「預り金」の運命やいかに?(その5)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
先日このオフのFA移籍第1号として、目玉選手の1人であった西武・浅村選手の楽天入りが発表されましたね。
今シーズンの優勝チームから同一リーグ最下位のチームへのFA移籍ということで、そのような意味ではかなり異例のことではないでしょうか。
しかも他に楽天を超える好条件を提示していたチームがあったとも報道されており、浅村選手がいかに楽天というチーム自体に惹かれたのかが窺えます。
楽天にとっても、今季総得点が520と12球団最小でしたので、127打点で2度目の打点王に輝いた浅村選手の加入はまさにドンピシャの補強といえるでしょう。
浅村選手の活躍によって来シーズンの楽天がどこまで巻き返せるのか、早くも期待大ですね!
前回は給与から控除した(差し引いた)「預り金(雇用保険)」の会計処理についてお話しました。
今回も引き続き「預り金(雇用保険)」の処理について、また別のパターンを解説してまいります。
前回給与から控除していた「預り金(雇用保険)」を借方に仕訳して相殺するタイミングについて、以下の3パターンをあげました。
(1)随時(月次決算の時)
(2)年次決算の時
(3)「労働保険の年度更新」の時
この中から前回は最も簡便的である(3)のパターンの処理を解説しました。
では次に(2)年次決算の際に仕訳をするパターンを見てみましょう。
【例】
平成30年7月10日、労働保険の年度更新に際し以下の通り労働保険料を普通預金より納付した。
・納付金額合計:37,618円
〈内訳〉
平成30年度概算保険料:34,560円
平成29年度概算保険料と実績との差額:3,000円(不足)
一般拠出金:58円
平成31年3月31日、決算に際し「預り金(雇用保険)」の残高は8,640円であった。
【仕訳】
平成30年7月10日:法定福利費 37,618 / 普通預金 37,618
平成31年3月31日:預り金(雇用保険)8,640 / 法定福利費 8,640
このパターンでは、決算における上記例の平成31年3月31日の仕訳により「預り金(雇用保険)」は相殺されてゼロとなります。
そしてその際貸方に仕訳されるのが費用科目である「法定福利費」です。
費用科目を貸方に持ってくることは日常の仕訳ではあまりありませんが、決算においては「費用の繰り延べ」の処理などでも行われます。
上記例の仕訳も形としては「費用の繰り延べ」に似ていますが、実は異なる意味を持つ処理だったりします。
上記例も「費用の繰り延べ」も貸方が費用科目であるという点では同じですが、借方が前者は「預り金」という「負債」である一方、後者では「前払費用」すなわち「資産」となります。
「負債」と「資産」は相対する性質を持っているわけですから、同じ借方にくる場合、処理の意味合いも違ってくるということはお分かりになられるかと思います。
以下、この点をもう少し掘り下げてお話します。
まず貸方に費用科目がくるということは費用を減らす(取り消す)ということになりますが、これは正しい期間損益計算のために行われる処理となります。
つまり期中に計上していた費用のうち本来は当期計上するものでなかった分について、決算において修正のため取り消しているということです。
この点については上記例の仕訳も「費用の繰り延べ」も同様です。
ただ「費用の繰り延べ」はまさに「繰り延べ」であって、その費用自体が消えてなくなってしまう訳ではありません。
「費用の繰り延べ」は「本来翌期分となる費用を当期においてはいったん取り消して、翌期になってからその取り消した分をもう一度費用計上する」というのが一連の処理となります。
それに対して上記例の平成31年3月31日の仕訳では、費用はここで完全に取り消されます。
上記例の平成30年7月10日に納付した労働保険料には社員本人の負担分も含まれているのですが、その時点ではとりあえず全額会社が負担するような形で費用計上してしまいます。
そしてその本人負担の当期分すなわち当期の給与から控除した保険料の合計金額が期末における「預り金(雇用保険)」の残高となりますので、その残高を計上していた費用の一部と相殺することで本来会社が負担すべき費用の金額が会計上に残される、という仕組みです。
これにより上記例であれば決算処理の後「預り金(雇用保険)」はゼロとなり、「法定福利費」は37,618円-8,640円=28,978円が当期の損益計算書に計上される、ということになります。
今回解説した(2)のパターンは前回の(1)と比較して仕訳がひとつ増えただけですが、当期に計上すべき費用を正しく計算するという点でより優れた処理であるといえます。
ただ上記例の平成29年7月10日に納付し「法定福利費」に計上した平成30年度の保険料はあくまで概算額である、という点が少しデメリットになります。
といいますのも「預り金(雇用保険)」の金額については給与の実績に基づいて計算しているので正確なのですが、それと相殺する大本の費用が概算であるため差し引きの残額は必ずしも正確とはならないためです。
そこでその欠点を解消し、さらに月次ベースで正確な損益計算を行うことが可能となるのが、最後に残された(1)のパターンです。
というわけで次回はその(1)における会計処理についてお話したいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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