消費税を学ぼう!(5)~消費税の納付が免除に!?~
お疲れ様です。ヨシオです。
令和元年度(第69回)税理士試験が終了して20日ほど経過しましたが、税理士試験受験生の皆様はゆっくりと夏休みを過ごされましたでしょうか。
来年の試験を受験予定の皆様は、早ければ来週には専門学校のカリキュラムが開始されると思いますので、今だけは勉強しない時間を存分に楽しんで下さい。
そして9月に入ったらまずはじっくりとペースを掴みつつ、少しずつ勉強に力を入れていきましょう!
さて今回も以下の「消費税のあらまし」を使ってお話ししたいと思います。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/01.htm
前回は2ページの「[4]申告・納付は、だれが、どこに、いつするの?」から、海外からの輸入に課せられる消費税についてお話ししました。
今回は続く「[5]納税事務の負担軽減措置等」の内容を見てみましょう。
ここには以下のような記述があります。
「事業者の納税事務の負担等を軽減するために、次のような措置が講じられています。
●事業者免税点制度......基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、免税事業者となります。
●簡易課税制度......基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、課税売上高から納付する消費税額を計算する簡易課税制度が選択できます。」
「課税売上高」が1,000万円以下や5,000万円以下といった売上が比較的小規模な事業者などについては、消費税の納税に関する事務負担が軽くなる措置がある、ということです。
軽減措置の1つ目「免税事業者」については、「第5 納税義務者は誰か?」の「2. 納税義務の判定」(16ページ)に以下のような説明があります。
「その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。
この事業者を「免税事業者」といいます。
免税事業者は、課税資産の譲渡等を行っても、その課税期間は消費税が課税されないことになり、課税仕入れ及び課税貨物に係る消費税額の控除もできません。」
簡単に言ってしまうと「免税事業者」とはモノやサービスを販売した際に消費税分の金額を受け取っていても、その消費税分の金額を税務署に納付することが免除されている事業者を指します。
「消費税を学ぼう!(3)~消費税は誰が納めている?~」でお話ししたように、原則として事業者は売上げに際して受け取った消費税から仕入れにおいて支払った分の消費税を引いた差額を税務署に納付しています。
しかし「免税事業者」に該当した場合、消費税を受け取ったら受け取ったまま、消費税を支払っても支払ったままで、それ以上何もする必要がありません。
簡単な例をあげてみましょう。
【例】
売上金額:税込864万円(内、消費税64万円)
仕入金額:税込540万円(内、消費税40万円)
上記のケースで仮に「免税事業者」ではないとした場合、64万円-40万円=「24万円」の消費税を税務署に納付しなければなりません。
結果、この事業者の手元には864万円-540万円-24万円=「300万円」が残ることになります。
ですが、実際にはこの事業者は「免税事業者」に該当しますので、消費税の納付が免除されて864万円-540万円=「324万円」と本来であれば納付すべき消費税の金額分である「24万円」がプラスして手元に残されます。
つまり「免税事業者」は納税事務の負担がないというメリットだけでなく、金銭面でも非常に優遇されているのです。
このように「免税事業者」が本来納めるべき消費税分の金額を得してしまうという状況については、以前から問題視されていました。
これは消費税の「益税問題」とも呼ばれています。
平成元年の消費税導入時には「3%」であった税率もその後「5%」そして「8%」となり、それに伴って「益税」部分も当然多くなっていきました。
そのため平成15年の税制改正においては、それまでの「課税売上高3,000万円以下」という「免税事業者」の基準が現行の「課税売上高1,000万円以下」にまで引き下げられる、ということもありました。
しかし「免税事業者」に関わる改正はこれだけではありません。
実はこの制度のある意味盲点ともいえる部分を利用することで、「益税」のみならずそれ以上のお金を合法的に得ることのできる方法がかつては存在していました。
そしてその方法を理解するためには、まず上記の説明に出てきた「課税売上高」や「基準期間」といった用語の意味を知らなければなりません。
次回はこれらの用語の説明から、さらに「免税事業者」の制度についてお話ししたいと思います。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。