資産と費用(74) ~賞与引当金~
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
野球界ではストーブリーグが本格化してきましたね。
FA移籍が決定した選手も何人か出てきていますが、今年は特に大物選手が自由契約になるなどのケースが目立っているように思います。
ソフトバンクを退団した松坂投手、巨人から自由契約となった村田選手、そして海の向こうメジャーリーグではイチロー選手もマーリンズから契約延長が提示されませんでした。
この文章を書いている時点でこれら3選手の来シーズン以降の去就は報道されていませんが、水面下では色々と動いているものと思われます。
一時代を築いた名選手たちですので、来年もグラウンドで活躍する姿を見られることを期待しています!
「負債」を大きなテーマに、前回まで「引当金」の代表格である「貸倒引当金」について5回ほどに渡ってお話してまいりました。
今回からは「貸倒引当金」以外の「引当金」についてとりあげてまいりたいと思います。
「貸倒引当金」ほどではありませんが、多くの会社で計上される「引当金」として「賞与引当金」があります。
賞与、いわゆるボーナスを定期的に支給している会社であれば、「賞与引当金」を計上することが会計上必要となることが考えられます。
その「賞与引当金」ですが、以下のように定義されています。
「従業員に対する賞与の支給に備えるため、支給対象期間のうち当期に帰属する部分を当期の費用とすることにより計上される引当金。」(会計用語辞典(日経文庫))
日本の会社では賞与は夏と冬の2回支給されることが一般的です。
具体的には夏の賞与は6月末から7月10日頃、冬は12月10日頃に支給されることが多いようです。
そしてそれらの賞与はある一定期間その会社に所属していた社員が支給対象となり、その同じ期間における会社の業績や社員それぞれの営業成績などにより支給金額が決められます。
前述のように賞与の支給が半年に一回の場合、支給対象となる一定期間というのは支給日以前の半年間を指すイメージです。
例えば夏の賞与は支給対象期間が10月~3月の半年間、冬は支給対象期間が4月~9月の半年間、といったような感じになります。
「賞与引当金」の計上が必要となるのは、支給対象期間と賞与支給日との間に決算期をまたぐケースにおいてです。
日本の多くの会社が採用している3月決算の場合、上記の例で言えば冬の賞与は支給対象期間・支給日共に同じ決算期の中に含まれますが、夏に支給される賞与は前期の10月~3月が対象になります。
そこでその前期の決算に際し、次の夏の賞与(その年の6月~7月頃に支給)の支給金額を見積り、それを「賞与引当金」に計上します。
具体的には以下のような仕訳となります。
賞与引当金繰入(費用) ×× / 賞与引当金(負債) ××
このように前期の時点では支給されていない夏の賞与ですが、実際には支給対象期間である前期に発生した費用であると考えられるため、前期決算時に「賞与引当金繰入」という費用を計上します。
そして夏の賞与として支給すべき金額(支払義務のある金額)を「負債」として「賞与引当金」に計上する、という形になっています。
なお当期になって実際に夏の賞与を支給した時には、以下のように仕訳して「賞与引当金」を取り崩します。
賞与引当金 ×× / 現金預金 ××
この時、実際の賞与支給金額と前期決算時に見積もった金額とに差異があった場合は、その差額を当期の費用あるいは収益として計上します。
最後に、会計上は上記のように「賞与引当金」の処理を行いますが、法人税法では「賞与引当金」の計上は現在認められていません。
以前は税務上も一定の限度額まで損金として認められていましたが、平成10年の税制改正で廃止され、現状は別表四で「賞与引当金繰入否認」として全額損金不参入にする処理を行います。
会計的には適正な期間損益計算のためその決算期に発生した「賞与引当金」の計上は必要とされますが、税務上はまだ実際に支給されているものではないため損金とはしない、という考え方です。
そして税務上損金として認められるのは、その決算期中に実際に支給された賞与の金額となります。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えて自主トレだ!!
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