永年勤続者に交付する記念品等
今回は、永年勤続者の表彰に際して交付する記念品等の処理について見てみましょう。
期間勤務した役員や従業員に対する表彰は、一般によく行なわれる行事であり現実には、同時に旅行に招待したり、記念品や祝い金などを交付することも少なくありません。
ところで、この場合の記念品等(経済的な価値)の交付は、給与の後払い的な側面があるものと考えられますが、一方で、一種の儀礼的なものであることも否めません。
仮に給与の後払いと考えるのであれば、当然、「給与」等として処理することになりますが、儀礼的なものであると考えるなら、一般には「福利厚生費」として処理します。
この点税務では、次の要件を満たせば、給与として課税しなくて差し支えないものとされています。
具体的には、
※金銭の交付でないこと、
※その物品等の額が、勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること、
※その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とするもので、2回以上表彰を受ける者については、5年以上の間隔をおいて行なわれることです。
つまり、金銭や高額な物品であったり、勤続年数がおおむね10年未満であったり、あるいは連年表彰などは、給与課税の対象となります。
もちろん、給与として課税される場合には、源泉所得税の徴収も必要となります。
ただ、物品のみを交付するなどの場合は、現金等で別途徴収することは困難であることから、便宜上、同月中に支給する給与から徴収する方法も認められるものと思われます。
なお、物品等を交付する場合、その物品等が消費税の課税対象であれば、その交付が給与として所得税の課税対象となるかどうかにかかわらず、消費税の課税仕入に該当します。この点も、念のためご留意ください。
○勤続年数10年を経過した従業員に対し、記念品(5,250円)を現金で購入し、即日、交付しました。
(借方)福利厚生費 5,250円
/(貸方)現 金 5,250円
○勤続年数20年を経過した従業員に対し、祝い金5万円(現金)を交付しました。なお、源泉所得税は、給与支給時に徴収する予定です。
(借方)給 与 5万円
/(貸方)現 金 5万円
出典:研修出版 経理WOMAN
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