資産と費用(64)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
プロ野球ではオールスターも終わり、今週からペナントレース後半戦に突入しました。
前半戦を簡単に振り返ってみますと、セ・リーグは広島が昨年を上回るように勝ち続けてほぼ一強という形になってしまいました。2位から5位までは今の所それほど差がありませんので、これからはCS出場権をかけた争いに注目という感じでしょうか。
対してパ・リーグでは楽天とソフトバンクが激しい首位争いを繰り広げました。投打が噛み合い勢いに乗る楽天に対して、怪我人を出しながらも12球団随一の選手層で底力を見せるソフトバンク、チームカラーは違いますが現在の強さは拮抗しています。
いずれにしましても今シーズンも各チーム残り60試合ほど、最後まで素晴らしいプレーを期待して応援していきましょう!
今回も前回に引き続き「繰延資産」についてお話いたしたいと思います。
前々回より「利息法」という償却方法の解説をしております。
この「利息法」は「繰延資産」のうち「社債発行費」の償却をする際に原則とされる方法です。
ただ「利息法」による「社債発行費」の会計処理はかなり複雑であるため、その理解の手助けとして「満期保有目的の債券」を「償却原価法」の「利息法」で処理する方法について前回ご紹介いたしました。
そちらを踏まえまして、今回はいよいよ「社債発行費」を「利息法」で償却するケースにおける処理の具体例を見てみます。
少し煩雑な計算になってしまっておりますが、どうぞお付き合い下さい。
【例】
平成26年4月1日、以下の社債を発行し、対価は現金で受け取った。
なお、社債発行費については現金で支払った。
・発行日:平成26年4月1日
・満期日:平成29年3月31日(現金にて償還)
・利払日:毎年3月末日の年1回(現金にて支払)
・額面金額:10,000円
・発行金額:9,500円
・社債発行費:500円
・クーポン利率:年1%
・払込金額に基づく実効利子率:年2.76%
・払込金額から社債発行費を控除した正味の手取金に基づく実効利子率:年4.648%
※会計期間:4月1日~3月31日
※端数は四捨五入
【仕訳】
(1)平成26年4月 1日 ⇒ 現金 9,500 / 社債 9,500
社債発行費 500 / 現金 500
(2)平成27年3月31日 ⇒ 社債利息 262 / 現金 100
社債 162
社債発行費償却 156 / 社債発行費 156
(3)平成28年3月31日 ⇒ 社債利息 267 / 現金 100
社債 167
社債発行費償却 166 / 社債発行費 166
(4)平成29年3月31日 ⇒ 社債利息 271 / 現金 100
社債 171
社債発行費償却 178 / 社債発行費 178
社債 10,000 / 現金 10,000
社債本体については前回解説した「満期保有目的の債券」を「償却原価法」の「利息法」で処理したケースと同じ計算パターンで負債にプラスする金額を算出します。
(前回は社債を購入した側、今回は社債を発行した側から見ていますので、貸借は逆になっています)
それに対して社債発行費の償却額も似たような計算をするのですが、その際社債の額面金額である「9,500円」ではなく、そこから社債発行費を差し引いた「9,500円-500円=9,000円」に対して実効利子率を乗じます。
この額面金額から社債発行費を差し引いた金額とは、すなわち社債を発行した会社の手元に実際に残された金額(正味の手取り金)です。
そしてここに乗じる実効利子率は、正味の手取り金額である「9,000円」を元に算出された利子率を用います。
(上記例の「払込金額から社債発行費を控除した正味の手取金に基づく実効利子率」)
具体的な計算方法は以下のようになります。
(2)9,500円 × 2.76% = 262円 ⇒ 費用計上(社債利息)
262円 - 100円(クーポン利息)= 162円 ⇒ 負債計上(社債にプラス)
(9,500円 - 500円(社債発行費))× 4.648% = 418円 ⇒ 正味の手取金をベースとした利息相当額
418円 - 100円(クーポン利息)= 318円 ⇒ (3)で正味の手取金にプラスして計算
318円 - 162円(上記で社債にプラスした利息相当分)= 156円 ⇒ 社債発行費の当期償却額
(3)(9,500円 + 162円)× 2.76% = 267円 ⇒ 費用計上(社債利息)
267円 - 100円(クーポン利息)= 167円 ⇒ 負債計上(社債にプラス)
(9,500円 - 500円(社債発行費)+ 318円((2)で計算))× 4.648% = 433円 ⇒ 正味の手取金をベースとした利息相当額
433円 - 100円(クーポン利息)= 333円 ⇒ (4)で正味の手取金にさらにプラスして計算
333円 - 167円(上記で社債にプラスした利息相当分)= 166円 ⇒ 社債発行費の当期償却額
(4)(9,500円 + 162円 + 167円)× 2.76% = 271円 ⇒ 費用計上(社債利息)
271円 - 100円(クーポン利息)= 171円 ⇒ 負債計上(社債にプラス)
(9,500円 - 500円(社債発行費)+ 318円((2)で計算) + 333円((3)で計算))× 4.648% = 449円 ⇒ 正味の手取金をベースとした利息相当額
449円 - 100円(クーポン利息)- 171円(上記で社債にプラスした利息相当分)= 178円 ⇒ 社債発行費の当期償却額
なかなかすぐに理解することが難しいレベルのややこしい計算ですが、とりあえず何となく全体像が分かって頂けると幸いです。
ちなみに今回ご紹介した「利息法」の計算方法、「実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」でも具体的に示されている訳ではありません。
私はこの計算方法を簿記の学習中に専門学校で教わったのですが、その際講師も「おそらくこのような計算方法が妥当であろうと思われる」という感じで言っていました。
ですので、もしかすると実務では上記例とは異なる処理をされている会社があるかもしれません。
今回の内容につきましては、その点ご了承頂ければと思います。
次回は「繰延資産」についてまとめのお話をいたしたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。