税務調査ってどんな感じ?
お疲れ様です。ヨシオです。
平成30年度(第68回)税理士試験の試験場が発表されましたね。
東京では1か所は4年連続の「早稲田大学」となりましたが、もう1つの試験場は昨年の「東京外国語大学」から今年は「立教大学」に変わりました。
「立教大学」は以前から税理士試験の試験場として使われていたようで、ヨシオの通っている専門学校の全国模試などでも会場になっていました。
しかしヨシオが受験を始めた平成23年度(第61回)税理士試験からは試験場に選ばれていませんでしたので、久々の復活といった所でしょうか。
この他にも北海道から沖縄まで、今年も昨年に引き続き合計14か所の試験場が決戦の地となりました。
本試験当日はそれぞれの試験場に自信を持って足を踏み入れられるよう、残り1か月余り頑張って勉強していきましょう!
今回も前回に引き続き、税理士の執筆による書籍をご紹介いたしたいと思います。
今回ご紹介するのは、飯田真弓さん著の「調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査」です。
著者の飯田さんは初級国家公務員(税務職)女子1期生で、高卒女子初の国税調査官になられた方だそうです。
そして26年間税務調査に従事し、その後2008年に退職して税理士に登録されています。
ですので私たちが目指しているように税理士試験を受験して5科目合格された方ではなく、国税に長年勤務して科目免除をされたいわゆる「OB税理士」という立場の方です。
この「調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査」ですが、もちろんタイトル通り税務調査がテーマとなっている書籍です。
こちらは2016年12月に出版されていますが、それまでに著者は「税務署は見ている。」「B勘あり!」「税務署は3年泳がせる。」といったやはり税務調査について書かれた本をいくつか出版されていました。
いずれの書籍も著者の国税調査官時代の経験やエピソードを中心として構成されていますが、今回取り上げる「調査官目線で~」は過去の作品と比較して少し異なる特徴があります。
そのひとつは全4章の冒頭と巻末にマンガが数ページ挿入されていることです。
過去の飯田さんの著作も読み易い内容となっていましたが、より幅広い読者に興味を持ってもらうためにマンガを加えたのでしょう。
そしてもうひとつの特徴が、私たちのように税理士を目指して勉強をしている人たちに向けたアドバイスが少なからず盛り込まれている点です。
税務調査の本というと、どうしても経営者向けなどに節税の観点から税務署とどのように対峙するべきか、といった内容がメインになりがちです。
本書でももちろん経営者向けの記述も少なくはありませんが、どちらかと言うと経験の浅い税理士や税理士を目指している人たちを意識したお話が多いように感じました。
さて本書は著者が元国税調査官ということもあって、税務署がどのように調査対象を選びそしてどのような目線で調査をしているのか、という視点で主に書かれています。
特にヨシオが興味深かったのは、実際に著者が国税調査官として税務調査にどのような心情で臨んでいたのか、ということがかなり具体的に描かれている点です。
税務調査はもちろん法令に則って行われるものですが、そうは言っても調査官も人の子です。
真面目にそしてきちんと経理処理を行って税務申告をしていれば調査官の心象も良くなるでしょうし、逆にいい加減であったり非協力的な態度であれば腹も立つでしょう。
そのようなことを著者は隠し立てなく正直に書かれているので、読んでいて気持ち良く感じるくらいです。
そんな訳で、著者は税理士に対しても謙虚に税務調査に協力することを勧めています。
さらに経営者との関係も日頃から良好にし、税務調査の前にもしっかりと打ち合わせをすることが重要であることも述べられています。
税理士と経営者のコミュニケーションが上手くいっているかどうかは調査官にも分かるようで、そこが良い会社であれば調査もスムースに進むようです。
さらに言えば「税理士法第33の2に係る書面添付」をしている税理士であれば、そもそも税務調査に選ばれにくいとも書かれています。
この「書面添付」ですが、税理士にとっては経営者の理念や経営方針をとことんまでヒアリングしなければなかなか書けないものだそうです。
「書面添付」ができるくらい税理士と経営者の信頼関係が強ければ、税務署からも信頼されやすいということなのでしょう。
「調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査」はこの他にも様々な税務調査に関わる知識やエピソードがたくさん書かれています。
ちなみに本書の最後の方に「今から税理士を目指しても遅くないですか?」というタイトルの節があります。
この節自体は税務調査とは直接関係はないのですが、比較的年齢が高くなってから税理士試験にチャレンジしているヨシオにとっては勇気付けられるような内容となっていました。
その他にも本書の全体を通して著者の考え方はとても清廉なものだとヨシオには感じられました。
実際の税務調査の現場は綺麗事ばかりではないのかもしれませんが、国税調査官も税理士も国民の幸福ために税務という大切な仕事を担っているという点では何も変わりません。
あらためて私たちがどのような税理士を目指すべきか、考えさせられる一冊でした。
少し固いコラムになってしまいましたが、本書自体はとても平易で親しみやすい文章で書かれており、箸休め的にマンガもあるので一気に読めてしまいます。
税理士試験の勉強だけでは知ることのできない内容ばかりですので、是非書店などでお買い求めの上、お読みになってみてはいかかでしょうか。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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