資産と費用(40)
どうも、野球大好き経理マンのノボルです!
さてこの「ノボルの経理スコアブック」の連載ですが、今回でなんと100回目を迎えることとなりました!!
これもひとえにご愛読頂いている皆様のお陰です。
本当にありがとうございます。
これからも少しでも皆様のお役に立てる内容をお届け出来るよう努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに連載を開始したのは2012年の秋だったのですが、ちょうどその頃日本シリーズを戦っていたのは巨人と日本ハムでした。
奇しくも現在ペナントレースではその両チームが大逆転優勝を目指して首位を猛追しています。
オリンピックや高校野球にはもちろん大注目ですが、今年もやっぱりプロ野球から目が離せない夏になりそうですね!
今回も引き続き「減価償却」についての基本的なお話をしていきたいと思います。
前回から「定率法」の償却方法について詳しく解説しております。
前回お話ししましたように「定率法」の中でも「250%定率法」と「200%定率法」については、耐用年数の後半になると特別な計算が必要になります。
その際、これまで計算に使用してきた「償却率」とは別に2種類の「率」が登場します。
それは「保証率」と「改定償却率」の2つです。
「250%定率法」が導入された平成19年4月に国税庁から出された「法人の減価償却制度の改正に関するQ&A」には以下のような説明があります。
『新たな定率法は(中略)2年目以後は、当該資産の期首帳簿価額(中略)に「定率法の償却率」を乗じて計算した金額(調整前償却額)を各事業年度の償却限度額として償却を行います。
その後、各事業年度の「調整前償却額」が、当該減価償却資産の取得価額に「保証率」(中略)を乗じて計算した金額である「償却保証額」に満たない場合は、原則として、その最初に満たないこととなる事業年度の期首帳簿価額(中略)である改定取得価額に、その償却費がその後毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた「改定償却率」(中略)を乗じて計算した金額を、各事業年度の償却限度額として償却を行う(以下略)』
この説明だけでは分かりにくいと思いますので、前回と同じ例を用いて具体的な数字を見てみましょう。
【例】取得価額:100万円、耐用年数:5年、200%定率法(償却率:0.400、保証率:0.108、改訂償却率:0.500)の減価償却資産
⇒このケースでの「償却保証額」は、1,000,000円 × 0.108 = 108,000円
(1年目)1,000,000円 × 0.400 = 400,000円
調整前償却額:400,000円 > 償却保証額:108,000円 ⇒ 400,000円(未償却残高:600,000円)
(2年目) 600,000円 × 0.400 = 240,000円
調整前償却額:240,000円 > 償却保証額:108,000円 ⇒ 240,000円(未償却残高:360,000円)
(3年目) 360,000円 × 0.400 = 144,000円
調整前償却額:144,000円 > 償却保証額:108,000円 ⇒ 144,000円(未償却残高:216,000円)
(4年目) 216,000円 × 0.400 = 86,400円
調整前償却額: 86,400円 < 償却保証額:108,000円 ⇒ 「改定償却率」を用いて再計算 ⇒ 216,000円 × 0.500 = 108,000円
(5年目) 216,000円 × 0.500 - 1円(残存簿価)= 107,999円
以下この償却方法のポイントを箇条書きでまとめてみます。
(1)耐用年数の初期においては「旧定率法」と同じように「取得価額」(1年目)または「期首未償却残高」(2年目以降)に「償却率」を乗じて減価償却費を算出する
(2)耐用年数の後半になり毎期の減価償却費が逓減していった結果、耐用年数終了前の段階で「期首未償却残高 × 償却率 = 調整前償却額 < 取得価額 × 保証率 = 償却保証額」となる年を迎える
(3)(2)の年以降は「(2)の年の期首未償却残高 = 改定取得価額」に「改定償却率」を乗じて減価償却費を算出する
(4)そのまま計算を続けると耐用年数の最終年には未償却残高は「ゼロ」となるが、「残存簿価」1円だけは残すように減価償却費を調整する
ざっくり言ってしまうと(2)の前年までは「定率法」の基本計算式を用い、(2)になった年からは「定額法」のような計算方法に切り替える、という感覚が近いと思います。
前回の例のように当初の「償却率」だけで「保証率」や「改訂償却率」を用いないままに計算し続けても永久に残存価額「ゼロ」にはなりませんので、最後は半ば強引に残った年数で按分して減価償却を終わらせてしまう感じです。
このように「250%定率法」と「200%定率法」においては、最終的に貸借対照表に残る金額はどの資産もそれぞれ「残存簿価」の1円になります。
しかしそれに対して「旧定率法」で減価償却した資産については、耐用年数経過後も貸借対照表上に「残存価額」が残り続けることになってしまいます。
同じように耐用年数まで使用した資産であってもその取得時期が早いか遅いかで貸借対照表に表示される価額、つまりその資産の価値が異なって見えてしまうことにはやはり問題があります。
(財務諸表を見る株主や債権者に対して誤解を与えかねないため)
そこで「旧定率法」で減価償却した資産の「残存価額」についても、また別の計算方法で償却していくことになります。
次回はそちらの解説をしてまいりたいと思います。
今回はここでゲームセット!
今日も早く仕事を終えてナイターへ!!
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