「未払費用」は意外と...
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
日本生命セ・パ交流戦は、見事に東京ヤクルトスワローズが初の勝率1位となりました。
スワローズファンの皆さん、本当におめでとうございます!!
交流戦開幕前はリーグ最下位と苦しんでいましたが、投手陣、特に救援投手の活躍がチームを快進撃に導きました。
元々強力な打線を誇っているスワローズ、投手力がアップしたことでシーズン後半戦は大混戦となっているセ・リーグの台風の目になりそうです。
リーグ優勝を飾った2015年のスワローズも盤石の救援陣が大きな原動力となっていましたので、今シーズンもここからの巻き返しに期待大ですね!
さて、前々回は「買掛金」と「未払金」との違いについて、そして前回は「未払金」の定義から「一年基準」と「正常営業循環基準」についてお話しました。
今回は前回の予告通り「未払金」の定義にあった「未払費用とは異なる」という点をテーマにしたいと思います。
念のためおさらいですが「未払金」の定義は以下のようにされています。
「通常の営業取引以外により生じる短期金銭債務。
固定資産購入の未払代金や未払税金、未払配当金等がある。
法的な確定債務であり、法的債務として確定していない一定の役務契約に基づく未払費用とは異なる。」
(『会計用語辞典』(日経文庫))
それに対して「未払費用」の定義は以下の通りです。
「経過勘定の一つ。
一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合に、すでに提供された役務に対して、まだその対価の支払いが終わっていないものをいう。
未払給与、未払賞与、未払利息、未払賃借料などがある。
(中略)当期の損益に費用計上するとともに、貸借対照表の負債の部に計上する。」
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/search.php?kana=み#anc_9_84
(『「経理・財務」用語事典』(税務経理協会))
https://www.jusnet.co.jp/dictionary/
まず「未払金」と「未払費用」に共通しているのは、当然ながらまだ支払っていないということ、そして「買掛金」とは異なり「通常の営業取引以外により」生じたものであるという点です。
上記の「未払費用」の定義には「通常の営業取引以外」とはっきり書かれてはいませんが、「未払費用」はあくまで「役務の提供」すなわちサービスの対価の未払いですので、「買掛金」のように原材料や商品の仕入れという「通常の営業取引」によって生じるものではありません。
それに対して「未払金」と「未払費用」との相違点については、それぞれの定義から以下の2点が読み取れます。
(1)「未払金」は「法的な確定債務」であるが、「未払費用」は会計上の「経過勘定」であって「法的債務として確定していない」
(2)「未払金」は「通常の営業取引以外」であれば対象となるが、「未払費用」は「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合」に限られる
(1)について大まかに言ってしまいますと、「『未払金』はその計上金額を必ず支払うことになるが、『未払費用』は計上金額をそのまま支払う訳ではない」という感じです。
「未払金」の計上金額とは、取引先などから受け取った請求書や取り交わしている契約書に記載されている金額です。
それに対して「未払費用」はあくまで「経過勘定」、すなわち「すでに提供された役務」の対価でまだ支払っていない分を見越して計上するものです。
例えば一年分の家賃を後払いする場合、決算の時点で3ヶ月経過しているのであれば契約書に記載されている年間家賃の25%(3ヶ月/12か月)だけを「未払費用」に計上します。
仮にその一年分の家賃が100万円であれば25万円を「未払費用」としますが、一年後に支払う金額は「未払費用」に計上した25万円ではなく、もちろん総額である100万円です。
そういう意味で「未払費用」自体は「法的な確定債務」ではなく、会計上「発生主義」の考え方から正しい期間損益計算を行うために計上されるものなのです。
また(2)についてはより明快ですが、「未払金」が「買掛金」となるもの以外に適用できるのに対して、「未払費用」の計上は「役務の提供」であり、かつそれを「継続」して受けるものだけに限定されます。
ですので当然「未払費用」はモノの購入などは対象となりませんし、サービスを受ける場合であっても単発のものや断続的に行われるものは省かれます。
そんな訳で実務上「未払費用」を計上する機会は「未払金」と比較してかなり限定されます。
上記の「未払費用」の定義には「未払給与」「未払賞与」「未払利息」「未払賃借料」の4つがあげられていますが、ヨシオも実務では「未払給与」しか使ったことがありません。
と言いますのも、借入金があったとしても利息が後払いということはなく前払いか毎月元利均等返済のケースがほとんどですし、リース料もやはり大抵元利均等で毎月支払います。
その他の「継続して役務の提供を受ける場合」であっても、多くの場合、前払いが基本になりますので「前払費用」は多用しますが、逆に「未払費用」はほとんど登場しません。
このように意外と使用されない「未払費用」ですが、実は本来の会計上の定義とは異なる使われ方がされることもあります。
そのことをこの「経理界のホームラン王?! ノボルの経理スコアブック」の初回でお話しておりました。
それはどのようなことであったかと言いますと、私がかつて働いていたとある会社では、本来であれば勘定科目を「未払金」とすべきケースで「未払費用」を使用していたのです。
当時は私自身会計の知識がなく「そんなものか」位に思っていましたが、今考えてみると何故わざわざそうしていたのか不思議に感じられます。
何か理由があるのかそれともあまり勘定科目の細かい定義にこだわりがないだけなのか、気にはなりますが、一つ言えることは実務では「勘定科目は結構自由」だということです。
公認会計士や税理士の勉強から会計の世界に入られた方は特に違和感があるかと思われますが、「本当はこの科目だとおかしいよな~」という処理をずっとやっていることが実際の会社の経理では少なくありません。
「未払費用」に限らず、実務では様々な勘定科目が本来の意義とは異なる使われ方をすることが少なからずあったりしいます。
この連載では基本的にそれぞれの勘定科目の定義をベースにお話していますが、実務ではあまりこだわり過ぎず、ある程度フレキシブルに対応しましょう。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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