消費税を学ぼう!(3)~消費税は誰が納めている?~
お疲れ様です。ヨシオです。
いよいよ令和元年度(第69回)税理士試験まで残り1週間となりました。
「せめてあと1カ月くらい時間が欲しい...」という受験生の方もいらっしゃるでしょうが、恐らく受験するほぼ全員が多かれ少なかれそんな風に思っています(笑)
一般的にもよくいわれることですが「もう1週間しかない」と考えてしまうのか、逆に「まだ1週間もある」と前向きにとらえるのかで試験までの過ごし方やその後の結果は大きく変わってきます。
「ヨシオの目指せ!税理士!」の読者である税理士試験受験生の皆様は、合格を目指してこれまで懸命に勉強されてこられたと思います。
自らの努力を信じ、そして試験が終わる瞬間までベストを尽くせば、きっと結果はついてきます。
令和初の合格、必ず勝ち取りましょう!!
さて先日より消費税をテーマとしたシリーズをお送りしております。
その中で前回から使用している「消費税のあらまし」ですが、いつの間にやら「令和元年6月」版に入れ替わっていました。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/01.htm
こちらは最初のページ(表紙)の右上に書かれている通り「平成31年4月1日現在適用されている法律」に基づいた内容となっています。
ただざっと見てみたところ、前回使用した「平成30年6月」版のものと細かい部分以外は変わっていないようです。
少なくとも前回取り上げた内容の部分は全く同じでしたので、今回からはこちらの「令和元年6月」版「消費税のあらまし」を使ってお話ししてまいりたいと思います。
では前回予告した通り「第1 消費税はどんな仕組み?」の内容から見ていきましょう。
1ページの冒頭「1.基本的な仕組み」「[1]消費税はどんな税?」には以下のように書かれています。
「消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。」
ところで「間接税」という言葉は皆さんご存知かと思いますが、あらためてその定義について確認してみましょう。
「広辞苑第六版」には以下のように書かれています。
「法律上の納税義務者と実際の租税負担者とが一致しない租税。消費税・酒税・揮発油税の類。」
ここでいっている「納税義務者」とは税務署に税金を納付する義務のある者であり、「租税負担者」とはその税金を実際に負担する者のことです。
つまり「租税負担者」の財布の中から出た税金を「納税義務者」がいったん預かり、その預かった税金を「納税義務者」から税務署へ納める、という流れになるのが「間接税」です。
では消費税における「租税負担者」「納税義務者」は誰なのでしょうか。
それについては「[2]消費税の負担者」の「ポイント」という箇所に、以下のようにまとめられています。
◎消費税を負担する者=消費者
◎消費税を申告、納付する者=事業者
すなわち「租税負担者」が私たち「消費者」であり、「納税義務者」はお店や会社といった「事業者」であるということです。
ここで会社などにお勤めの方は「いや、会社が支払っている費用にも消費税がかかっているから、会社も負担しているのでは?」と思われるかもしれません。
それについては同じ「[2]消費税の負担者」の「消費税の負担と納付の流れ」という図をご覧いただければお分かりになるかと思います。
この図の通り、確かに会社でも仕入れなどの際に消費税を支払うのですが、売上げに際して受け取った消費税からその支払った分の消費税を引いた差額を税務署に納付します。
したがって会社が負担する消費税は実質ゼロであり、最終的に消費者が全額(この図では8,000円)を負担することとなります。
そしてこの図のように消費者に至るまでに複数の事業者を介していたとしても、「租税負担者」である消費者の負担額と「納税義務者」である複数の事業者たちが税務署に納付した金額の合計は一致します。
(ただし、実際には会社が支払った消費税は必ずしもその全額を受け取った消費税から差し引ける訳ではありません。その点につきましては「第8 控除税額等の計算は?」に書かれていますので、後日お話ししたいと思います。)
ちなみに余談となりますが、「間接税」と対になる「直接税」は以下のように定義されています。
「国家が税金の実際上の負担者から徴収する租税。納税義務者が通常他に転嫁し得ず、自ら負担者となる性質のもの。所得税・法人税・相続税の類。直税。」(広辞苑第六版)
「納税義務者」=「租税負担者」というのが「直接税」であるということですが、私のようなサラリーマンからすると所得税が「直接税」であるということには少し違和感を覚えます。
といいますのも、ご存知の通りサラリーマンなど給与所得者であれば所得税は給料から天引き、いわゆる「源泉徴収」をされているためです。
これは当然会社が勝手にやっていることではなく、会社側からしても「源泉徴収」してその預かった所得税を税務署に納付することが義務となっています。
「源泉徴収」の場合、給料から差し引かれることで所得税を負担している「租税負担者」は私たちサラリーマンであり、その天引きした所得税を税務署に納付する義務がある会社は「納税義務者」であるといえます。
ここだけ見ればほぼ明らかに「納税義務者」≠「租税負担者」であり、どちらかと言えば「間接税」のようにも見えます。
もちろん「租税負担者」が自ら確定申告して納税することが所得税の原則ということですので「直接税」には違いないのでしょうが、感覚としてどうにもしっくりこないというのが私の本音です。
次回は引き続き「消費税のあらまし」の「第1 消費税はどんな仕組み?」の内容を見てまいりたいと思います。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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