資産と費用(62)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
先日、メジャーリーグ・アストロズの青木宣親選手が日米通算2000本安打を達成しました。
日本人メジャーリーガーとしては7人目の快挙ということで、本当に素晴らしいですね。
青木選手と言えばヤクルト時代にはシーズン200安打を2回も達成しており、これはあのイチロー選手でさえ成し得なかった日本プロ野球史上唯一の記録です。
そんな青木選手も今シーズンでメジャー6年目となりますが、首位を独走するチームと共にさらなる大活躍を期待しています!
今回も前回に引き続き「繰延資産」についてお話いたしたいと思います。
前回「繰延資産」の会計処理の基本的な所を解説いたしました。
簡潔に言ってしまいますと、ほぼ「無形固定資産」の会計処理と同じようなものになっています。
しかし細かい部分では「無形固定資産」と異なる部分がありますので、今回はそちらをお話いたします。
まず一点目として、償却の会計処理をした際の借方の勘定科目、つまり費用の科目の表示区分です。
「無形固定資産」の償却費、例えば「商標権償却」や「特許権償却」、「ソフトウェア償却」などは基本的に「販売費及び一般管理費」の区分に表示されます。(ただし製品の製造において使用される場合は製造原価に含まれるため、「売上原価」の一部として表示されることになります)
それに対して「繰延資産」の償却費については、「開発費償却」以外全て損益計算書上「営業外費用」に属することになっています。
具体的には「創立費」「開業費」「株式交付費」「社債発行費」の4つですが、これらは「繰延資産」に計上せず一時に費用とする場合でも「営業外費用」とします。「株式交付費」と「社債発行費」はそもそも資金調達のための費用、いわゆる財務費用であり直接営業に関わる支出ではないため「営業外費用」となります。また「創立費」及び「開業費」はあくまで営業を開始する前段階での支出ですので、やはり「営業外費用」であると考えます。
それに対して「開発費」については技術や資源の開発、あるいは市場開拓など営業に関わる支出であるため、「売上原価」または「販売費及び一般管理費」として表示されます。
二点目としては、償却方法の違いがあります。
「無形固定資産」は全て「定額法」により償却します。
(なお「鉱業権」については「生産高比例法」を選択することも出来ます)
「繰延資産」も基本的には「定額法」で償却しますが、「社債発行費」だけは「利息法」による償却が原則とされています。(ただし継続適用を条件として「社債発行費」の償却でも「定額法」を選択することが出来ます)
ところでこの「利息法」ですが、これまでお話してきた減価償却の方法には登場してきませんでした。
それもそのはずで、減価償却の方法の中に「利息法」というものはそもそも存在しません。
では「利息法」とは何なのでしょうか。
日商簿記2級の学習経験がある方であれば「償却原価法」という言葉に聞き覚えがあるかと思います。
有価証券の中の「満期保有目的の債券」の会計処理で登場するのがこの「償却原価法」です。
これは何かと言うと、「満期保有目的の債券」を額面金額より少ない金額または多い金額で取得した場合、取得価額と額面金額との差額をその債券が満期を迎えるまでの期間で償却する方法です。
ちなみに日商簿記2級ではこの「償却原価法」のうち「定額法」についてを学習します。
少し脱線してしまいますが、「満期保有目的の債券」を「償却原価法」の「定額法」で処理した場合の会計処理の例をみてみましょう。
【例】
平成26年4月1日、以下の社債を満期まで保有する目的で取得し、対価は現金で支払った。
・発行日:平成26年4月1日
・満期日:平成29年3月31日(現金にて償還)
・額面金額:100万円
・発行金額:97万円
・クーポン利息:なし
※会計期間:4月1日~3月31日
【仕訳】
(1)平成26年4月 1日 ⇒ 投資有価証券 970,000 / 現金 970,000
(2)平成27年3月31日 ⇒ 投資有価証券 10,000 / 有価証券利息 10,000
(3)平成28年3月31日 ⇒ 投資有価証券 10,000 / 有価証券利息 10,000
(4)平成29年3月31日 ⇒ 投資有価証券 10,000 / 有価証券利息 10,000
現金 1,000,000 / 投資有価証券 1,000,000
「償却原価法」ではまず取得した金額で債券を資産計上、その後額面との差額を各期間において資産に追加していき、最終的に額面金額で貸借対照表に表示されるようにします。
そして「定額法」の場合、上記の例で言えば額面との差額3万円を毎期一定額、つまり1万円ずつ資産へと加えていきます。(取得金額と額面金額との差額は実質的には利息の受け取りと考えるため、貸方は収益科目である「有価証券利息」となります)
「利息法」も同じように取得金額と額面金額との差額を償却する方法なのですが、「定額法」より少し複雑な計算となります。
次回はこの「利息法」について、具体例をあげて解説いたしたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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