資産と費用(76) ~退職給付引当金 計算方法~
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
今回が2018年最初のコラムとなりますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて「平成」も来年4月30日で終わることが決まりましたので、プロ野球においては今シーズンの覇者が「平成」最後の日本一のチームとなります。ちなみに今から30年前、「昭和」最後の日本一は西武ライオンズ、そしてその翌年「平成」最初の日本一は読売ジャイアンツでした。
当時「昭和」の終わりから「平成」初期にかけてのプロ野球はまさに西武ライオンズの黄金期で、特に1982年~1994年の13年間でリーグ優勝はなんと11回、日本一にも8回も輝いていました。
時を経て「平成」の終焉が近付いた今年、プロ野球界の頂点に立つのは果たしてどのチームなのか、シーズン開幕が本当に待ち遠しいですね!!
「負債」を大きなテーマに、様々な「引当金」についてお話しております。
前回から「退職給付引当金」の解説をしておりますが、今回はその続きをお話してまいりたいと思います。
前回は「退職給付引当金」の概要についてお話いたしました。簡単に言ってしまいますと、「確定給付年金」の積立不足額をあらわしているのが「退職給付引当金」となります。
ではその「退職給付引当金」はどのように計算するのでしょうか。
最も基本的な計算式は以下のような感じです。
退職給付引当金 = 退職給付債務(負債)- 年金資産(資産)
上記の計算式の「年金資産」とは会社が「確定給付年金」の支給のために実際に外部の金融機関などに積み立てている金額のことです。
ですのでそれは預貯金のような性質のものであり、貸借対照表上では当然「資産」であると考えられます。
対する「退職給付債務」とは将来支給することになる退職金の金額を見積もったもの、すなわち将来の支払義務である「負債」です。そして両者の差額が退職金の支給額に対する積立不足額となり、それこそが「退職給付引当金」の計上額とされます。
特徴的なのは、本来「資産」である「年金資産」も「負債」である「退職給付債務」もそれぞれ単独では貸借対照表に記載されず、それらの差額である「退職給付引当金」のみが貸借対照表に表示されるという点です。
ここが「退職給付引当金」の理解を難しくしている要因の一つであるのかもしれません。
なお「年金資産」の額が「退職給付債務」を上回ってしまった場合、その差額は借方残、すなわち「資産」の方に表示されることになってしまいます。
その場合においては「負債」である「退職給付引当金」ではなく、「資産」として「前払年金費用」という勘定科目で記載されます。
上記の計算式は単純なものですので「計算自体は割と簡単なのかな?」と感じられた方もいらっしゃるかと思います。
確かに上記の式の中でも「年金資産」については、積み立てている金融機関に残高を照会すればすぐにわかってしまう金額ですので、特に複雑な計算などは必要ありません。しかし実際の計算上非常に厄介なのが「退職給付債務」です。
先程は簡単に「将来支払うことになる退職金の金額を見積もったもの」と述べましたが、実はそんなに単純なものではありません。
例えば現在従業員が100人いる会社だとして、その100人が必ず定年まで勤め上げるでしょうか?
定年の前に転職などにより中途で退職する従業員もおそらく出てくるでしょうし、その中にも退職金支給の対象となる人とならない人とがいるでしょう。
また退職金が支給される人の中でも、勤続年数や退職時点での役職などによって支給金額も異なってくることが考えられます。
それ以外にも、給与のベースアップなどによって退職金の支給基準となる給与の水準自体が変動することも当然出てくると思います。
さらにこれは会計上のポイントとなりますが、退職金はかなり遠い将来に支払うことになるものであるため、その支払いまでの期間の金利も考慮に入れることになります。
簡単な例をあげると、年利5%の状況で一年後に105万円を支払うのであれば、会計上ではその支払義務の現在の価値として100万円を計上します。
(105万円÷1.05=100万円、現在100万円を持っていれば一年後には利息がついて105万円となり、105万円の支払いが可能となるため)
このことを「現在価値に割り引く」と言ったりしますが、仮に将来支給する退職金の総額が「1億円」だとはっきりしていたとしても会計上「1億円」とは計上出来ず、将来の金利分を差し引いた金額を計上しなければならないのです。
このように「退職給付債務」の算出には様々な要素が複雑に絡み合ってきてしまいます。
次回はそんな「退職給付債務」の計算についてもう少しお話してみたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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