資産と費用(81) ~工事進行基準~
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
上原浩治投手が古巣である読売ジャイアンツにおよそ10年ぶりに復帰しました。
先日のヤクルト・青木選手もそうでしたが、昨シーズンまでバリバリのメジャーリーガーとして活躍していた選手の日本球界への復帰はやはりワクワクしますよね。
特に今回の上原投手は同じ生年月日の盟友である高橋監督の苦境を救うために帰ってきたようにも見えて、巨人ファンには本当に嬉しいニュースだったのではないでしょうか。
今シーズン、上原投手の投球が低迷するジャイアンツの浮上につながっていくのか、注目ですね!
「負債」を大きなテーマに、様々な「引当金」についてお話しております。
今回も前回に引き続き、「工事損失引当金」に関連して工事契約に関する会計処理について解説いたします。
前回は「工事完成基準」をご説明いたしましたが、今回とりあげるのはそれと対を成す「工事進行基準」です。「工事進行基準」の定義は前回「工事契約に関する会計基準」から抜粋いたしましたが、以下のようなものでした。
「工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を損益計算書に計上する。」
そんな「工事進行基準」の具体的な計算方法について、以下に例をあげます。
【例】
工事期間:平成28年度~平成30年度
工事代金合計(売上):1,000億円
工事費用合計(原価): 900億円
(1)平成28年度末(工事進捗度10%)
売上 ... 1,000億円×10%=100億円
原価 ... 900億円×10%= 90億円
利益 ... 100億円-90億円= 10億円
(2)平成29年度末(工事進捗度60%)
売上 ... 1,000億円×60%-100億円=500億円
原価 ... 900億円×60%- 90億円=450億円
利益 ... 500億円-450億円= 50億円
(3)平成30年度末(工事進捗度100%)
売上 ... 1,000億円-(100億円+500億円)=400億円
原価 ... 900億円-( 90億円+450億円)=360億円
利益 ... 400億円-360億円 = 40億円
「工事進行基準」では上記例のように、それぞれの期末時点での工事進捗度すなわち完成まで何%進んでいるのかに比例して、それぞれの決算期における売上及び原価を計上していきます。計算方法としては、工事代金の合計(工事収益総額)及び工事費用の合計(工事原価総額)に期末時点での工事進捗度を乗じ、その金額から前期までに計上している工事収益・工事原価を差し引く、という形になります。
と言う訳で「工事進行基準」の計算で用いる要素は、以下の3つになります。
・工事収益総額
・工事原価総額
・期末における工事進捗度
「工事契約に関する会計基準」においては、「工事進行基準」を適用するためには上記の3要素について「信頼性をもって見積ることができなければならない」と定められています。
すなわちこの3要素のうち1つでも「信頼性をもって見積ること」が出来なければ、「工事進行基準」は適用されず「工事完成基準」を適用することになります。
そして実務上ポイントとなってくるのがこの「信頼性をもって見積ること」なのですが、特に問題となるのが「工事原価総額」です。
と言いますのも、工事を請け負った側の会社が受け取る工事代金すなわち「工事収益総額」は通常であれば請負契約書に明記されています。
また工事進捗度については、工期の管理がしっかり出来ているのであれば正確に把握することが出来ます。
しかし「工事原価総額」は工事が長期間であればあるほど合理的に見積ることが困難になります。
例えばここ数年話題になっていた東京オリンピック開催に伴う競技場などの建設・整備費用を思い浮かべて頂くとお分かりになるかと思います。
東京オリンピックに関連する費用については当初かなり低予算で想定されていましたが、人件費や原材料の高騰に伴ってあれよと言う間に莫大な金額に膨れ上がってしまいました。
これはそもそもの見積り自体が甘かったのでしょうが、一般の工事においても工事原価が見込みを大きくオーバーしてしまうことは決して珍しくありません。
そのように工事が進んでいく中で「工事原価総額」が当初の見積りを上回ることが判明した場合、「工事進行基準」では上記の計算例とは異なる処理を行うことになります。
次回はその処理についてお話いたしたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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