取引先に対する災害見舞金も交際費?
■取引先に対する災害見舞金も交際費?
今回は、取引先に対して交付する見舞金等について考えてみます。
取引先の従業員等に対し慶弔金等を交付した場合には、一般に「接待交際費」とし、税務上も「交際費等」として取り扱われます。
なお、交付の相手側が取引先の従業員等の個人ではなく、会社等の企業であったとしても、基本的な処理や取扱いは同様といえます。
ところで、地震等の災害により、取引先の工場等が全壊するなどの被害を受け、その復旧に関する救済のために災害見舞金等を交付する場合も少なくありませんが、そのような災害見舞金等はどのように処理すべきでしょうか。
もちろん、「接待交際費」としても間違いとはいえません。
ただ、重要な取引先が被災した場合、間接的に自社にも相当な損失が生じることが考えられます。
そこで、その取引先との被災前の取引関係の維持、回復を目的として交付する災害見舞金等は、単なる贈答等とは異なり、相手先の救済を通じて自社が被る損失を回避するための費用であるとみることもでき、これらは、実質的に一種の販売奨励金であるとも考えられます。
そこで、じつは税務上、これらの費用は「交際費等」に該当しないものとして取り扱うことになっています。
よって、これらを交付した場合、あえて「接待交際費」とはせず、「販売促進費」や「雑費」とし、あるいは多額となるようなときは「雑損失」として処理することもあります。
なお、自社の商品等を取り扱う小売業者等が被災した場合に、被災により滅失または損壊した商品等を同種の商品等と交換し、あるいは無償で補てんしたときも同様な処理を行ないます。
一方、災害見舞金等の交付を受けた側においては、「雑収入」や「受贈益」等として収益に計上します。
○主要な取引先の店舗が地震により損壊したため、復旧費として災害見舞金(現金 50万円)を交付しました。
(借方)販売促進費 500,000円
/(貸方)現 金 500,000円
○災害により商品の多くが損壊し、仕入先より災害見舞金300,000円の交付を受けました。
(借方)現 金 300,000円
/(貸方)雑 収 入 300,000円
(借方)期首商品棚卸高 890,000円
/(貸方)商 品 890,000円
(借方)商 品 920,000円
/(貸方)期末商品棚卸高 920,000円
出典:研修出版 経理WOMAN
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