労働保険に関する疑問
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労働保険に関する疑問
Q.
労災保険と雇用保険は扱いが同じはずですが、書類の提出先がそれぞれ異なるのは何か理由があるのでしょうか?
また労働保険の年度更新で、先に概算保険料を支払うのはなぜですか?
確定分だけを毎年支払ったほうか間違いがないと思うのですが...。
A.
ご承知のように労働保険とは、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます)と雇用保険(以前は「失業保険」といっていました)をまとめた総称です。
これら二つの制度は、どちらも厚生労働省が管掌していますが、実際の窓口となるのは、労災 保険は「労働基準監督署」、雇用保険は「ハローワーク」と別々になっています。
その理由は、労災保険事業は労働基準法との一体的運営の必要から労働基準局の所掌とされ、雇用保険事業は、雇用対策法(積極的な雇用対策の展開)や職業安定法(職業安定機関の設置運営)との一体的運営の必要から、職業安定局の所掌とされているからです。
なお、両者の保険料の支払いについては、建設業など一部の業種を除いて、労働保険料として合わせて申告、納付することになっています。
次に、労働保険の年度更新で、先に概算保険料を支払っておく理由ですが、労働保険料(労災保険と雇用保険の保険料)は、通常、毎保険年度(4月1日から翌年の3月31日まで)の始めに概算額を申告納付し、その保険年度が終わってから確定額を申告することにより、概算額と確定額との過不足を精算するしくみになっています。
この場合の概算額は「その保険年度に使用するすべての労働者に支払う賃金総額の見込み額×所定の率」で、確定額は「その保険年度に使用するすべての労働者に支払った賃金総額×所定の率」で計算します。
つまり、労働保険料は1年間経ってから正確な額が決まるものなのです。
しかし、だからといってその1年間が終わってから保険料を徴収していたのでは保険制度が成り立ちません。
というのも、その1年の間に労災事故が起こったり、失業者が生まれるかも知れないからです。
さらに、保険年度の途中で会社が倒産してしまい、保険料を未納のまま事業主が行方不明になる可能性もあります。
そのため、労働保険料は概算払いとなっているのです。
(編集部)
出典:研修出版 経理WOMAN
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