資産と費用(69)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
今年のペナントレースは、パ・リーグでは福岡ソフトバンクホークスが、そしてセ・リーグは広島東洋カープが見事優勝を飾りました。
両チームのファンの皆さん、本当におめでとうございます!!
ソフトバンクが一足早く優勝を決めた日は59年ぶりに両リーグ同時優勝もあるかと注目されていましたが、惜しくもそれは叶いませんでした。
それにしましてもソフトバンクも広島も今シーズンは圧倒的な強さを誇っていましたね。
ソフトバンクは何と言っても選手層の厚さが随一ですし、セ・リーグ連覇となった広島は主力選手の脂が乗り切っていてまさに黄金期を迎えていると言って良いでしょう。
しかし優勝が決まってもまだ今年のプロ野球は終わりではありません。
ここからクライマックスシリーズそして日本シリーズと熱い戦いが続きますので、最後まで楽しんでいきましょう!!
今回は前回に引き続き「引当金」についてお話いたしたいと思います。
前回の最後に「貸倒引当金」について少し言及しました。
「貸倒引当金」は他の「引当金」と比較して性質が異なるとお話しましたが、今回はその点について見てまいります。
ではそもそも「貸倒引当金」とは何か、その定義を見てみましょう。
「債権が回収不能となった場合の損失に備えて設定する引当金。
貸借対照表上、受取手形、売掛金その他の対応する債権の貸借対照表価額から、貸倒見積高を控除して表示する。(以下省略)」(会計用語辞典(日経文庫))
まず最初の文について、「貸倒引当金」は債権すなわち後日お金をもらえる権利を持っているにも関わらず、そのお金が回収出来なかった時に備えて設定されるものです。
つまり「貸倒引当金」を設定した時点ではまだ回収不能であるかは確実ではありません。
前々回に紹介した「負債」の定義である「『資産』を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物」で言えば、「(売掛金などの債権という)『資産』を放棄する義務」にはまだなっていないということです。
しかし回収不能となる可能性が高いため、「『資産』を放棄する義務の同等物」として「貸倒引当金」が計上されることになります。
さて問題は上記定義の2つ目の文です。
「貸倒引当金」を貸借対照表上どのように表示するかについて書かれていますが、「債権の貸借対照表価額」から「控除して表示する」とされています。
どのように表示されるのか、以下に具体例を示します。
【例】売掛金100万円に対して、2%の貸倒引当金を設定する。
(資産の部)
Ⅰ.流動資産
売掛金 1,000,000
貸倒引当金 ▲20,000
上記のように「貸倒引当金」は「引当金」という「負債」であるはずなのに、貸借対照表上では「資産の部」にマイナスで表示されます。
この点について前回紹介した「企業会計原則注解・注18」の「引当金」の定義に、実は以下のように書かれていたことにお気付きの方もいらっしゃったのではないでしょうか。
「~引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。」
「負債の部又は資産の部に記載」とありますが、「引当金」は基本的に「負債」ですので原則「負債の部」に表示します。
しかし「貸倒引当金」だけは「資産の部」に売掛金などの控除項目としてマイナス表示されるのです。
表示形式のイメージとしては「資産と費用」シリーズでも見てきた「減価償却累計額」に似ていますよね。
「貸倒引当金」も「減価償却累計額」と同じく、取得価額で貸借対照表に計上されている特定の「資産」の実質的な価額を表示するため、その価値がマイナスとなる金額を控除するものになります。
そして「資産」の本当の価値を評価するための「引当金」であるため、「貸倒引当金」のような「引当金」を「評価性引当金」と呼んでいます。
なおそれに対して、その他の「負債の部」に表示されるほとんどの「引当金」については「負債性引当金」と呼ばれています。
次回は「貸倒引当金」についてさらに詳しくお話してまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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