんそこではありません。
この文章に明記されているように「夢展望株式会社」が計上しようとしていたのは「特別利益」である「債権取立益」です。
そう、簿記検定を学習された方であれば「減価償却累計額」と並んで(?)書くのが面倒だったであろう、あの「償却債権取立益」のことです。
「償却債権取立益」とは売掛金や貸付金といった「債権」が回収不能となり、前期以前に貸倒れ処理をして「償却」済みであったものを当期において回収した際に使用する勘定科目です。
基本的にはもう返ってこないとしていた「債権」の回収であり、臨時的に発生したものであると考えられるため「特別利益」に属する科目となります。
さて、上記のお知らせの中には「債権取立益419百万円を計上」と書かれています。
実は、結局この「債権取立益」は計上されなかったのですが、この期の「夢展望株式会社」の最終的な税引前利益が「541百万円」であったことを鑑みると、利益が倍近くにかさ上げされていたかもしれなかったということが分かります。
ではそんな多額の「債権取立益」を「夢展望株式会社」はどのようにして計上しようと考えていたのでしょうか。
次回はその点についてお話してまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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