税理士のための...!?
お疲れ様です。ヨシオです。
今年の税理士試験まで残り2ヵ月余りとなりました。
あとたった2ヵ月しか残されていないと思ってしまうとかなり焦りますよね。
ヨシオもこの時期に「まだ2ヵ月もあるのか~」と余裕を感じられたことはさすがにありませんが、本当はそれ位勉強が捗っていれば理想的だなとは思います。
ただ当然のことですが、いくら途中までの学習が順調でも、本番にピークを持っていけなければ本末転倒と言えるでしょう。
仮にまだ合格レベルまで勉強が進んでいなかったとしても、ここからの2ヶ月間が本当の勝負です。
税理士試験受験生の皆さん、とにかく最後まで諦めずに頑張っていきましょう!
前回は税理士の方が執筆された書籍として、渡邊浩滋さんの「『税理士』不要時代」(経営者新書)をとりあげました。
今回も税理士の方の著作をご紹介したいと思います。
今回とりあげるのは「税理士のための百箇条-実務と判断の指針-」(財経詳報社)です。
こちらの著者は関根稔さんという方でもちろん税理士なのですが、さらに公認会計士であり弁護士でもあるという方です。
この書籍の「はじめに」にも書かれていますが、関根さんは大学在学中に税理士5科目を合格しただけでなく、当時の公認会計士二次試験にも合格されたそうです。
さらに大学を卒業した年には司法試験にも合格、その後司法修習生時代に公認会計士三次試験にも合格されたというちょっと普通では考えられない位の凄い方です。
比べるのもおこがましいことですが、ヨシオは税理士試験だけで四苦八苦している我が身が恥ずかしくなってしまいました...
さて、この「税理士のための百箇条-実務と判断の指針-」では、そのタイトル通り100個のテーマについて述べられています。
1つのテーマについて全て見開き2ページずつの記述となっており、それぞれが完結した内容となっています。
ですので、最初のページから順番に読み進めなくても、目次を見て気になったテーマからページを開いていって全く問題ありません。
それは、この書籍が元々「税理士新聞」において著者が連載していたコラムをまとめたものであるためです。
ちなみに「税理士新聞」はエヌピー通信社が月3回発行している新聞で、会計事務所などにお勤めの方にはお馴染みではないかと思います。
今回の書籍とは全く関係ありませんが、下記の「税理士新聞」のページに載っている「税理士川柳」を所長税理士の先生が投稿していると思うと何とも言えず面白いです(笑)
https://www.np-net.co.jp/mn1_3_zeishin.html
話を戻しまして、この「税理士のための百箇条-実務と判断の指針-」の主な内容ですが、「税理士新聞」での連載ということもあって、かなり実務的なテーマが多くなっています。
特に相続税や贈与税といった資産税、また法人税関連では同族株主や自己株式の取扱いなど、中小企業のオーナー経営者を顧客としたケースを想定している内容がかなりの部分を占めています。
特に「分掌変更退職金」「相続時精算課税」といったテーマは何度も繰り返し触れられており、おそらく連載されていた当時ホットな話題だったのだと思われます。
なお、この書籍は平成25年に初版が発行されており、さらに文中では平成23年の裁判について書かれていますので、連載自体は平成23年から平成24年頃にされていたものと推察されます。
ヨシオは税理士試験の勉強として「相続税法」を学んだことがないため、正直良く知らない論点も少なくなかったのですが、資産税の実務における考え方の一端を垣間見ることができてとても興味深かったです。
またそれ以外で特徴的なのが、現在の税法や民法の考え方のルーツとして、時代を遡って歴史上のエピソードがしばしば登場するという点です。
例えば相続における遺留分という考え方は、古代ローマにおける制度がその始まりとされていますが、近代日本に導入されたのはそのローマ法とは異なるゲルマン法の考え方によるものであった、というようなことが紹介されています。
この書籍の本文の最初である百箇条の「第一」は「税理士は何を学ぶべきか」というテーマですが、その中で著者は「立法趣旨」つまりそれぞれの税法が何を守ることを目的として作られたのか、それを学ぶことこそが税理士にとって重要であると述べています。
つまり税法の条文や通達を通り一遍に覚えるのではなく、きちんとその根底までを理解することが税理士には求められている、ということを著者は主張しているのだと思います。
その理解のためには「立法趣旨」を学ぶことが必要であり、さらにその「立法趣旨」の原点として著者は過去の歴史を紐解いて紹介しているのでしょう。
著者は大学で講義も行っていて、そこでも学生には「税法を暗記する必要は全くない。理解すればよい」と伝えているそうです。
ヨシオも税理士試験の学習ではどうしても暗記に重きを置いてしまいますが、将来税理士として活躍するためには今の内からしっかり理解することが不可欠なのだと感じました。
この「税理士のための百箇条-実務と判断の指針-」ではその他も様々なテーマについて語られています。
「税理士のための」とは謳っていますが、著者が弁護士としてもかなり活躍されているということもあって弁護士や裁判がテーマの内容も多くとりあげられています。
それ以外にも経営者として、またはひとりの個人としての生き方や考え方など税理士や弁護士といった専門家に限らない一般的な内容も少なくありません。
税理士試験受験生にとっては実務の考え方に触れられるだけでなく、これから一専門家、一社会人としてどのように歩んでいけば良いのか、そのひとつの指針になるような書籍となっています。
一つひとつのテーマは短く、すぐに読めますので、試験勉強の息抜きにでも是非ご一読下さい。
という訳で、今回はここまで。
次回もお楽しみに~
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