ヨシオの目指せ!税理士!

税理士の事件簿

お疲れ様です。ヨシオです。

前回も触れましたが、先日第69回税理士試験公告が出されましたね。
受験申込用紙は先週から交付が始まり、申込の受付期間は連休明けの5月8日(水)~5月20日(月)となっています。
そして本試験の日程は8月6日(火)~8月8日(木)、合格発表は12月13日(金)とほぼ例年通りという感じです。

さらに受験案内をよく読んでみますと、答案用紙のサイズが従来のB4からA4になっていたり、これまで認められていなかった修正液・修正テープの使用が可能になるなど地味なようで大きな変更点がいくつかあります。
元号も変わって新しい時代を迎えるということで、税理士試験も時代に合わせて少しずつ変革されていくのかもしれませんね。

ただ、前述した今年の日程は基本的に「令和元年」になってからのものなのですが、今回の公告や受験案内では全て「平成31年」で統一されていたのが個人的には少し残念でした...
新元号の発表から公告まで数日あったので、対応されるのかなと期待していたのですが、やはり国が公式に発表する文書ですので、すぐに差し替えるというのはなかなか難しいのでしょう。

また今年の試験は「平成31年度(第69回)税理士試験」が正式名称となっており、おそらく公的には令和最初ではなく平成最後の税理士試験ということになりそうです。
もうすぐ令和が始まりますが、平成最後の税理士試験合格者を目指して頑張って勉強していきましょう!

さて、早いもので、平成も残り2週間ほどとなってしまいました。
当コラムでは前々回、平成の税理士像を振り返るという趣旨で2009年(平成21年)に出版された「だから税理士はやめられない【改訂版】」という書籍をご紹介しました。
今回はさらに時代を遡って平成という時代における税理士の姿を回顧してみたいと思います。

今回ご紹介するのは2001年(平成13年)が初版の書籍「税理士・春香の事件簿」です。
著者は三木義一さんという方で、2019年4月現在青山学院大学の学長を務められています。

https://www.aoyama.ac.jp/president_room/profile

上記の青山学院大学HPのプロフィールにもあるように、著者の三木さんは、本職は税理士ではなく、法学博士であり弁護士であられるという方です。
ただ法学の中でもご専門が租税法ということで、税務に関する書籍を多数出されています。

そして今回ご紹介する「税理士・春香の事件簿」は日本税務研究センターの機関誌である「税研」での三木さんの連載をまとめたものとなっています。
内容は様々な税務訴訟における判例の解説が中心となっており、それがとある税理士事務所内の会話形式でわかりやすく書かれています。

登場人物はタイトルにも出ている若手女性税理士である春香、彼女の勤める事務所の所長、そして税理士試験に長年合格できていない山川という男性職員の3人です。
彼らがクライアントから受けた依頼と類似したケースの判例を探し、なぜ裁判所がそのような判断をしたのか、通達や税法をどのように解釈すべきなのか、といった点を議論していくというのが基本的な流れになっています。
本書では合計23のケースが取り上げられており、それぞれのお話の中で複数の判例の紹介・解説がされています。

本書の元となった「税研」での連載は本書の出版時点で6年以上続いていたということですので、実際にこの内容が書かれていたのは平成の初期、おそらく1990年代半ばから2000年頃までかと思われます。
そんな訳で本書で取り上げられている判例も昭和末期から平成一桁、ちょうどバブル経済の始まりから崩壊までの時期のものが多く、今では想像もできないようなケースもあったりします。

例えばある納税者(個人)が株主となっている同族会社に「3,400億円」を無利息で融資し、そこでいわゆる「認定利息」を巡って争われた裁判の解説がありました(これは「パチンコ平和事件」と呼ばれている税務訴訟の中でもかなり有名なもののようです)。
内容はさて置き、個人が「3,400億円」もの資金を所有していたということ自体が驚きですし、加算税だけでも10億円以上になっていたかもしれないということで、まさに桁違いな話だなと感じました。

ちなみにこのケース、本書では高等裁判所の判決までが解説されており、その時点では納税者側に有利な内容(加算税が減免)となっていました。
しかし、その後最高裁判所に上告され、本書の出版から数年経った2004年(平成16年)に一転納税者敗訴(国側の勝訴)という形で終結してしまいました。
本書の中では納税者側の主張を鑑みた高裁判決が高く評価されていたのですが、最終的にその判断が覆されてしまったということで著者も残念に思われたのではないかと推察されます。

このケースにおける解説のように、本書では基本的に納税者側に寄り添う立場から議論が組み立てられています。
しかし、ただ納税者が有利になれば良いというスタンスではなく、「なぜそのような税法が定められることになったのか」といった法律制定の背景まで考慮された解説がなされていることが本書の素晴らしいところだとヨシオは考えます。
はなはだ僭越ではありますが、この点さすがは租税法の専門家だなと感じさせる内容となっています。

今回は書籍「税理士・春香の事件簿」をご紹介いたしました。
判例解説の本ということで正直読み始める前はちょっと難しいかなと思っていたのですが、会話形式の軽いタッチで書かれているため結構すらすらと読めてしまいました。
また判例解説以外にも「私の事件簿」というコラムでは、十数人の女性税理士の方々が税務における様々なエピソードを書かれています。

こちらは「事件簿」といいながらも、かなりほのぼのとした内容のものも多く、また違った意味で楽しめました。
それ以外にも著者の三木さんが連載当時ドイツの財政裁判所客員裁判官をされていたということで、付録としてドイツの財政裁判所や税務署・税理士会などを取材したものも掲載されています。

このように盛り沢山な内容の書籍となっていますので、確かに20年ほど前の本ではありますが今でも十分読み応えがあると個人的には感じました。
ちなみに「税理士・春香」はこの後シリーズ化(?)されたようで、「税理士・春香のゼミナール」や「税理士・春香の民法講座」などが出版されています。
今回ご紹介した「税理士・春香の事件簿」も2015年(平成27年)にリニューアル版が出されていますので、ご興味を持たれた方はこちらを購入されてみてはいかがでしょうか。

という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~

掲載日:


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