平成最後の「税理士・春香」
お疲れ様です。ヨシオです。
今週の初めまで続いた平成から令和をまたぐ10連休、税理士試験受験生の皆さんはいかが過ごされましたでしょうか。
これまでの勉強の遅れを一気に取り戻した方や、直前期の追い込みに備えて多少ゆっくりされた方など様々いらっしゃるかと思います。
いずれにしましても試験までは残り3ヵ月、ここからが本当の勝負となってきます。
そして本日(2019年5月8日(水))からは、いよいよ今年の税理士試験受験申込みの受付も始まりました。
この受験申込みの受付が始まりますと、毎年まさに試験まで「待ったなし」という気持ちになります。
そんな訳で連休気分は早々に吹き飛ばして、8月に向けて本番モードで勉強に邁進していきましょう!
さて、前回は「税理士・春香の事件簿」という2001年(平成13年)が初版の書籍をご紹介しました。
前回の最後にも少し触れましたが、この「税理士・春香」はその後出版された他の書籍にもたびたび登場しています。
今回はその中でおそらく現時点における最新作、そして平成最後の出版と思われる書籍をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは三木義一さん編著の書籍「よくわかる税法入門〔第13版〕」です。
三木さんは前回ご紹介した「税理士・春香の事件簿」の著者ですが、この「よくわかる税法入門〔第13版〕」ではプロローグとエピローグのみを執筆されており、主に編者を務められているようです。
そして本書のメインとなる部分を書かれているのは5名の方々で、しかもその全員が大学の法学部教授という執筆陣となっています。
また編著者の三木さんも現在は青山学院大学の学長に就任されていますが、これまで立命館大学や青山学院大学で法学部教授を歴任されています。
このように本著は法学部教授の方々による執筆ということで、読者としては大学生、特に法学部の学生が想定されています。
前回ご紹介した「税理士・春香の事件簿」は税理士事務所における所長と職員たちの会話を中心にして構成されていましたが、本書では大学のゼミでの会話形式となっています。
登場人物は市木くんと仁木さんという男女2名の学生、そして「税理士・春香」です。
設定としては、とあるゼミのOGである春香が、そのゼミの先生に頼まれて後輩たちの指導に来ている、という感じになっています。
春香が出題する問いに、少しおっちょこちょいの市木くんとしっかり者の仁木さんが答え、最後はゼミの先生が詳しく解説する、という形で全29章がそれぞれ構成されています。
ちなみに本書は「〔第13版〕」とあるように、かなり以前から出版されています。
初版が2001年(平成13年)8月ということですので、実は「税理士・春香の事件簿」の初版と同じ年だったりします(ただし「税理士・春香の事件簿」は雑誌「税研」の連載をまとめたものですので、実際にその内容が書かれていたのはもっと前になります)。
ということで、初版の当時から税制もかなり変化しているため、この「よくわかる税法入門」は毎年のように内容を改訂して出版されています。
そしてその最新作が「よくわかる税法入門〔第13版〕」であり、発行日が2019年(平成31年)4月1日ということで、多分これが平成最後の「税理士・春香」関連の書籍であろうと考えられます。
さて、本書の内容ですが、全29章の内まず最初の5章で「税」の全般的な考え方について解説されています。
第1章のタイトルは「税って何?」というものなのですが、確かにそもそも「税」とは何かなどとあらためて考えたことはなかったなあ、とヨシオも感じました。
国を運営していくために必要なお金を国民から集めているものだ、というようにぼんやり考えていましたが、本書を読んでそんな単純でもないことに初めて気付かされました。
また第3章の「脱税・租税回避・節税の違いは?」では、「租税回避」という言葉の定義をこれも初めて知ることができました。
このように第1章から第5章までの「税」の基礎の部分だけでもヨシオとしてはかなり勉強になったと思います。
第6章から第21章にかけては税理士試験におけるいわゆる「国税4法」、すなわち「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法」について取り上げられています。
特に「所得税法」については合計8つの章が割かれており、本書で最も重きを置かれたテーマとなっています。
つい先日我が国では天皇の代替わりという大きな出来事がありましたが、「所得税法」を取り扱った第7章では天皇の納税義務についても解説されています。
ちょうどヨシオも天皇退位そして即位のニュースを見ながら「そう言えば天皇や皇族には納税の義務ってあるのかな?」などと家族と話したりしていたので、とても興味深い内容でした。
実際に天皇陛下に納税義務はあるのか?について知りたい方は、ぜひ本書をお読みになって下さい。
それ以外にも「法人税法」や「消費税法」についてはヨシオもある程度は知っているつもりでしたが、考えたこともなかった論点もあり非常に勉強になりました。
今回は書籍「よくわかる税法入門〔第13版〕」をご紹介しました。
ヨシオは大学では経済学部、税理士試験についても簿記の勉強からスタートしているため、正直「税法」に対して苦手意識があります。
理論のテキストを読んでも何を言っているのかよく理解できず、頭の痛い思いをしたことも少なくありません。
しかし、本書の記述にもありましたが、法学部の学生が「税法」を学ぶ場合は逆に会計の知識がないために苦労されるようです。
それだけ税理士試験の勉強というのはやはり一筋縄ではいかないものだということを再認識するとともに、本書のような「税法」を比較的やさしく、そして楽しく学べる書籍は税理士を目指す上でとても貴重であると思います。
本書のエピローグでは法学部の学生に対して税理士になることを勧めていますが、そのような法律をしっかり勉強してきた税理士にも負けないよう、ヨシオも今まで以上に「税法」を学んでいかなければと感じました。
「税法」を学ぶことのきっかけとしては非常に読みやすく親しみやすい書籍となっていますので、ぜひ皆さんもお手に取ってみてはいかがでしょうか。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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