リサイクル料金は、支出時の費用か?
近年では、さまざまな廃棄物の増加や不法投棄が問題となり、リサイクルへの関心が高まり、個別のリサイクル法が制定されています。
なかでも、一般企業にも関連するのが、いわゆる家電リサイクル法と自動車リサイクル法です。
そこで今回は、これらに関し、消費者としての企業における経理処理を考えてみます。
まず、ご承知のとおり現在では、いわゆる家電リサイクル法により、特定の家電(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)については、これらの利用者がその廃棄時に、収集・運搬に要する料金のほか、所定のリサイクル料金を負担します。
通常は、これらの家電の買換え等の際に、使用済家電を業者に引き渡し、リサイクル料金を負担しますが、これらの負担額は、廃棄に伴う費用であることから「雑損失」や「雑費」として処理する場合が多いようです。
一方、似たようなものに、いわゆる自動車リサイクル法によるリサイクル料金がありますが、この場合のリサイクル料金は、処理上、注意が必要です。
なぜなら、自動車のリサイクル料金は、自動車を廃棄する際の費用を前もって購入時に支払うものであるからです。つまり、リサイクル料金のうち、資金管理料金以外は、使用済自動車として引取業者に引き渡すときに初めてリサイクル代金に充当されます。
そこでたとえば、中古車として譲渡した場合は、次の所有者がリサイクル料金を負担することになるため、次の所有者から返金されることになります。
よってリサイクル料金は、当初は預託金としての性格を有することから、実際に廃棄するまでは、「長期前払費用」等として処理することになります。
このように、家電リサイクル料金と自動車リサイクル料金とでは、その経理処理が異なるので注意が必要です。
○廃棄したエアコンのリサイクル料金2,625円と諸費用1,050円を現金で支払いました。なお、廃棄したエアコンは、購入時に少額減価償却資産として費用処理済みです。
(借方)雑 費 3,675円
/(貸方)現 金 3,675円
○車両110万円を購入し、自動車諸税9万円、自賠責保険料8万円、資金管理料金を除くリサイクル料金1万円、検査登録等その他の費用3万円の合計131万円を現金で支払いました。なお、費用処理できるものはすべて費用とします。
(借方)車 両 110万円
租税公課 9万円
保険料 8万円
雑 費 3万円
長期前払費用 1万円
/(貸方)現 金 131万円
出典:研修出版 経理WOMAN
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