どうも、野球大好き経理マンのノボルです！
今年のストーブリーグは例年以上に大物選手の移籍が目立ちますね。
FA移籍かあるいは残留かと注目されていた西武・浅村選手、広島・丸選手、そしてオリックス・西投手の3人は最終的に全員が移籍となりました。

また、共にオリックスの中心選手であった金子投手と中島選手が自由契約となり、それぞれ日本ハム・巨人への移籍が決定しました。
さらにメジャーリーグからはマリナーズ・岩隈投手が7年ぶりに日本球界に復帰、巨人に入団することが発表されています。

そんな中、今年日本一に輝いたソフトバンクは、今のところドラフト以外での補強はなく、こちらも例年と違って少し意外な感じです。
いずれにしても、このオフの動きが来年のペナントレースに大きく影響してくると思いますので、まだまだ目が離せませんね！

さて、前々回より給与から控除した（差し引いた）「預り金（雇用保険）」の会計処理についてお話しております。
給与から控除していた「預り金（雇用保険）」を借方に仕訳して相殺するタイミングについては、以下の3パターンをあげておりました。

（１）随時（月次決算の時）
（２）年次決算の時
（３）「労働保険の年度更新」の時

前々回は（３）そして前回は（２）についてお話しましたので、今回は最後に残りました（１）のパターンを解説します。

まず前提として以前あげておりました給与支給時の仕訳例を再び示します。

【例】平成30年11月22日、以下の通り従業員に給与を支給した。
〈支給項目〉基本給：240,000円
〈控除項目〉健康保険料：11,880円、厚生年金保険料：21,960円、雇用保険料：720円、所得税：4,980円、住民税：9,900円

【仕訳】
給与手当　240,000 ／　普通預金　　　　　190,560
　　　　　　　　　 ／　預り金（健康保険） 11,880
　　　　　　　　　 ／　預り金（厚生年金） 21,960
　　　　　　　　　 ／　預り金（雇用保険）　 720
　　　　　　　　　 ／　預り金（所得税）　　4,980
　　　　　　　　　 ／　預り金（住民税）　　9,900

（１）ではここで給与から控除した「預り金（雇用保険）」を上記の給与支給の仕訳と同じタイミング（あるいは同じ月の月次処理）で以下のように相殺してしまいます。

預り金（雇用保険）　720　／　前払費用　2,880
法定福利費　　　　1,440　／
法定福利費　　　　　720　／

ここで借方2行目の「法定福利費　1,440円」は雇用保険料の会社負担分、そして3行目の「法定福利費　720円」は労災保険料となっています。
いずれも定められている保険料率を給与金額に乗じて算出したものを費用計上します。
（なお労働保険の保険料率は業種などによって異なり、また毎年4月に改定されて厚生労働省及び各労働局・ハローワークから公表されます。）

借方はこのような感じなのですが、では貸方の「前払費用」はどこから来たのでしょうか？
これには上記例の日から遡ること数ヵ月前、「労働保険の年度更新」の際の会計処理が関わってきます。

【例】平成30年7月10日、労働保険の年度更新に際し以下の通り労働保険料を普通預金より納付した。
・納付金額合計：37,618円
〈内訳〉
平成30年度概算保険料：34,560円
平成29年度概算保険料と実績との差額：3,000円（不足）
一般拠出金：58円

【仕訳】
前払費用　　34,560　／　普通預金　37,618
未払費用　　 3,000　 ／
法定福利費　　　58　 ／

この仕訳の借方1行目「前払費用　34,560円」は平成30年度概算保険料、すなわち将来の労働保険料の前払いということで「前払費用」としています。
そして平成30年度中における給与の支給によって発生する労働保険料はその前払い分を充当していくのですが、その際先ほど示しました「預り金（雇用保険）」を相殺する仕訳の通り「法定福利費」という費用を計上すると共に貸方に「前払費用」を持って来て取り崩していく、という処理になっています。

この処理は毎月給与支給の度に繰り返し行いますので、月が進むごとに「前払費用」の残高はどんどん減っていきます。
そのまま処理を進めていきますと、年度の終了前に「前払費用」の残高がゼロを下回る（労働保険料の実績が概算を超える）場合もあり、その際にはそのゼロを下回るマイナス分を負債である「未払費用」に計上していきます。
この仕訳の借方2行目「未払費用　3,000円」は前年度の給与支給時の処理においてそのように計上していたもので、これは「労働保険の年度更新」によって精算されるためここで消去してしまいます。
（この「未払費用　3,000円」は上記内訳の「平成29年度概算保険料と実績との差額：3,000円（不足）」の分の処理となります。）

以上、込み入った解説で分かりにくくなってしまい申し訳ございません。
ですが、この（１）の処理を行うことで毎月の給与支給における会社負担分の労働保険料が正確に費用計上されるので、月次決算の精度をより高めることができます。
月次決算を行っている会社であれば、少々手間ではありますが（１）のパターンで処理することが望ましいと個人的には思います。

ただこの（１）のパターンでは、今回解説したものとは少し異なる方法での処理も考えられます。
例えば、今回の処理では概算保険料の全額を「前払費用」に計上してしまいましたが、その金額に含まれている社員本人の負担分については会社の費用とはなりませんので、本来その分を「前払費用」とするのは正しくありません。

そこで、概算保険料のうち本人負担分については「前払費用」ではなく「立替金」に計上し、給与支給時の処理でも「預り金（雇用保険）」を計上するのではなく「立替金」を貸方に仕訳して取り崩す、という処理の方がより正確と言えます。
（この処理においては現在のテーマである「預り金」が登場しないため、ここでは簡単に触れるだけに止めさせていただきます。）

今回まで8回にわたり「預り金」について、特に給与から控除した「預り金」の会計処理を中心に解説してまいりました。
「預り金」は負債の中でもかなり使用頻度の高い科目であり、また給与支給に関わる処理は日々行われる仕訳の中でも最も複雑なものの1つですので、このように連載も長くなってしまいました。
今回で「預り金」については終わりとして、次回からはまた別のテーマでお話したいと思います。

今回はここでゲームセット！
今日も早く仕事を終えて自主トレだ！！