経理界のホームラン王?! ノボルの経理スコアブック

「のれん」とは?

どうも、野球大好き経理マンのノボルです!

今回が平成31年最初の「ノボルの経理スコアブック」となります。
本年もどうぞご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

さて年が明けて再びFA移籍に伴う人的補償で驚きのニュースが飛び込んできました。
それはまたしても巨人においてで、広島からFAで獲得した丸選手の人的補償として長野選手の広島移籍が決定しました。
昨年末の内海投手の人的補償による西武移籍に続き、同じく球団の主力選手であった長野選手も人的補償での移籍ということで、特に巨人ファンの方々にとってはかなりのショックであったと思います。

巨人の一連の補強やFA制度自体に対する否定的な意見も少なくありませんが、一野球ファンとして救いだったのは、内海投手も長野選手も今回の移籍について非常に前向きなコメントをしてくれていることです。
奇しくも西武・広島共に昨年リーグ優勝したチームであり、そのような強いチームに移籍するということは、選手としてチャンスであるとも考えられます。
今年の内海投手と長野選手には巨人を見返すくらいの大活躍を期待しています!

さて、前回はRIZAPが行っていたと報道されている会計処理から「のれん」についてのお話を始めました。
今回は「のれん」とは何なのか、さらに詳しく解説したいと思います。
ではまず前回もご紹介した「のれん」の定義をもう一度見てみましょう。

「のれんとは、企業や事業の取得をした場合において、取得した企業や事業の取得原価が、取得した資産及び負債に配分された純額との間に差額が生じる場合があり、この差額をのれんという。
 のれんは無形固定資産に計上され、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。(以下省略)」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/contents_index.php?cid=4#anc_4_57
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/

上記定義の冒頭にあるように「のれん」は「企業や事業の取得をした場合」に登場します。
この「企業や事業の取得をした場合」とは、一般的に「M&A」と呼ばれている企業の「合併」や「買収」が行われた場合ということです。
(ちなみに「M&A」の「M」は「Merger(合併)」、「A」は「Acquisition(買収)」の頭文字とそれぞれなっています)
個人的にどちらかといえば「買収」の方が「のれん」についてイメージし易いかと思いますので、以下「買収」を例にご説明します。

【例】P社はS社の株式を全て取得し、完全子会社とした。(これまでP社はS社の株式を保有していなかった)
   ・買収対価     :20億円
   ・S社の資産(時価):50億円
   ・S社の負債(時価):35億円

上記の例では親会社となるP社はS社を「20億円」で「買収」して100%子会社としました。
ではこの「20億円」というS社の価格(?)は適正なのでしょうか。

企業が持っている価値を正確に計ることは非常に難しいことですが、一つの指標となるのが「貸借対照表」です。
「貸借対照表」は企業の「財政状態」すなわち所有している財産の状況を示す表である、ということは簿記の勉強でも最初に教わることですよね。
「貸借対照表」の中で「資産」がプラスの財産、そして「負債」がマイナスの財産です。
もし仮に全ての「資産」と「負債」を処分した場合、手元にはその差額、つまり「純資産」が残ることになります。
そしてこの最終的に残される「純資産」がその企業の持つ価値である、というのが最もシンプルな考え方であるといえます。

実際に「買収」を行う際にも「貸借対照表」の内容はもちろん非常に重要となります。
ただ「貸借対照表」に記載されている金額は「帳簿価額」と呼ばれますが、処分したとしてもその時点で必ずしもその「帳簿価額」の金額になるとは限りません。
例えば回収の難しい売掛金や取得時より値下がりした不動産・金融商品などは、実際には「帳簿価額」より価値が低いと考えられます。

そこで「買収」の実務においては、「貸借対照表」に記載されている「資産」及び「負債」の現在の価値、いわゆる「時価」を算定するという作業が行われます。
と言う訳で上記の例でもS社の「資産」「負債」を「時価」で示しましたが、両者の差額である「50億円-35億円=15億円」がS社の価値であると言うことができます。

しかし、P社は「15億円」の価値であるはずのS社を、さらに高い「20億円」という金額で「買収」しています。
これは「貸借対照表」には表れない価値がS社にはある、とP社が考えたためです。

さて、今さらですが皆さん「のれん」と聞いた時、まず思い浮かべたのはお寿司屋さんやお蕎麦屋さんなどの軒先にかかっている「暖簾」ではなかったでしょうか。
あの「暖簾」は普通の布ですのでそれ自体には大した価値はありませんが、そこに書かれている「○○寿司」「○○庵」といった屋号はまさにそのお店の象徴であり、いわゆるプランド力というものを持っています。
会計用語である「のれん」もこのお店の「暖簾」に由来した言葉であり、企業の持っている目には見えないブランド価値を表しています。

例えば世間一般や業界における知名度、企業内に蓄積されている知見や技術、そして従業員の優秀さなど企業が持つ「貸借対照表」には載らない価値は決して少なくありません。
上記例においてP社はS社にそのようなブランド価値を「5億円」分見出したため、「資産」と「負債」との「時価」の差額である「15億円」にその「5億円」をプラスして「20億円」という対価を支払ったのです。
そしてこの「5億円」こそが会計上「のれん」とされるものであり、P社の「貸借対照表」の「資産の部」に計上されることになります。

次回はこのようにして計上された「のれん」がその後どのように処理されるのかについてお話してまいりたいと思います。

今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!

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