消費税を学ぼう!(6)~基準期間って何?~
お疲れ様です。ヨシオです。
現在(2019年9月)、NHKで企業の経理部を舞台にしたドラマが放映されていることをご存知でしょうか。
ドラマ10「これは経費で落ちません!」
https://www.nhk.or.jp/drama/drama10/keihi/
オフィスを舞台にしたドラマは数あれど、地味でお堅い印象の強い経理をメインにした作品は珍しいこともあってか密かに(?)話題になっているようです。
事業会社の経理マンとして働く私ヨシオも毎回欠かさず視聴して原作の小説も全巻読破するほど楽しんでいるのですが、この作品には税理士試験受験生としても気になる点があります。
それは主人公の同僚である経理部員・田倉勇太郎がどうも税理士試験に挑戦しているっぽい、ということです。
小説の中で田倉が「ここ数年、資格の勉強をしていたがやっととれた。これから税理士というわけにもいかないが~」と言っているのです。
これはおそらく税理士試験には合格したけれど税理士として開業はしない、という意味だとは思うのですが、今のところドラマでも原作でもこの設定はあまり活かされていません。
いずれこの田倉勇太郎が税理士試験で得た知識を使って大活躍する、というお話があることをヨシオは期待しています!
さて今回も以下の「消費税のあらまし」を使ってお話ししてまいりたいと思います。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/01.htm
前回は2ページの「[5]納税事務の負担軽減措置等」から、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」についてお話ししました。
今回も引き続き「免税事業者」の制度について解説したいと思います。
そもそも「免税事業者」とはどのようなものであったか、前回も見た「第5 納税義務者は誰か?」の「2. 納税義務の判定」(16ページ)にある説明をもう一度以下に示します。
「その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。
この事業者を「免税事業者」といいます。
免税事業者は、課税資産の譲渡等を行っても、その課税期間は消費税が課税されないことになり、課税仕入れ及び課税貨物に係る消費税額の控除もできません。」
この説明の前半部分にはどのような事業者が「免税事業者」に該当するのかということが書かれていますが、その内容を正しく理解するためにはここに登場しているいくつかの用語の定義を知る必要があります。
そしてその点については、4ページの<用語の説明>に以下のように書かれています。
・課税期間
「納付すべき消費税額の計算の基礎となる期間をいいます。原則として、個人事業者は暦年、法人は事業年度をいいます。」
・基準期間
「ある『課税期間』において、消費税の納税義務が免除されるかどうか、簡易課税制度を適用できるかどうかを判断する基準となる期間をいいます。
原則として、個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。(以下省略)」
・課税売上高
「消費税が課税される取引の売上金額と輸出取引等の免税売上金額の合計額をいいます。(以下省略)」
「課税期間」と「基準期間」について、以下に具体例をあげてみます。
【例1】個人事業者、2019年の消費税について
課税期間:2019年1月~2019年12月(暦年)⇒ 基準期間:2017年1月~2017年12月(課税期間の前々年)
【例2】3月決算の法人、2019年度の消費税について
課税期間:2019年4月~2020年3月(事業年度)⇒ 基準期間:2017年4月~2018年3月(課税期間の前々事業年度)
※法人の事業年度が1年(12か月)でない場合は、上記とは異なる課税期間・基準期間になります
つまり基本的には2年前(2期前)の「課税売上高」が1,000万円以下であった場合において、今年(今期)の消費税の納税義務が免除される、ということです。
そして「課税売上高」とは定義の通り「消費税が課税される取引の売上金額」、すなわち消費税8%ないし10%が課されている売上の金額が「免税事業者」であるかどうかを判定する際の対象金額の一部になります。
さらに「輸出取引等の免税売上金額」を加えた合計額が「課税売上高」となるのですが、今度は「免税売上金額」とは何か、ということをご説明しなければなりません。
次回は少しページを飛ばしまして「第4 免税される輸出取引は?」の内容から「免税売上金額」についての解説をしたいと思います。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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