登山税理士チョモランマ先生の税理士徒然草
確定申告雑記(11)
こんにちは、税理士のチョモランマです。
読者の皆様、暑中お見舞い申し上げます(とりあえず今月締切りの仕事は終りましたので、少しは気が楽です)。
関東地方も梅雨明けし、例年通りの猛暑が続きます。
他方で、台風や大雨での自然災害のニュースもあり、少し気になるのが「50年に一度の雨量で云々…」という表現です。
そもそも50年前にそれを体験した人がいたのか?云々といった事が気になる訳ですが、同じ事が相続税対策として不動産メーカー各社がキャンペーンしている「30年一括借上げ」にも言えそうです。
ここで「30年一括借上げ」の仕組みについて、極く簡単に御説明します。
土地の地主さんが、土地を更地(そのままの状態)で所有していると、相続が起きた時に、土地に付いて減額の計算はできません(まともに評価するだけの状態になってしまう)。
そこで、自分の土地の上に、自分名義の建物(居住用のアパート)を立てて賃貸する事にすると、更地(自用地)だった土地は「貸家建付地(かしやたてつけち)」に変わり、評価額も下がります(そこで、財産が圧縮されるから、相続税対策になり、不動産メーカーにとって建築の仕事が出来る訳だから都合のいい話になり、しかも不動産メーカーの関連会社が管理会社となって管理料を取れるわけだからこれも都合のいい話になる…その一)。
しかし、建物を建てるだけのお金が無いよ(お金があっても)、という地主さんには銀行が好意的に融資を申し出て貸してくれます(そこで、金銭債務が発生するから、言い換えると財産からマイナスされるものが出てくる訳だから、相続税対策になり、銀行にとって金利を長期にわたって稼げる訳だから都合のいい話になる…その二)。
おおよその説明でしたが、地主さん=大家さんにとっては30年間不動産管理会社が借りてくれて、空室の家賃保証をしてくれるのですから、「地主」、「不動産メーカー」、「銀行」にとってWINな関係に見えそうですが、私が気になるのはこの仕組みで現実に30年後を経験した人がまだいないだろうな、という点です。
それはさて置き、この仕組みでは、建物の減価償却費や借入の金利が非常に大きいので、当初は所得税の申告(地主さんが大家さんになる訳だから不動産所得の申告が必要となる)においても所得として残る部分は少ないですが(収入−経費=所得がたくさん残り、相続税は節税になっても、所得税を多額に払うようではあまり意味が無い)、
・5年、10年の間には、多額の修繕費がかかる場面も出てきて(外装、屋根等)、負担は大家さんである、
・家賃保証といっても、空室の期間が長いと家賃を引き下げざるを得ない場面もある、
といった問題点(話が違うよといったトラブル)も現実に起きている様で問題点もありそうです。
私自身のお客様の中にも、このスキームで全てが終った後の確定申告を依頼されている方がいるのですが、ある時「銀行に相続の相談をしたら、話がどんどん進んでしまったんだけど、本当に意味あったんでしょうか?」と聞かれた事があります。
今更、それを私に聞かれても…、というのが正直な気持ちでした。
連載も知らない内に(?)、3年過ぎていました(笑)。
特別企画等はございませんが(笑)、今後もお付合い下さいませ。
さて、今週の山の天気は…。
読者の皆様、暑中お見舞い申し上げます(とりあえず今月締切りの仕事は終りましたので、少しは気が楽です)。
関東地方も梅雨明けし、例年通りの猛暑が続きます。
他方で、台風や大雨での自然災害のニュースもあり、少し気になるのが「50年に一度の雨量で云々…」という表現です。
そもそも50年前にそれを体験した人がいたのか?云々といった事が気になる訳ですが、同じ事が相続税対策として不動産メーカー各社がキャンペーンしている「30年一括借上げ」にも言えそうです。
ここで「30年一括借上げ」の仕組みについて、極く簡単に御説明します。
土地の地主さんが、土地を更地(そのままの状態)で所有していると、相続が起きた時に、土地に付いて減額の計算はできません(まともに評価するだけの状態になってしまう)。
そこで、自分の土地の上に、自分名義の建物(居住用のアパート)を立てて賃貸する事にすると、更地(自用地)だった土地は「貸家建付地(かしやたてつけち)」に変わり、評価額も下がります(そこで、財産が圧縮されるから、相続税対策になり、不動産メーカーにとって建築の仕事が出来る訳だから都合のいい話になり、しかも不動産メーカーの関連会社が管理会社となって管理料を取れるわけだからこれも都合のいい話になる…その一)。
しかし、建物を建てるだけのお金が無いよ(お金があっても)、という地主さんには銀行が好意的に融資を申し出て貸してくれます(そこで、金銭債務が発生するから、言い換えると財産からマイナスされるものが出てくる訳だから、相続税対策になり、銀行にとって金利を長期にわたって稼げる訳だから都合のいい話になる…その二)。
おおよその説明でしたが、地主さん=大家さんにとっては30年間不動産管理会社が借りてくれて、空室の家賃保証をしてくれるのですから、「地主」、「不動産メーカー」、「銀行」にとってWINな関係に見えそうですが、私が気になるのはこの仕組みで現実に30年後を経験した人がまだいないだろうな、という点です。
それはさて置き、この仕組みでは、建物の減価償却費や借入の金利が非常に大きいので、当初は所得税の申告(地主さんが大家さんになる訳だから不動産所得の申告が必要となる)においても所得として残る部分は少ないですが(収入−経費=所得がたくさん残り、相続税は節税になっても、所得税を多額に払うようではあまり意味が無い)、
・5年、10年の間には、多額の修繕費がかかる場面も出てきて(外装、屋根等)、負担は大家さんである、
・家賃保証といっても、空室の期間が長いと家賃を引き下げざるを得ない場面もある、
といった問題点(話が違うよといったトラブル)も現実に起きている様で問題点もありそうです。
私自身のお客様の中にも、このスキームで全てが終った後の確定申告を依頼されている方がいるのですが、ある時「銀行に相続の相談をしたら、話がどんどん進んでしまったんだけど、本当に意味あったんでしょうか?」と聞かれた事があります。
今更、それを私に聞かれても…、というのが正直な気持ちでした。
連載も知らない内に(?)、3年過ぎていました(笑)。
特別企画等はございませんが(笑)、今後もお付合い下さいませ。
さて、今週の山の天気は…。
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弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
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