「大入り袋」を支給したら、何費?
昨今では、一定期間における売上や利益の目標額を定め、社員一丸となって業績向上を目指し、さらにその目標額に達した際、いわゆる 「大入り袋」を支給する企業も少なくありません。
今回は、この「大入り袋」を支給した場合の処理についてお話しします。
「大入り袋」は通常、月、四半期、半期、期などの単位で目標額を定め、その目標に達成した際に支給されます。
ところで、雇用契約等に基づき支給される結婚、出産等の祝い金品は、原則、給与等として所得税の課税対象となるものの、受給者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものは課税しなくて良いこととされています。
また、使用者から支給される葬祭料、香典、災害等の見舞金は、社会通念上相当と認められるものについて所得税が非課税とされています。
これらは、広く一般に社会的な慣習として行なわれており、使用者から支給されることのみを理由に、常識的な金額のものまで課税するのは妥当ではないなどと考えられているのです。
一方、「大入り袋」は労務の提供に対する直接的な対価で、給与としての性格を有し、また、必ずしも一般に社会的な慣習とまでは言い切れません。
そこで、原則として「給料手当」等として処理することになります。
また、支給時には所得税を徴収する必要があります。この点、厳密には「賞与」に該当する場合が多いと思われますが、支給の都度、所得税を徴収するのは現実的でないことから、その月の月給等の支給時に併せて源泉徴収しても差し支えないものと思われます。
なお、そのように月給等の支給時に併せて源泉徴収する場合には、「大入り袋」の支給時には「前渡金」等として処理し、月給等の支給時に「大入り袋」の額も含めて「給与手当」等として処理するのが一般的のようです。
○前月に売上目標を達成したため、全従業員(20人)に対し、 「大入り袋(1人当たり1,000円)」を現金で支給しました。
(借方)前渡金 20,000/(貸方)現金 20,000
○当月分の従業員給料(総額:500万円)を、健康保険料等70万円、雇用保険料3万円、所得税・住民税22万円(上記の大入り袋分を含みます)を差し引き、手取額を当座預金にて支払いました。
(借方)給与 502万円
/(貸方)預り金 92万円
立替金 3万円
前渡金 2万円
当座預金 405万円
出典:研修出版 経理WOMAN
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