税金と歴史の関わりとは?
お疲れ様です。ヨシオです。
前々回のコラムでは、消費税の軽減税率制度に関する「国税庁動画チャンネル」などの動画をご紹介しました。
https://www.jusnet.co.jp/kusuri/018/1812.php
ここでは「新しい制度を学ぶ」という目的で真面目な内容の動画を取り上げましたが、同じ消費税の改正をテーマとして、もう少しくだけたWEBドラマもございました。
改正消費税・特設WEBサイト コメディ系会計事務所ドラマ「カモクの女」
http://www.jdl.co.jp/c-tax/
こちらは財務会計ソフトでお馴染みの「JDL(日本デジタル研究所)」のWEBサイトです。
そんな訳で、基本的にはJDLのCM動画ということになりますが、会計事務所を舞台にしたドラマ仕立てとなっており、その点がちょっと珍しいかなと思います。
ミュージカル女優の新妻聖子さんが主演ということで最後は新妻さんの歌で締めるのですが、そこがシュールな感じで面白いです。
また新妻さんが歌っている改正消費税ソングなるものもあり、ミュージックビデオがアップされています。
http://www.jdl.co.jp/c-tax/song.html
こちらは会計事務所の職員が日々働く姿を描いたイメージビデオのような作りになっていて、見ていて嬉しいような少し恥ずかしいような感じがしました。
ドラマ「カモクの女」は2019年1月から毎月1話ずつ公開されていくようですので、ヨシオも次回を楽しみにしたいと思います。
ということで、今年は消費税の大きな改正があり、税制の面ではひとつの節目にもなる年だといえます。
特に軽減税率やインボイス制度の導入は、税制のみならず日本経済さらには日本社会全体の今後に大きく影響してくるかもしれません。
このように税金というものは、これまでも社会の在り方に大きく関わってきました。
それは時の政権を揺るがしたり、さらには戦争にまで発展することもあったようです。
そんな訳で、今回は税金が歴史や社会にどのように影響してきたのか、それをテーマとした書籍をご紹介します。
今回ご紹介するのは「税から読みとく歴史・社会と日本の将来」という書籍です。
著者は早稲田大学大学院会計研究科教授の栗原克文さんという方で、元々は国税局の部長などを歴任されてきたまさに税金のスペシャリストです。
本書はそんな税金の専門家である著者が、歴史を学ぶ学生や税にあまり馴染みのない読者向けに税という視点から社会や歴史を見る、というコンセプトで書かれています。
ですので税の専門書、というよりは一般向けの読み易い本となっています。
本書は以下全3章で構成されています。
第1章 税は社会を映す鏡
第2章 日本社会の変化と税
第3章 今後の各税制の課題
まず第1章では、世界各国の歴史に税が大きく影響してきた事例について紹介されています。
アメリカの独立戦争をはじめ、フランス革命、清教徒革命など誰もが世界史の授業で習ったであろう出来事もそのきっかけは税金、主に時の為政者によって課された重税であったことが書かれています。
また歴史上存在してきたちょっと変わった税金なども紹介されており、とても楽しく読める内容となっています。
ヨシオが特に興味深かったのは、この章の後半部分に書かれていた明治維新以降の日本の税制の変遷についてです。
日本の近代化、戦争、そして戦後の復興・高度経済成長という歴史の流れの中で税制が現在の形に至るまでどのように移り変わってきたのか、それを知ることで今の税制への理解度が高まったようにも感じました。
続く第2章では、現代の日本社会が抱える諸問題と税金との関わりについて述べられています。
人口減少や高齢化、経済成長率の低下といった1990年代以降特に顕著となってきた様々な社会問題に対して、どのような税制が適切であるのかといった点について著者の考察がなされています。
また後半では、財政再建についても触れられており、諸外国における様々な取り組みについても紹介されています。
最後の第3章では「所得税」「法人税」「消費税」といった個別の税目における将来的な課題について考察されています。
それぞれの税金にはそれぞれメリット・デメリットがあり、そのバランスを上手くとっていくことで社会にとってより良い税制を目指す、それが最も重要なのかなとヨシオは感じました。
ただ、著者も本書の「おわりに」で述べられているように「バランスのとれた税制」というだけであれば簡単ですが、その最適解の選択は容易ではありません。
第1章で紹介された過去の歴史から見ても、社会のために最善となる税制の模索は永遠の課題なのかもしれませんね。
今回は書籍「税から読みとく歴史・社会と日本の将来」をご紹介しました。
著者が大学院の教授ということで第2章以降は若干教科書的な感じもありますが、税の専門家を目指す人間としては勉強になる内容の多い書籍でした。
また完全に個人的なことですが、ヨシオは昔から税金よりも歴史、特に日本史が大好きなのでその点でも大いに楽しめました。
小学生のころ頑張って覚えた「墾田永年私財法」も第1章に出てきて、言われてみれば確かにこれも税金が深く関わっていたな、とちょっと感動してしまいました。
税に携わる人だけでなく歴史好きにもおススメの本書、ご興味のある方は是非お読みになってみてはいかがでしょうか。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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