資産と費用(65)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
先日、7/26に行われたヤクルトvs中日の一戦は凄かったですね。
6回が終了した時点で10対0で中日がリード、私はちょうど帰宅途中でウェブの速報を見ていましたが、その時点で中日の勝利を確信していました。そして自宅に着いてもう一度確認してみると、いつの間にやら10対10の同点になっていてさすがに目を疑いました。
その後延長戦に入り大松選手のサヨナラホームランでヤクルトの大逆転勝利となった訳ですが、本当に野球は最後まで何が起こるかわかりませんね。今シーズンは苦しい戦いの続くヤクルトですが、この中日3連戦では打線が大爆発して合計31得点を奪っての同一カード3連勝となりました。最下位脱出はまだ遠いかもしれませんが、ここから勢いに乗って上位チームを叩くことでセ・リーグを盛り上げてもらいたいです!
今回も前回に引き続き「繰延資産」についてお話いたしたいと思います。
「資産と費用(59)」より前回まで6回に渡って「繰延資産」の解説をしてまいりました。
正直、資産の中でも最もイメージしにくいものがこの「繰延資産」だと思います。
その理由はいくつかありますが、まず目に見えるものではない、ということがあります。
そして同じように目に見えない「売掛金」や「前払費用」そして「無形固定資産」とも異なり、何かの権利でもなければ後でお金やサービスを受けられるものでもありません。
以前ご紹介したように「繰延資産」はすでに受け終わったサービスについて以後何年にも渡って長く効果を及ぼす、というその点に資産性があるとみなされています。
とは言うものの、個人的には資産と言うよりはやはり費用として考える方が自然かなと思っています。
では何故「繰延資産」というものがあるのでしょうか?
基本的には「正しい期間損益計算のため」というのが最大の理由であろうと考えます。
確かに「繰延資産」とされるものは長く収益を得ることに貢献していきますので、収益と費用の期間的対応関係を考慮すればその効果が及ぶ期間に按分して費用計上すべきです。
特に「創立費」や「開業費」は会社を設立してすぐに支出しますが、設立当初というのはなかなか収益が上がらないものです。
収益が安定的に稼げるようになってからその収益に対応するものとして「創立費」や「開業費」を費用計上する方が、一会計期間の損益を表すのに優れているのは間違いありません。
また「開発費」についても、例えば新薬の開発などにおいては膨大な投資をして開発した製品を長い期間を通して販売していきますので、その売上に対応して費用計上すべきでしょう。
そのような感じで期間損益の観点からは効果の及ぶ各期間に按分して費用計上すべきであるため、後日費用計上する分の「繰延資産」を一旦資産に計上している訳です。
ただ本当に「繰延資産」は資産なのでしょうか?
財務会計の概念フレームワークにおける資産の定義は「過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源」というものです。
つまり「資産」=「経済的資源」なのですが、経済的資源とは「キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」であり「実物財に限らず、金融資産及びそれらとの同等物を含む」とのことです。
「繰延資産」は前述の通り収益を生み出していくものですので、キャッシュの獲得に貢献しているという点については問題ありません。
しかし果たして実物財や金融資産の同等物と言うことが出来るでしょうか。
学術的にこの辺りがどのように議論されているのか詳しく知りませんが、どちらかというと資産とは言い切れないが会計処理の便宜上資産に表示せざるを得ない、ということではないかと推察します。
ですから「繰延資産」はその他の資産とは別に「資産の部」の一番下に表示されますし、勘定科目名も「~~費」とあたかも費用のようにされているのだと思います。
今回は少し概念的なお話になってしまい申し訳ございませんでした。
最後に一つ追記いたしますと、ここまで解説してきた「繰延資産」は会計上の「繰延資産」であり、これとはまた別に税務上の「繰延資産」というものもあります。
詳しくは以下の国税庁ウェブページをご参照下さい。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_01.htm
実は会計上のものより種類も多く、かなり具体的に指定された支出が対象となっています。
償却期間についても以下のように定められています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm
税務上の「繰延資産」についても結構難しい論点ですので、ご興味のある方や実務で関わる方は是非勉強してみて下さい。
さて次回は、ついに「資産と費用」シリーズの最終回にいたしたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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