「預り金」の運命やいかに?(その2)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
いよいよ今週末、クライマックスシリーズ(CS)が始まりますね。
リーグ優勝決定後も毎年のようにCS進出の行方が注目されますが、今シーズンは特にセ・リーグの3位争いが稀に見る大激戦となりました。
さらに今年は天候不順が続き試合中止も多かったため、チームによっては9月以降怒涛の連戦となり目の離せない試合が続いています。
この原稿を書いている時点で巨人かDeNAかまだ3位の行方は決まっていませんが、いずれのチームが勝ち上がったとしても今週末からの闘いが本当に楽しみです。
あと1ヶ月足らずで今シーズンも終わってしまうかと思うとやっぱり寂しいですが、CSそして日本シリーズと最後までプロ野球を満喫しましょう!
前回は給与から控除した(差し引いた)「預り金」のうち、「所得税」と「住民税」という税金の処理について見てまいりました。
今回は一般的に「社会保険料」と呼ばれている「健康保険料」と「厚生年金保険料」について解説したいと思います。
前々回から見ております仕訳例をあらためて以下に示します。
【例】
〈支給項目〉基本給:240,000円
〈控除項目〉健康保険料:11,880円、厚生年金保険料:21,960円、雇用保険料:720円、所得税:4,980円、住民税:9,900円
【仕訳】
給与手当 240,000 / 普通預金 190,560
/ 預り金(健康保険) 11,880
/ 預り金(厚生年金) 21,960
/ 預り金(雇用保険) 720
/ 預り金(所得税) 4,980
/ 預り金(住民税) 9,900
今回「健康保険料」と「厚生年金保険料」を一緒に取り上げるのは、両者に以下のような共通点があるためです。
(1)納付期限が「翌月末日」である
(2)労使折半である
(3)加入している健康保険組合が「協会けんぽ」である場合、納付先が同一である
まず(1)ですが、例えば10月の「健康保険料」「厚生年金保険料」であれば「翌月末日」である11月30日が納付期限となります。
ただしここには一点注意すべきことがあります。
先ほど「10月の」と書きましたが、この「10月の」健康保険料・厚生年金保険料は「10月の」の給料から控除されるパターンと、翌月である「11月の」給料から控除されるパターンの2つがある、という点です。
当月発生した「健康保険料」「厚生年金保険料」を翌月の給料から控除する方法も割と一般的ですので、ご自分の会社がどちらのパターンで社会保険料を控除しているのか、経理担当者としてしっかり把握しておきましょう。
そして(2)の「労使折半」ですが、以前お話したように給料から控除した「健康保険料」「厚生年金保険料」の金額と同額を会社も負担して納付することになっています。
ですので上記例の金額の場合、仕訳は以下のようになります。
預り金(健康保険) 11,880 / 普通預金 23,760
法定福利費 11,880 /
預り金(厚生年金) 21,960 / 普通預金 43,920
法定福利費 21,960 /
ここで使っている「法定福利費」という勘定科目は「販売費及び一般管理費」の一つで、基本的に社会保険料の会社負担分を処理するケースのみで使用される科目です。
また、より広く会社の福利厚生にかかる費用の場合に使用する「福利厚生費」で処理することもあります。
そしてこれも以前触れましたが、40歳以上65歳未満の方は加えて「介護保険料」を同じく「労使折半」で納付しますので、上記と同様に会計処理も行います。
さらにもう一点補足ですが、2018年現在「厚生年金保険料」と合わせて「子ども・子育て拠出金」というものも納付していますが、こちらは全額会社負担となっています。
(全額「法定福利費」ないしは「福利厚生費」で処理することになります)
最後に(3)についてですが、まず「厚生年金保険料」はどの会社も「日本年金機構」のそれぞれの地域の年金事務所に納付することになっています。
しかし「健康保険料」は各々の会社が加入している異なる健康保険組合に対して納付します。
大企業であれば多くの場合その企業ごとに健康保険組合を持っており、子会社などのグループ企業がその組合に加入しています。
また同業者が集まって健康保険組合を作っていることもあります。
しかし中小企業でしかも適当な同業者健保組合もないという場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入することとなります。
この「協会けんぽ」の前身は「政府管掌健康保険」という国(社会保険庁)が運営する健保でしたが、平成20年から全国健康保険協会が設立されそちらに運営が移管されました。
そのような経緯もあってか「協会けんぽ」の「健康保険料」は、現在でも「厚生年金保険料」と一緒に年金事務所に納付することになっています。
ちなみにその納付方法は自動引落(口座振替)で行うことが一般的ですが、その場合通帳には「健康保険料」と「厚生年金保険料」を合計した金額が記帳されます。
また余談ですが、企業や同業者による健保組合では近年財政悪化が深刻となっている所も多く、組合を解散して「協会けんぽ」に加入するという会社も増えてきているようです。
さて次回は最後に残された「雇用保険」に係る「預り金」の納付や会計処理についてお話してまいりたいと思います。
この「雇用保険」、金額は他より圧倒的に少ないのですが、実は一番難しいかもしれません...
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。