外貨を受け取ったら、どう処理する?
今回は、海外取引等により外貨を受け取った場合の処理を考えてみます。
日本にある企業が海外企業と取引を行なう場合、円建てで行なうこともあるものの、相手国の通貨建てで行なうことが少なくありません。
そうなると、日本円だけでなく当然、外貨を受け取ることもあり、あるいは輸入品の代金決済のために外貨が必要となります。
そこでまず、日本円を外貨(たとえばUSドル)に両替した場合の処理を考えてみます。
その場合には、円という現金をドルという現金に替える単なる両替であり、原則として仕訳の必要はありません。
しかし、帳簿上の管理としては、円と外貨とを区別した方が分かりやすいため、あえて「外国通貨」や「外貨」等の科目で処理することもあります。
もちろん、金額は円のまま記録するのはいうまでもありません。このことは、輸出代金等を相手国の通貨で受け取った場合も同様です。
ところで、外貨には相場があり常に変動しています。
そのため、受け取った外貨はそのときの相場で円換算し記録しますが、実際に円に両替すると帳簿記載額と異なるのが一般的です。
たとえば90円をUS1ドルに替え、その後そのUS1ドルを円に戻したら88円にしかならないといったこともあります。
つまり、為替相場の違いにより損得が生じます。
しかも、実際の相場は金融機関の手数料等が考慮されるため、"円貨を外貨に両替する場合の相場(TTS)"と"外貨を円貨に両替する場合の相場(TTB)"とが異なります。
そこで、その際に生じる損得を「為替差損益」といい、通常円が帳簿より増えたときは「為替差益」、減ったときは「為替差損」として処理します。
なお、決算時に外貨を保有する場合は、そのときの為替相場により換算しますが、レートは電信売買相場の仲値(TTM)か電信買相場(TTB)を用います。
○商品をUSドル建てで輸出販売し、代金は外貨(10,000ドル)を受け取りました。
なお、本日の為替相場は、1ドル89円です。
(借方)現 金 890,000円
/(貸方)売 上 高 890,000円
○決算に際し、保有している上記外貨10,000ドルを決算時の為替相場(1ドル90円)
に円換算することとしました。
(借方)現 金 10,000円
/(貸方)為替差益 10,000円
出典:研修出版 経理WOMAN
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