資産と費用(63)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
もう先月のことになりますが、メジャーリーグでレンジャーズ・ダルビッシュ投手とヤンキース・田中投手との対戦がありましたね。
日本では何度か投げ合ったことのあった両投手ですが、アメリカでの対戦は初ということで注目を集めました。
結果は両者とも素晴らしいピッチングで無失点のまま交代するという本当に甲乙付け難い内容でした。
ちなみにメジャーリーグの過去100年間の歴史の中でも、先発した両投手がともに3安打以下・9奪三振以上・無失点の投げ合いをしたのは何と2度目のことだそうです。
特に田中投手は今シーズン開幕以来らしくないピッチングが続いていましたが、次の登板でも久々に勝利投手になるなどこの対戦をきっかけに調子が上がってきているようです。
ドジャース・前田投手も先発に復帰して勝ち星をあげましたし、ここからの日本人メジャーリーガーたちの逆襲に期待しましょう!
今回も前回に引き続き「繰延資産」についてお話いたしたいと思います。
前回は「繰延資産」の会計処理について「無形固定資産」との相違点を解説いたしました。
その中で償却方法の違いとして「繰延資産」のうち「社債発行費」については「利息法」が原則である、とお話いたしました。
前回はこの「利息法」のご説明をする前段階として、「満期保有目的の債券」を「償却原価法」の「定額法」で処理した場合の具体例をご紹介いたしました。
ではそちらを踏まえまして、今回は「満期保有目的の債券」を「償却原価法」の「利息法」で処理するケースについて見てみましょう。
【例】
平成26年4月1日、以下の社債を満期まで保有する目的で取得し、対価は現金で支払った。
・発行日:平成26年4月1日
・満期日:平成29年3月31日(現金にて償還)
・利払日:毎年3月末日の年1回
・額面金額:10,000円
・発行金額:9,500円
・クーポン利率:年1%
・実効利子率:年2.76%
※会計期間:4月1日~3月31日
※端数は四捨五入
【仕訳】
(1)平成26年4月 1日 ⇒ 投資有価証券 9,500 / 現金 9,500
(2)平成27年3月31日 ⇒ 現金 100 / 有価証券利息 262
投資有価証券 162 /
(3)平成28年3月31日 ⇒ 現金 100 / 有価証券利息 267
投資有価証券 167 /
(4)平成29年3月31日 ⇒ 現金 100 / 有価証券利息 271
投資有価証券 171 /
現金 10,000 / 投資有価証券 10,000
上記の仕訳について解説いたします。
まず(1)の取得時には前回の「定額法」と同様、取得した金額で債券を資産計上します。
そして(2)~(4)の決算時における処理ですが、これも「定額法」と同じように額面と取得金額との差額を資産にプラスしていくのですが、その金額の計算方法が「利息法」では異なってくるのです。
「利息法」による計算では、上記の「クーポン利率」と「実効利子率」を用いることになります。
「クーポン利率」とは銀行の定期預金の利息と同じようなもので、債券(上記例では社債)の額面に対してかけられる利子率です。
上記の例で言えば、毎年10,000円×1%=100円の利息を受け取るということになります。
上記例の社債の満期は3年ですので、最終的に100円×3年=300円のクーポン利息が手に入ります。
しかしこの社債から得られる利益はこれだけではありません。
額面10,000円、つまり満期になると10,000円償還される社債を9,500円で取得している訳ですから、その差額である500円も実質的には利息であると考えられます。
よって上記例の社債を満期まで保有することで得ることが出来る利息の合計は以下のようになります。
300円(クーポン利息)+500円(額面との差額)= 800円
そして「実効利子率」とは、この実質的な利息である800円に対する利子率を言います。
この「クーポン利率」と「実効利子率」により上記の仕訳の金額を計算していきます。
具体的な計算方法としては、まず貸方に取得時ないしは期首時点での資産計上額(貸借対照表に計上している金額)に「実効利子率」を乗じた金額を収益計上します。
借方はクーポン利息である100円を「現金」に計上し、貸方との差額を「投資有価証券」として債券の資産計上額に追加します。
(クーポン利息は、簿記で学習する「通貨代用証券」の一つである「利払日が到来した公社債の利札」のことであるため「現金」とします)
上記例の数値を用いると以下のような計算となります。
(2)9,500円 × 2.76% = 262円 ⇒ 収益計上(有価証券利息)
262円 - 100円(クーポン利息)= 162円 ⇒ 資産計上(投資有価証券にプラス)
(3)(9,500円 + 162円)× 2.76% = 267円 ⇒ 収益計上(有価証券利息)
267円 - 100円(クーポン利息)= 167円 ⇒ 資産計上(投資有価証券にプラス)
(4)(9,500円 + 162円 + 167円)× 2.76% = 271円 ⇒ 収益計上(有価証券利息)
271円 - 100円(クーポン利息)= 171円 ⇒ 資産計上(投資有価証券にプラス)
このように「定額法」は毎期同額を資産計上していくのに対して、「利息法」では毎期首の貸借対照表価額に一定の利率を乗じた額をベースに資産計上していくという形になります。
イメージとしては減価償却の「定率法」に少し似ているといった感じでしょうか。
さて今回は「繰延資産」のお話から少しそれてしまいましたが、次回いよいよ「社債発行費」を「利息法」で償却した場合の処理について具体例をあげて解説してまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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