保守サービスパックの計上基準
読者質問箱
保守サービスパックの計上基準
Q.
当社ではパソコンの販売と合わせて、3年または5年のサポートを保証する「保守サービスパック」を販売しています。
このパックの売上げは販売時に売上として一括計上してよいものなのでしょうか。
A.
まず収益(売上)計上の基準について確認しておきましょう。
最も基本的なものは「引渡基準」です。
商品の引渡時やサービスの提供時に収益の計上を行なうというものです。いつをもって「引渡」とするのかは、「発送時」「検収時」など業態ごとに実情に合うものを選択すれば良いこととなっています。
その他継続して役務提供する場合などは、時の経過に応じて収益計上することになっています。
収益計上基準の選択方法は次のとおりです。
1,「業種」ではなく「業態で」
例えば、お酒の小売を営んでいる会社というと、店頭で商品と引き換えに現金を回収するのですから「回収基準」だと考えがちですが、インターネット通販をメインにしている場合は「発送基準」のほうが商品の実際の流れに沿っていると言えます。
「○○業だから○○基準」と決めるのではなく、商品(役務)の流れから「このような業態(取引の流れ)だから、この基準にしよう」と決めるのが妥当でしょう。
2,「費用と収益の対応」を考慮する
「その収益に対応する費用はいつ、どのように発生するのか?」というのも、収益計上基準選定のヒントとなります。
収益を得るにはそれなりの費用(または原価)がかかるわけで、これらを上手く対比させることで、適正な期間損益を計算することが出来ます。
特に収益計上のタイミングに迷った場合などには、これらの因果関係を基に収益計上基準を選定する、という方法も有効です。
そこで今回ご質問の「パソコン等の3年分の保守サービスパックの売上の計上」については、継続しての役務提供となりますので、収入した金額を契約期間で除して計算した額を収益に計上すれば良いと考えられます。
(収入時は何の役務提供もしていないため、収益計上は妥当と言えません)
また、保守契約を仲介して手数料を得る業者の場合は、その仲介時に収益が確定するのですから、仲介手数料は仲介時に計上すべきと考えられます。
(税理士 森康博)
出典:研修出版 経理WOMAN
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